言うまでもなく、最初に欲しかったのは、
ウェブでも愛読している伊藤洋一さんのポッドキャストだった。
たどり着くのは簡単。
itune→ミュージックストア→ポッドキャストを選べば、
なんと二位にランクしているから、そこから落してくればよい。
プロの作品とアマの作品が混在していて
非常に面白い。
ituneとポッドキャスティングは既存の放送事業にとっては
チャンスであり破壊の使者でもある。
電波というルールが壊された以上は、TV、ラジオの崩壊は
ゆっくりとだが、確実にメディアビジネスを変えていくだろう。
常にそうだったように、最初は、非常に利益率が低いが、
それでも黒字採算できる分野から始まる。
これは、ありとあらゆる産業の「いつか来た道」だ。
最初は、新しいプレーヤーを既存市場のプレーヤーが子馬鹿にする。
「あんなもの、誰も聞くわけがない」
という。そして、最初は、ほんのわずかな人達によって支持される。
だが、ルールの変更は容赦なく、既存市場を襲う。
ルールの変更に気付いていないプレーヤーは殺される。
変更に気付いても、既存のシステムにとらわれて動けない事もある。
メディアビジネスというのは、ルールの変更が
現実的に起こっている。
どんな強大なプレーヤーであっても、ルールの変更が行われると
競争上の優位を失う。それまでのゲームで得た優位を生かせない
ゲームが新たに始まるからだ。
メディアビジネスというゲームは、また振り出しに戻った。
勝負の行方は、ある意味では見えている。
既存のプレーヤーがルールの変更に対応することは
よく言われる「ゾウにダンスを教える」ようなものだ。
肥大化しすぎて動きようがない。
情報のデジタル化は、容赦なく、TV、ラジオ、プリントメディアを
襲うだろう。
メディアビジネスには、ルールの変更が迫っている。
一つ目は日本が、株式市場主義になった事だ。
これによって、市場は、株主利益を生み出せない企業を
厳しく罰する事になった。
経営者は、企業を成長させねばならないのだ。
少なくとも、市場平均よりは。
もし、市場平均よりも少ない成長しかもたらせないのであれば
その経営者の経営は「サルにダーツを投げさせたほうがマシ」と
判断されかねない。
これが理解できてない企業は、株式を公開すべきではない。
そして、企業と、その市場には、常に成長限界があるということも。
経営者は、中核事業を成熟させた後、新しい成長事業を
可能な限り、生み出さなければならない。
成長事業を生み出せない企業は株式市場では用のない存在だからだ。
二つ目は、通信の勃興。
もう電波、紙という情報の出口は、通信の勃興によって
破壊されるしかない。ゆっくりとだが、激しく通信は
それらを破壊するだろう。
メディアビジネスのゲームのルールは
変わってしまったのだ。
新たなルールに基づいて成長事業を、立ち上げる必要がある。
だれもが、ポッドキャストなどで
自分のラジオ局、TV局を
立ち上げることが、現状、可能なのだ。
これが、新しいルールなのだ。
誰でも、ほとんどコストをかけずに
ラジオ局を持てるゲームなのだ。
電子ペーパーが出れば、既存の新聞・雑誌ビジネスの
ルールも壊れる。
誰もが、出版社をもてるのだ。ほとんどコストをかけず。
これが、新しいプリントメディアのルールになる。
このゲームのルールで、勝てる戦術を描けないプレーヤーは
他のプレーヤーに食われるしかない。
ゲームのルールは変わった。
今までのルールの中で培ってきた経験と技術はリセットされる。
ゲームは振り出しに戻ったのだ。