新聞屋さんも大変だと思う。特に選挙が始まってからそう思う。
新聞、雑誌の広告価値減退、部数の減少は
何度もネタにしたけれど、今回は、もうちょい違う方向の
話をしようと思う。
要するに、記事のレベルとか、内容とか、質とかのお話。
僕は、日経新聞を読んでいるのだけれど、
ネットを見ていると、日経新聞批判が多い。
特に金融関連のブログでは批判される事が多い。
日経の金融欄は読まないほうがいいなんて言う人が
何人もいた。
記事や社説のダメだしをされているのを何度も見た。
これは、どうしようもないと思う。
昨今の金融は、専門的になりすぎていて、
一介の記者では、こいつの複雑な仕組みを
理解しきれないのだろう。
金融関連に放り込まれて
2〜3年の記者がイールドカーブやらROEやらの
金融関連の単語、概念を完全に理解して、
それを日経の読者全てに分りやすい文章で
600字以内でまとめろというのは
不可能に近いんじゃないかとさえ思う。
ただ、ネットが出現する前は、
専門家の意見というのはメディアを通してしか
表に出ることはなかった。
が、ブログという形で、誰にでも簡単に
情報を全世界にむかって発信できるように
なってしまったせいで、専門家、金融のプロが
情報を発信するようになってしまった。
いくら記者が文章と取材のプロでも
金融のプロの書いた文章とでは勝負にならない。
知識、経験、人脈の量に絶対的な差があるからだ。
このあたりは、アメリカの弁護士が
法廷で専門家証人と論争をしても
まず勝てないのに似ている。
いくら、弁論のプロでも、その道の専門家と論争したら
勝てないというのの好例だと思う。
んだから、日経新聞の記事というのは
その道のプロからすると、ひどく突っ込み甲斐の
あるもののようで、ブログなんかで散々ネタに
され続けている。
金融系のブログで日経批判を多く目にするわけである。
で、さらに悲しくなるのが、TVというメディアの存在の
せいで、新聞がマスメディアとしての位置をも
奪われつつある事だ。
TVのニュース番組の影響力は凄まじい。
そして、多くの人を不満足にさせる
その内容の無さも凄まじい。
見るのも嫌になるほどだ。
僕はTV見ないんだけど、見ている人の
ほうが圧倒的に多い。わらってしまうほどに。
結局、ライトに分類される
「世の中の動きを知れればいい」
程度のユーザーにとってはTVで十分なのだろう。
で、内容がそういう人たちに合わせてあるから
それでニュースの真偽とかは重要でなくて、
面白いかどうかが最重要視されている。
新聞記者さんにとっては、そりゃ
面白くないだろう。大多数の人間が
こんなものを喜んで、ニュースとして消費しているのでは。
しっかし、ライトユーザーからは敬遠され、
コアユーザーからは内容が無いと突っ込まれと
最近の日経新聞というのは、四面楚歌だ。
TVの登場で、ライトユーザーがみる情報媒体は
TVになった。
ネットで、専門家が情報発信するようになって
新聞は、専門家の分析にさらされるようになった。
日経新聞を取り巻く状況はどんどん悪くなっている。
ネットのせいで文字のニュースの価値がどんどん
下がっていっているのに、専門家が記者の書くニュース
そのものにブログなんかでケチをつけるので、
ニュースの質は上げねばならなくなってきている。
コストダウンと品質向上の二つを同時に行わなければ
ならないというわけで。
日経新聞も大変な時代だ。
結局、文字という情報発信手段にかかるコストが
現状、ほぼ0に等しいからこんな事になっちゃったんだよね。
難儀な時代である。どうせ、漫画とかも
同じ波にさらされるだろうから、人事と思ってちゃいけないんだけど。