すでにブログ界でもかなりの話題になりつつあるが、
ここで、この選挙が、
本当に大きなものであるという事を
僕の意見として述べておきたい。
最初に述べておくことだけれど
郵政民営化、道路公団民営化という
二つの政策の真の狙いは、
田中角栄によって築かれた、自民党の根本的な
金権利権政治体質の破壊だと言える。
まず、田中角栄の政治手法について述べるが、
彼は、間違いなく、戦後政治において、
最も偉大な政治家の一人だと僕は思っている。
小学校卒、自分の力だけで
内閣総理大臣にまで上り詰めた戦後の鬼才。
彼の政治手法は、大蔵省、郵政省、建設省の
三つを握ることで完成された。
彼の経歴を見る限り、もっとも、彼の出世を助けたのは
会計に関する知識だ。彼は若くして会計の知識を
身に付けた。彼は、官僚ですら真っ青になる
記憶力の持ち主で、6桁の数字の塊を
すらすらと暗誦できたという。
彼は、その会計の知識と会社経営の知識を
政治でフルに駆使した。
大蔵省という財政資金の出所を抑えた。
郵政省という財投資金の出所を抑えた。
そして、その資金を
自民党の支持基盤である地方に配分した。
そして、配分された利益にあずかる建設会社などからの
献金によって、潤沢な政治資金をあつめ、
資金の分配によって、地方の票田を固めることに
成功していった。
そして、建設省を抑えることによって
これらの仕組みを強化した。
彼は選挙の神様と呼ばれた。
彼の選挙手法は、まことに見事だったといわざるをえない。
彼は、自分の支持者を手厚く待遇した。
決して裏切らなかった。
彼は、優しく、情に厚い男だった。
彼の政治手法は、弱者救済といってもいい。
それほど、地方に金を分配する仕組みだった。
それは、彼の側近の著書や、彼に関わった官僚達の手記などを
読めば伝わってくる。しかも、彼に金をやった人ですら、
彼を好いた。
しかしながら、彼の政治手法は、最早通用しない。
彼の政治手法は、日本経済がインフレ基調だった時代に
おいては有効だったかもしれない。
しかし、日本の成長が止まり、デフレ基調の時代に突入した
今、田中角栄の手法には限界がある。
地方に富を再配分するやり方は、
実質的には、利権と呼ばれる団体を生んだ。
彼らは、実質経済を上回って膨れ上がり、
本来であれば、淘汰されるべき会社までが
国家の資金で生き残る結果を生んだ。
弱者救済は、実際のところ、利権の肥大に
しかならなかった。
そして、利権と呼ばれるグループが生み出す赤字は
国家の税金によって補填されつづけるようになっていった。
その結果、財政には歪みが生まれ、その歪みは
延々と放置されつづけ、それが国の借金となって
蓄積されつづけた。
経済がインフレ基調であれば、それでも
良かったかもしれない。だが、デフレの今では
借金の蓄積は、とんでもない悪夢となる。
本来、資本主義経済においては、
好況期のおいておこる資本の過剰増大を
不況期における資本の倒産、解雇によって
実態経済にあったレベルまで落とすことによって
バランスを保っている。
この仕組みこそ、
実は、資本主義経済が長年にわたって存続できた
理由であり、その強さなのだとも言える。
であるが、弱者救済の名の元に、
本来、破壊されるべきであった
資本が、国家の資金によって救済された。
このことが、経済自体に歪みを作りつづけた。
この国家と結びついて肥大しつづけた資本が、
いわゆる利権である。
そして、その経済の歪みが、GDP比150%という国の
借金として残された。このままいけば、国の財政破綻は
免れ得ない。経済全体のバランスを適正レベルまで
戻さねばならない。これは、緊袖の課題なのだ。
もはや、かつての田中角栄的な政治手法は
しようにも出来ない。
これに、もっとも早く気付き、自民党が将来
崩壊するであろうことを予期し、動いたのが
小沢一郎であったと思う。
彼は、すでに1990年代初期に
「オヤジ(田中角栄)のやり方はもう古い」
と言った。
彼は、政治家としては、僕は有能な部類だと
思っている。先見性は確かにある。
自民党の政治のやり方は、田中角栄によって
完成された。いわゆるマネークラシーだ。
省庁を握って、官僚を従え、自らの支持基盤に
財政資金や財投資金を注入し、
その見返りに組織票と政治資金を得るというやり方だ。
