iTMSに思う:地方紙の今後
こんな記事が出ていた。
短い記事だったけれど、考えさせられる事だった。
グーグルのような電子メディアに関わる人間と
プリントメディアに関わる僕らのような人間とでは
根本的に思考方法が違う気がしている。
僕が思うに、電子メディアというのは、
本質的に、プリントメディアを超えるものだ。
検索機能、記事のアップ手段、流通にかかるコスト。
その全てで、ほぼ、電子メディアは
プリントメディアを越える。
唯一、プリントメディアが勝っているのは
その内容だ。プロとして訓練をうけた人間に
よって生産される情報であるので
その情報の質は、それなりに高い。
あるいは、高いと一般に思われている。
だが、これは、オンラインにメディアが移行すれば
引っくり返るだろう。そこにプロが生まれるからだ。
問題は、である。
どうやって、オンライン上での
資本の蓄積機能を生み出すか、という事と
移行の過程において、何社のプリントメディアが
生き残れるか、という点だ。
この点では、どうしても、プリントメディア側が
不利だと感じてしまう。
本来、WEBとは紙の上に築かれた情報生産手段だ。
情報生産、発信媒体として紙を越えるのである。
そして、グーグルやヤフーのような新興メディアは
WEBの上に築かれた存在である。
立っている場所が違うのだ。彼らと我々は。
紙の上にWEBは築かれた。
そしてプリントメディアは、紙の上に立っていて、
グーグルは、WEBの上に立っている。
つまりだけれど、グーグルってのは
プリントメディアの二つ上の場所に立っているメディアなんである。
プリントメディアは、何とかして、ウェブに
従来のやり方を、つまり、紙のやり方を持ち込もうとする。
一方で、グーグルは、ウェブで出来上がった仕組みや
やり方から、それに適応した仕組みを作る。
ここが、決定的に違う。
プリントメディアは、古い時代のやり方をなんとか
生き延びさせようとしている。
グーグルは、あたらしく生まれたネットという
情報生産消費媒体の上に新しいものを作る。
どうみても、グーグルのほうが有利だ。
向こうは、ネット上の全ての情報を扱おうとしているのに
プリントメディアはプリント時代と同じで限られた
ものしか扱おうとしない。しようとしない。
何より、出来そうに無い。
古い時代のやり方が悪いというのではない。
ただ、この立ち位置というのは
どうにも、決定的らしい。
グーグルのような会社の思考法、創造力は我々にはできない。
我々のようなプリントメディアに関わってしまった人間には
ウェブという条件の上で思考することが制限されてしまうからだ。
なぜなら、紙と印刷という形で思考するように訓練されて
しまっているから。
別の言い方をすれば、
我々は、グーグルの下位にある存在なのだと思う。
彼らのやっていることは理解できても
彼らが生み出すものを、プリントメディアでは
生み出すことはできない。
一つ上のものは理解できても、二つ上のものを
理解できる人は極端に少なくなるし、
二つ上の思考法、製作技術を真似ることは
まずできない。
僕は、電子メディアの隆盛によって、
既存のジャーナリズムが死ぬとは思っていない。
今、あるのは理念の戦いではないと思っている。
あくまで、資本の問題だととらえている。
新聞社の人もそうだろう。
電子メディアが、かつてのプリントメディアが
持っていたパイを食い荒らそうとしているだけの話。
そして、今、起こっている、あるいは将来
おこるであろう、この限られたパイの奪い合いの中で、
プリントメディア側がどうしたって不利だって事を
漠然とだが、感じている。
そして、実際にアメリカの新聞社やニュース媒体が
パイを奪われ始めているニュースを見るたびに
次は、自分達の番だ、と夏なのに背筋が寒く感じる
わけなのである。
基本的にFIFTH EDITIONさんとは近い危機意識を感じています。それは内部に向けてでもあり、外部に向けたものでもあります。ただ、プリントメディアが旧態依然と言われつつも、時代に伴いそれに合わせて生き延びてきた事を考えると、まだまだやれる事もあるのではないかと考えています。
先人たちの知恵を食いつぶして逃げ仰せるほど、世の中甘くありませんからね。嘆くより知恵を積み重ねたいものです。
コメントありがとうございます。
そうですよね、嘆くより知恵を積み重ねていく事が
何より大事なんだと思います。