このブログの人気エントリを読みたい方はこちら
もう一つのブログはこちらです。

2007年07月30日

多様性と女性の好み

一夫N妻に関する思いつき



社会制度と生物としての人間の多様性



弾さんと、ひできさんに分家ブログの方にTB頂き、それをインスパイヤして、ちょいと思った事を。



まず、人間の歴史の時代区分として、狩猟採集時代、農業時代、工業時代、ポスト工業時代(つまり今)といった区分をするとしよう。


で、なんだけど、この中で、一番健康な人々がいたのは、いつだと質問した場合、大抵の人は、後ろから順に並べていくと思う。


なぜなら、一般的に、栄養状態がもっとも良かったのは、ポスト工業時代で、次に工業時代、その次に農業時代、最後が狩猟採集時代と思われているからだ。


だが、現実には違う。

実は、狩猟採集時代の人類は、非常に栄養状態がよかった。もっとも悪かったのは農業時代や、工業初期時代で、この時期は大抵、人々の栄養状態は低くなる。


一方、狩猟採集時代や、ポスト工業時代のような時代は、非常に栄養状態がよいので、背が高くなる傾向があったりする。


いや、本当に。


狩猟採集民族の栄養状態がとてもよいのは、最近まで狩猟採集民族であった民族の研究からわかっている。彼らは、色んな種類の野草や、動物を食べるので、栄養状態が非常にいいのである。ブッシュマンなんては、70種類の植物繊維をとるので、栄養状態が非常によい。




これは、太古の狩猟採集時代の民族の骨や、人糞などの研究からも明らかで、狩猟採集民族の栄養状態は、きわめて良いものが多いという。




で、なんだけど、人類史では、明確に、人類の栄養状態の後退が見られた時期がある。これは歴史が一時的に後退してしまったともいえるのだけど。


その時期が、狩猟採集時代から農業時代への移行期と、農業時代から工業時代への移行期になる。


なんで、そうなのか?というと、狩猟採集時代においては、人々が食べているものは、非常に多様で、栄養バランスが良かった。



一方で、農業時代に入ると、食べる作物が、米、小麦,、とうもろこしなどの作物に限定されてくる。無論、半狩猟半農耕のような時期はいいけど、これが、江戸時代のように、完全農業時代だと、ほとんど、米しか食べないような食生活を農民がする様にもなった。とくに貧農とかになると、食生活が偏ってしまう。


こういった偏った食生活は、栄養バランスを崩してしまい、様々な疫病の原因となる。また、米だけに頼るようになると、不作になった場合に飢饉が起こる。アイルランドのジャガイモ飢饉や日本の米飢饉もそうだが、米、小麦、ジャガイモ、トウモロコシのような農作物に頼ることは、そういった危険性をもっていた。弾さんも指摘しているが、ニッチに依存しすぎることは、非常に危うい形態なのである。


無論、良い点もある。


米栽培は、単位面積あたりの人口吸収力をあげる。狩猟採集民の場合、平均半径2・5キロ程度の土地が一人あたり必要なみたいなんだけど、農業民の場合、これが、一人あたり100m四方の土地さえあれば、米栽培ができるので、人口を増やしやすい。


農業民族は、このように圧倒的に人口を増やしやすいという利点をもっていた。無論、それは農業が発達しないと無理だったわけだけど、いったん発展してしまうと、人数の面で、狩猟採集民族を圧倒できる。


狩猟採集民族の体は、大抵栄養状態がよく、筋肉も発達していた。これは、過去の人骨からわかっている。


一方で、農業民族は、大抵栄養状態が悪く、筋肉も少ない。


一対一で喧嘩をすれば、農業民族の男性は、狩猟採集民族の男性に、簡単に負けてしまうだろう。多分、3対1くらいでも、狩猟採集民族の優れたハンターなら、農耕民族の男性を打ち負かしてしまうと思う。


だが、農業民族は、数が多い。その気になれば、狩猟採集民族よりも、はるかに多くの数をそろえることが出来る。そして、なにより、人間の生産速度が違う。狩猟民族の女性の出産速度は4〜5年に一度程度だが、農耕民族の女性は2年に一人。この差は、決定的にもなる。