だが、このやり方は、何度も言うが、無理だ。
なぜなら、財政資金は底をついており、
国はGDP比で150%という巨額の借金を抱えている。
そして、最後に残った自民党の資金源が
郵貯、簡保の財投資金350兆円である。
自民党のシステムを維持する上で、
この資金を自分の支持者、つまり利権に配分し、
そこから政治資金と支持票を集めるのが
最後の自民党の命綱だ。
そして、これをぶち壊そうとしているのが
小泉純一郎なのである。
郵政を民営化し、郵貯、簡保の二つを
政治家と官僚から切り離すことによって
利権への富の再配分を止め、
自民党に流れ込む支持票と政治資金を
断とうとしているのである。
これは、自民党を遠からず
崩壊に導きかねない一撃に
なりうる。
であるから、あそこまで、反対がでるのであろう。
これは、単純に二つの陣営に分かれているので
わかりやすい。
亀井さんや、中曽根さんのような郵政反対派の人達は
国家を守ろうとしているのではない。
自民党と、彼らを支えている利権屋を守ろうとしているのだ。
そして、利権屋にばら撒ける最後の資金源である郵貯、簡保を
守ろうとしているのだ。
「利権の為に反対する」なんて言い出す正直な政治家まで
出る始末。もう手におえない。
一方で、小泉純一朗は、その最後の資金源を
自民党から取り上げようとしている。
何故か?
答えは、ごく単純で、
国の借金が多すぎるからだ。
GDP比150%という国の借金は、先進国最悪の状態だ。
そして、この借金のせいで、ある事が起こっている。
今、国の財政は、借金、つまり国債を発行しないと
成り立たない状況まで悪化している。
そして、国債というのは発行しただけでは
意味がなく、それを買ってもらって、初めて資金となる。
ここがミソで、現状、国債が買ってもらえなくなったら
財政が即座に破綻する。
国家財政が破綻すれば
円の国際価値大幅下落し
資源輸入国の日本は未曾有の危機に見舞われる。
なので、現状の国家財政にとっては、国債を
できるだけ低い利回りの状態で
投資家などが買いつづけてくれる状況を維持せねばならない。
そして、この条件で
国債に資金が流れ込む状態とは何かというと
景気が横ばいか、下降線を辿っている時だとも言える。
つまり、だが、景気が上向くと、株価が上がるので
資金が、国債でなくて株に流れ込む。
そうすると、国債は、低い利回りでは売れなくなる。
低い利回りでは売れないので、利回りを
上げる必要が出るのだが、利回りを上げるということは
国家が国債を発行する際において、
払う利子が増加する事を意味する。
ただでさえ、国庫が逼迫しているというのに、
利子が増加したら、国家財政はひとたまりもない。
要するに、現状の国家財政は
「景気が上向いては困る」状態とも言えるのである。
こんな状態で景気回復など夢のまた夢だろう。
低い利回りでも国債を買ってもらえる状況を維持しないと、
つまり、不景気、あるいは景気の踊り場程度を維持しないと
国家財政がふっとぶ。そんな状況なのだ。
こんな状況では、国が良くなるはずがない。
であるから、財政を再建し、借金を減らし、
ある程度、GDP比150%という国の借金、
つまり、国債の利回りが増えても
耐えうる財政構造の構築が袖務なのだ。
ここ数年、財政改革が叫ばれつづけたのは
こういう理由がある。
そして、郵政という財政構造の悪夢を
やっとの事で改革しようとする政治家が
総理大臣になった。
四年前だ。小泉純一郎、総理大臣就任。
郵政民営化を断行しようとする
小泉さんの視線は、自民党の維持でなく、
日本の将来に向いている。
そうでなくば、郵政民営化などはするはずがない。
もはや、田中角栄によって築かれた自民党の
利益配分システムとそれに密接に結びついた
自民党の政権維持システムは、限界を迎えている。
改革が、政治構造、国家財政に関しての根本的な
改革が必要なのだ。どうしても。
今回の選挙で小泉純一郎は、
自民党が、戦後60年築いてきたシステムそのものを
今、壊そうとしている。それが、今の日本には必要なのだ。
彼らは、自民党に顔を背け、日本という国のほうを向いている。
今、やるべきは自民党を支えてきた利権屋と手をきり、
財政を再建し、国を建て直さねばならない。
そうでなくば、国が潰れる。
北朝鮮や中国なんかが攻めてきて日本を
