読んだ時、非常に考えさせられたのは
ルーク・ロバートソン教授のインタビューだった。
その時の記事はこちら↓
紙のメディアは衰退必死なのだろうか?
ロバートソンの指摘は明確だった。
「インターネットは新聞にとって破壊的な技術であり
しばらくは、お互いに影響しあって
売上を伸ばすだろうが、いずれ、ネットの分野に
売上を食われはじめ、プリントメディアは
衰退へと向かう。」
要約するとこんな感じだった。
そして、昨今、その通りのことがアメリカで
起こり始めた。
プリントメディアが次々と売上を落とし始めた。
一方で、グーグルが、とんでもない収益をはじき出し始めた。
グーグルをメディア企業とするならば、
世界最大のメディア企業は、最早グーグルである。
好調な収益を屋台骨にグーグルはさらなる事業拡張を
はじめるだろう。そして、グーグルはこれからの成長の足を引っ張る
プリントメディアを傘下にもっていない。
彼らは、得た収益のすべてをオンライン事業にぶちこめる。
最近、グーグルはグーグルマップや、グーグルアースといった
とんでもないサービスを無償で提供しはじめた。
もう、彼らを止めれるものは誰もいなそうだ。
すでに、オンラインメディアとプリントメディアの
主役の交替は始まっているとみていいのかもしれない。
今日、メディアパブさんで、
新聞社,オンライン事業に頼って大丈夫か
こんな記事が出た。
ソースのほうも読んでみたが、Dow&Jones の営業利益は
38%減となっており、もはや、プリントメディアの
落日の象徴みたいな形になりつつある。
一方で、売上高は3.2%増で、これは
昨年11月に買収したMarketWatchのおかげだ。
MarketWatchをDow&Jones が
約5億1900万ドルの現金取引で買収したのは、記憶に新しい。
そして、立て続けにNew York Timesが
今年2月17日にAbout.comを4億1000万ドルで買収すると発表した。
彼らのようなプリントメディアは広告や部数の長期低迷傾向が
鮮明になりつつあり、もはや、オンライン企業買収のような
積極的な投資に、メディアパブさんの言葉を借りるなら
大博打に手を出さざるを得ない状況だった。
はっきしいって、今の日本の新聞社のサイトはマイナーすぎる。
もっと大規模なサービスに乗り出さないと全然ダメだ。
それが単体でできなかったからNew York TimesやDow&Jones は
大規模な買収に乗り出さざるをえなかった。
ただ、これも問題がある。
オンライン事業が好調になっても、
プリント関連事業が、お荷物になることは
長期的には明白だからだ。
プリント事業が、足を引っ張って積極的投資に
踏み切れなくなり、ヤフーやグーグルのような
純粋なオンラインメディア企業との競争ではどうしたって不利になる。
実際に、Dow&Jones 内部において
WSJ.comやMarketWatchを抱えるCEP部門の躍進は目覚しいが
それで、他の微妙な部門を補っているところがある。
無論、オンラインメディアとプリントメディアの両方を
推進している企業では、これらの間にシナジーが生まれ
そして、一時的に、プリントメディアが息を葺き替え返すかもしれないが
ロバートソン教授は、それが一時的なもので、
やがては、プリントメディアが又低迷すると言い切っていた。
そして、ここで、国内に目を向ける。
日本にはアメリカで起こったような波が10年遅れてくるという。
もし、同じことが10年後に起こるとするならば。
プリントメディアは、早期に動く必要があるかもしれない。
今なら、まだ安い値段で、オンラインメディアを買収したり
できるかもしれないからだ。
Dow&Jones のように大規模な買収に踏み切るしかないような
状況に陥る前に、手遅れになるまえに手を打つべきだと思う。
今なら、まだ安く買える可能性がある。
今の日本でなら、まだ、プリントメディアのほうが強い。
漫画にも同じことが言えるとつくづく思っている。
電子ペーパーが、もっともっと安くなって、ipodのような
サービスの漫画版が始まるのは目に見えている。
ヤフーが文学賞を募集しているが、これは
自前の小説部門や漫画部門を持とうとする先駆けだと思う。
オンライン小説やオンライン漫画によって、課金形態のサービスを
確立できれば、それは非常に、非常に魅力的な収益部門に
なりうる。
配送料や紙代、印刷代、また書店への棚台などが無くてすむので
儲かるのは当たり前だ。必ず、この手のサービスは確立される。
勿論、技術革新を待たねばならないだろうが、
電子ペーパーは、どんどん進歩している。こいつは時間の問題だ。
ブロードバンド、無線LANのサービスもどんどん広まる。
もう、この流れには逆らえない。
コンテンツ提供者は、よーく目をこらして、
どこを親にするかを考えねばならないだろう。
また、親を選ぶにしても、確実に自分達の取り分を
確保できるように、上手く、いろんな相手を天秤にかけれるように
せねばならない。
プリントメディアは、日本でも、もう衰退必死だ。
出版社の下で書くというのは、終りつつある可能性がでかい。
先に、オンライン上で知名度を広げる手をいくつも打つべき時なの
かもしれない。
それから、著作権者やコンテンツ提供者にとって朗報が一つだけある。
それはオンライン事業でうまくやれば、ブックオフや漫画喫茶をぶっ潰せる
ってことだ。
ブックオフは再販制度の隙間をついて広がったが、
オンライン配信が本格化すれば、これは簡単にぶっ潰せる。
というか、ブックオフは30年後にはないだろう。
今が最盛期だ。プリントメディアの衰退はもう確実なのだ。
本自体をオンラインで読む流れができれば
二次利用はオンライン配信のほうが、ブックオフなんかより
遥かに安く提供できる。この点でブックオフに勝ち目はない。
なんか、頭痛くなる話題と希望のみえる話題が混在している
感じだ。ネットの台頭は。
先を見据えて、いろいろと立ち回る必要が出てくるだろう。
とは、いえ、いつもは
「ま、なんとかなるさ」
くらいしか考えていないのだが、僕は。