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2005年10月10日

個人的メモ@今やばい企業とその理由

イノベーション関連メモ

TV局

収益性の高い差別化された独自製品のみが
企業に高い競争力と成長をもたらす。

これを破壊するのがモジュール化プロセスと「行き過ぎ」である。


現状、TV局は、番組製作を外部に丸投げしたことによって
モジュール化、つまり、水平統合によるアウトソーシングで
多様な顧客のニーズにそった番組作りを成し遂げた。

また電波の独占は、高い参入障壁を作り、新規参入者を
締め出す仕組みを作り上げた。


この状態では、サプライヤー企業は、必要最低限の
費用で収益を賄わねばならない。
現状の製作プロダクションがそうであるように。

しかしながら、このモジュール化は、
デススパイラルの最初の一歩である。

独自製品、優れたコスト競争力、高い参入障壁を
維持し続けれた企業は、いまだかつて、存在しない。

こういった統合企業は、必ず
独自製品のコモディティ化にさらされる。

なぜなら、まず最初に、顧客の利用能力が
「十分でない」状況においてのみ、独自製品が
意味をもつ。であるが、TV局の番組は、
ほぼ全ての番組において、大多数の既存顧客のニーズに
答えるために似通った番組作りに突き進まされている。

そういった番組には、通常、顧客は
高い金を払い始めなくなる。
モジュール化した世界では、製品のコモディティ化によって
製品の差別化が困難になる。

そして、次の問題は、高い参入障壁が崩れ始めたことだ。
通信の発達によって、参入障壁が壊れた。
通信会社は、動画製作に手を出し始めている。

これが、モジュール化によって製品の差別化が
困難になった世界での新しい波を生み出す。
モジュール化とは、技術の外部委託であり、
TV番組制作技術が外部に漏れてしまうのだ。

そして、それは、潜在的な競争者を外部に生み出す。
つまり、製作プロダクションは、現状
潜在的な、TV局の競争相手なのだ。

この技術と通信技術が結びつき、市場のローエンドを攻略しはじめるだろう。
最初は、肥大化したTV局が。絶対にやらない、極めてニッチな分野で
収益がさほど上がらないビジネスになる。

が、そこで作り出されたビジネスモデルは、
容赦なくコモディティ化した既存のTV局をやがては襲うだろう。

水平統合された企業をまつ運命は、いずれ、こういった形で
起こることを余儀なくされる。

技術の外部委託、モジュール型製品を推進するTV局の戦略は
高コストの競合企業と競争する限りは有効である。

であるが、同コストのプレイヤーしかいない
現在のTV市場では、この戦略は、潜在的な競争者を生み出す。
なぜなら、製品の独自さ、差別化された商品の開発は
全てサブシステム、つまりここでは、製作プロダクションの
能力次第になるからだ。

差別化された製品を生み出す能力が、製作プロダクションに
移った時点で、崩壊は時間の問題となる。
この崩壊は、通信の勃興による電波の独占が破壊されると
同時に行われるだろう。

ソフトが視聴率を決定する以上は、
多チャンネル時代においては、そのソフトを作る能力こそが
製品を独自化、差別化する決定要因なのであって
電波ではないのだ。

TV局がこれに気付いていない場合は
おそらく(今すぐではないが、10年20年といった間に)
競争のルールが変わった事によるツケを払わされる。

彼らは、ニッチなプレイヤーに追いやられるか
製品のコモディティ化と、新たに勃興する
強力な競争相手との競争による死をもたらされる事になる。


鉄鋼

鉄鋼も同じジレンマの途上にあると考えられる。

製品が「十分すぎる」状態で
同コストのプレイヤーしかいない日本市場においては
システムのモジュール化によって、コストを下げ、
高コストプレイヤーと戦うことが最も有効な戦略であった。

中国に進出し、そこに技術移転をすることによって
鉄鋼メイカーはモジュール化を実現した。

であるが、これは、やはりデススパイラルの第一歩であるので
やがては、同コストのプレイヤーしか存在しなくなる。
高コストのプレイヤーと戦う限りにおいて
モジュール化した企業システムは有効である。

だが、市場から高コストプレイヤーが存在しなくなると
この戦略は意味をなくす。


そして、モジュール化した世界において、
唯一、製品を差別化する方法は、サブシステムの
能力如何になる。

そして、そのサブシステムのプレイヤーの中から
やがては、既存市場のプレイヤーを脅かす存在が生まれてしまう
事が多い。脱コモディティ化を目指す動きが
この状況の市場では働き、結果、サブシステムの
プレイヤーから新しい波がもたらされるのである。

鉄鋼に関しては、市場に高コストのプレイヤーが残っている限りは
極めて魅力的な利益を達成できるだろう。

一方で、それが存在しなくなった時、
また、コモディティ化と脱コモディティ化の
プロセスが始まる。

鉄鋼業者は、次に始まるであろう脱コモディティ化の
波に備えなければならない。破壊的なイノベーションは
おそらくだが、再び生まれ、そして、それは容赦なく
日本の鉄鋼業界を襲う。おそらく、だが、中国の鉄鋼に
関する会社の中から、そういった波が生まれる。

その波をとらえたなら、極めて迅速に
自分のところまで上がってきそうなプレイヤーを
所有ないし、買収し、独立した成長事業として
運営せねばならない。

これは、TV局、鉄鋼の共通の課題である。
これに失敗した場合は、大きなツケを払わされる。

ツケとはすなわち、ゲームは終ったという株式市場の
容赦ない罰、つまり株価の下落と経営者の更迭である。





posted by pal at 06:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
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