潰さないでも、このままでは借金で国が潰れる。
そうなる前に、手を打たねばならないのだ。
手荒な外科手術になるだろう。資金が断たれ、
倒産する会社もでるだろう。解雇される人も出る。
そして、何より、自民党をさせてきた政治システムそのものが
破綻する。
ベストな選択とはいえない。
そもそも、ベストの選択など、すでにありえない。
ベター、いや、グッド程度で我慢せねばならないのだ。
なぜなら財政が破綻して、貨幣がトイレットペーパーになれば
日本という国自体が立ち行かなくなる。
こういうワーストの選択肢が、現実に目の前に
あるからだ。
日本という国の財政事情はそれほどに悪い。
そうなる前に、手を打たないといけないのだ。
そして、それを行うために、必要な手段である
郵政改革をやれるのは小泉さんしかいない。
だから、今回の選挙で、僕は自民支持というか
小泉さんを支持するのである。
そして、民主党が掲げるスローガンにも
注意せねばならない。
彼らが、本気で日本を改革しようとするのであれば、
今回の選挙で掲げるスローガンほど大事なのものはない。
日本の構造そのものを問う、選挙なのだから。
小沢一郎と岡田代表が向いている方向が
今回の選挙で民主党が掲げるスローガンでわかると思う。
もし、彼らが、自民党と同じ穴のムジナであるのなら、
国が潰れる。そうでないことを切に願うばかりだ。
自民党や自民党系の候補者に投票したことは一度もなかったが、
今回の選挙においては、小泉さん支持で投票します! そうじゃないといけないと思っています。
他の意見を聞いていたって、人のやったことのアラをああだった、こうだったと言っているだけで、そんなことは誰だって言える。
そんなことが問題なのではない。 ここでこのくらいの断行をすることが一番大事なことであって、郵政民営化の問題点を言って二の足を踏んでいたって、先には進まない。大事なことは、やって改革を進めることだ。問題点はやりながらだ。
これを阻む議員は利己主義かノウタリンぐらいなものだ。よって、小泉さんの今回のこの手法も正しいし、このくらいのことはやらないといけないということだと思う。
有権者の諸君は、このことに焦点を合わせないと、これまでの政治しか望まないことになる。そのことを自覚するべきだ。
詳細な情報を秘匿し、初めにイエス・ノーの結論を引き出し、各論は任せよ!なお今回は郵政改革についてのみ返答せよ!と設問され多くの国民は従順に解答を提供しました。現在我が国では年金問題など、重大な課題が山積しております、大切な国政選挙を単なる国民投票に仕立て上げ、かつその割には判断の材料は殆ど提示しませんでした。マスコミなどを使ってブームをあおり自らに有利な結論を引き出そうとした手法は、結論がどうであれ、政治家が国政選挙で用いるべきではありません。そんな方法は組織内での権力闘争でやればよいのです。
このような選挙が定着すると、誠実な政策をかかげて国民に信を問うと言った本来の民主主義の大前提をくつがえしかねません。確かに、現在は映像文化が繁栄し、若者を中心に複雑な論理を好まない風潮が蔓延しております。そういった傾向をもつ有権者に対し、簡略ではあっても本当の内容を判断できる問題提起をしていたでしょうか。明らかに、その状況を利用しようとしたにすぎません。この問題(人間社会の映像文明化)は我が国だけではありません。将来、民主主義を健全に維持して上に解決せねばならない複雑で困難な問題に対し、一国の行政府の長自らがが重大な背信行為を行ったといえます。
マスコミの諸君に物申したい。選挙中でも、この手法が解った段階で警鐘をならすのがマスコの使命ではなかったのですか。それどころか、選挙が終わるに及んで、小泉首相のやった方法(マスコミ自身が劇場型選挙と名づけた)を殆ど賞賛しております。興味本位の取材でかまわない一部の週間紙ならともかく、殆どのマスコミのこの体たらくはどうなっているのですか。もはや日本に本来のマスコミは存在しておりません。第一線の記者諸君、このことが理解出来ないならば、速やかに退職し、他の有意の人間に席を譲るべきです。どの道、物事のケツを追っかける事しか出来ないのならば、取材先でも人前にシャシャリでないで遠慮した存在であって欲しい。
以上、今回の選挙騒動にかい間みた憂鬱な心境を愚痴らせていただきました。