この本、いい加減読まないとヤバイ。
Christensenは多くの業界についての分析結果を示し、Digital Equipment Corporation(DEC)に代表されるかつての優良企業がトップの座から落ちるのは、競合他社が強くなったためではなく、むしろ一見取るに足らないような、あまり質の高くないソリューションを提供する新規参入企業が現れたためだと結論づける。
大手企業は一般的に、要求度の高い顧客のニーズに応えるため、より高機能な商品の開発に力を入れる。この性能向上を求める絶え間ない努力を、Christensenは「持続的イノベーション」と呼ぶ。
「技術進歩のレベルが顧客の実際のニーズと活用能力をはるかに超えると、行き過ぎが裏目に出る。新興企業に、より安く単純で、高機能を必要としない顧客から見れば十分な性能を持つ商品を提供する機会を与えてしまうのだ」と、Christensenは言う。そして、これを「破壊的イノベーション」と名づける。
この話は、今までネットで散々読んだ話だけど、
最近の自分の分野、つまり、漫画にも当てはまって
しまって怖い。
漫画は、かつては、なんでもない分野だった。
1970年以前は、漫画家なんて、小説家に食わして
もらっているようなもんだった。
ところが、現在、地位は逆転している。
だが、現状、日本国内のシェアを食いつぶしてしまって
これ以上、成長の余地はなく、クリステンセン教授のいうように
要求度の高い顧客のニーズに応えるため、より高機能な商品の開発に力を入れ
性能向上、というか、品質向上のための絶え間ない努力を続けている。
クリステンセンはこれを「持続的イノベーション」と呼ぶようだ。
そして、その後も同じだ。
つまり、技術進歩のレベルが顧客の実際のニーズと活用能力を
はるかに超え、行き過ぎが裏目に出はじめている。
漫画の技術は絶えまなく、磨かれている。
ところが一方で、行き過ぎというか、沢山売れることを
目標にし、顧客というか、ファンのニーズにあわせすぎたあまり
内容が画一的になり、それが行き過ぎている部分が否めない。
そして、より安く単純で、高機能を
必要としない顧客から見れば十分な性能を持つ商品を
提供する機会を与えてくれる存在、つまりネットに
客を食われ始めている。
ネットにも漫画は一杯ある。
勿論、それは、プロからみると鼻糞レベルとかいう人もいるが。
実は、より単純なものを好み、画力なんて気にしないユーザー
からみれば、それで、十分な内容なのだ。
しかもタダなのである。
Christensenの考えによると、新規参入企業は低価格帯の市場に一度根をおろせば、その製品を改善してシェアを拡大することができる。場合によっては、市場トップの企業を追い落とすこともあり得るというのだ。
これが、起こりうる気がするのは僕だけだろうか。
ネットはタダだ。しかも、そこにあるエンタメは
単純で、プロのような高度な文体も画力もないが
必要十分な性能を、つまり面白いという条件を
満たしているものが沢山ある。
シェアを拡大され、場合によって、紙の漫画は
追い落とされる可能性すらある。
ある意味では、新聞とブログもこれに準ずる気がする。
一見取るに足らないような、あまり質の高くないソリューションである
ブログ。内容もプロから見ると不十分かもしれない。
だが、より単純な内容で、タダな情報媒体だ。
イノベーションのジレンマの発生条件と全く一致している。
過去、何度も繰り返されたことが、新聞や漫画を相手に
今、起こされようとしているのかもしれない。