ちとFPNで読んだ記事にひっかかるものがあったんで
ブログで。
クリステンセン教授の「イノベーションへの解」
の中で述べられている事なんだが、日本の硬直した雇用制度は
日本経済と企業が成長期にあった時代においては、
それなりに意味があったが、現在、日本企業の多くは
イノベーションのジレンマに陥っている、あるいは
成長限界を迎えているわけで。
これは、1990年代から明らかになりはじめた事なんだけど
1980年以降、日本では、破壊的イノベーションがほとんど起こらなかった。
これは、バブルと合わさって、日本の停滞原因の一つとして
クリステンセン教授が上げているのだけれど
なんで、日本企業が高い技術をもちながら破壊的イノベーションを
起こせないかというと、それは、成熟した企業内においては
不可避的に、持続的イノベーションを追求するシステムが
出来上がってしまうからで、そのことが、企業をやがては
破滅に追いやる。
イノベーションのジレンマとはこれで、
優良企業が、合理的な経営をする限りにおいては
常に、この力が内部に働くために、どの時点かで
合理的経営そのものが企業を破滅に追いやるという話なんだけど。
ただ、アメリカにおいては、人材市場が常に流動的で
また、ベンチャー企業に対しての資金の流れも活発なことが
持続的に、破壊的イノベーションを生み出す力と
なっていることをクリステンセン教授はあげている。
一方で、日本では、その力が働かず、人材市場も
硬直的で、また、政府と企業がグルになってまで
企業を延命させようとする。
アメリカなんて、企業をすぐ潰しちゃうんだけど、
成長限界を迎えた企業なんてのは、
潰して、1からやり直させたほうが良いのも明らかなんだよね。
硬直化した組織を解体して、よりフラットで小規模な
組織は、失敗も多いけれど、成長する企業になることが
既存の大企業よりはるかに多い。
株式市場では、現状、投資家は、株価にその企業の将来価値まで
織り込むので、成長しない企業なんで価値がない。
現状、日本もそうなってきているわけで。
だから、人材市場がもっと流動的になり、
優秀な人間が、できるだけベンチャー、中小企業なんかに
集るネットワークを築かないといけないとも思うようになったわけ。
現在の日本の大企業ってのは、多分だけど、もう成長はできない。
高度経済成長を支えた日本のデジタル家電企業は、
すでにデジタル機器のコモディティ化によって、
消耗戦に入っているし、自動車業界は、残るハイエンド市場を
開拓してしまったら、あとは消耗戦になるだけで
そこが成長限界になる可能性が非常に高い。
成長できる可能性がある企業ってのは、
今の日本ではベンチャーとかサプライヤーの中小企業なんで
あって、そっちに金や人を流れ込ませて、既存の大企業を
ぶち倒すって位の勢いで頑張ってもらわないと
市場が活性化しないんだよね。
2000年代になって、新登場のSBがADSLでIT市場に大変革を
もたらし、LDがフジ買収劇と無線LANで、次の波をもたらした。
やっと、日本でも、新しい波が生まれ始めた。
だから、人も金も、もう一回、下に流れ込ませて、
そして、企業の新旧交代を進めないと、ダメなんだと思う
んで、企業を無理やり生き延びさせたり、硬直的な人材市場の
ままでいたり、ベンチャーや中小企業に投資が巡ってこない
のはどうかと思うわけです。
新しい波を継続的に生み出す経済形態でないと
好景気なんて永遠にこないよ。
今の状況なんて一時的なものに過ぎない。
新しい波が起こって、ルールの変更に気付いている
プレイヤーが伸びてこない限りはね。