身も蓋もないが、数の力で圧倒できてしまうんである。こうして、狩猟採集民族は、大陸では徐々に姿を消していったのだろう。


栄養状態が悪く、力もない農業民族が、狩猟採集民族を圧倒できたのは、こういう理由があると思う。不思議な話だが、栄養状態が悪く、力もない男性が多い民族が勝ち残った。



で、なんだけど。



人類の歴史上、狩猟採集時代が一番長かった。それゆえ、我々の体のなかには、そういった狩猟採集民族だった時代の遺伝的な影響がいくらか残っている部分がある。





たとえば、女性の男性の好みの話になるんだけど、面白いことに、日本とイギリスの女性では男性の顔の好みに性周期が影響を与えているそうだ。




セントアンドリュース大学のデヴィット・ペレットらのグループは、CGを使った男性と女性の顔写真を作り、それを使って、ちょっとした研究を行った。


まず、わかったのは、男性も女性も、「平均的な顔」を好むということだった。これは、4人より32人の顔を合成したほうが、魅力的だと判断されたから。


つまり、どんどん均質化して、平均的で歪みのない顔になればなるほど、美しいと感じるらしい、我々は、ね。


美人ってのは平均顔っていうのは、こういった研究結果からだろう。


ただし、この研究には続きがある。


同じような形で、男性の顔を女性らしくした顔、男性らしさを強調した顔を作って、イギリスと日本の女性に好みを判定してもらった調査がある。


結果としてわかったのは、イギリスでも日本でも、男性の顔を女性らしくした写真が最も好まれるという結果になった。


ちなみに、それらが高得点をとれたのは、協力的、誠実そう、いい父親になりそう、といった理由からだった。



そしてさらに、もうひとつの調査が行われた。



平均的な顔、男性の顔を20%女性らしくした顔、男性らしさを20%強調した顔、男性の顔を40%女性らしくした顔、男性らしさを40%強調した顔を、排卵期の女性とそうでない女性に評価してもらった。



その結果。



排卵期でない女性には女性顔がこのまれたのに対して、排卵期の女性には、女性的な顔への好みがみられなかったのね。



この調査は、日本でも行われていて、同じような結果が出た。



つまり、性周期によって、女性の好みが変わっている。



で、同じ調査が、ジャマイカで行われたんだけど、その調査では、ジャマイカの女性は、女性的な男性の顔よりも、男性的な顔のほうが好まれたのね。こちらは、排卵期に関係なく、それが好まれた。



つまり、こういう女性の好みの変化は、おそらくだが、狩猟採集民族時代の遺伝的な影響と、現在の影響が入り混じったものであるからじゃないか、と思われるわけだ。ジャマイカで、違いがみれないのは、男性側からの投資があまり望めず、また治安が悪いからだろう。ジャマイカでは、長期的な利益を男性から引き出しにくいのだ。そのため、女性は、マッチョな男性と関係して、その男性から身体的な保護をうける事の重要性や、子供が危険な環境でも生き抜けるよう、こういった傾向をもつのだと思う。



狩猟採集民族時代を人類は2万年は続けてきたわけだ。で、その間、人類の男性で優れた男性とは、それすなわち、「偉大なハンター」だったわけ。つい最近まで、そういう場所だったところもある。


女性は、おそらく、狩猟採集時代においては、そういう男性を好んだはずだ。


現在でも、スポーツマンや、身体的な魅力にあふれる男性、そして厚い胸板や、逞しい腕、体つきは、女性をひきつける。NBAのデニス・ロッドマンは「NBAにいるのは、金とセックスのためだ」とか言ったが、NBAのチームの滞在先のホテルには、女性が群がって、バスケットボール選手とセックスをしたがるらしい。



で、バスケットボール選手の肉体ってのは、すばらしくかつての狩猟採集時代の男性の偉大な特徴を兼ね備えている。長い手足、頑健な肉体、そして高い運動能力。



そして、また、偉大なスポーツ選手というのは、大抵、テストステロンという男性ホルモンが多いため、アゴが張り、眉毛が濃い顔立ちになっていく傾向がある。そして、そういった顔つきが「男性らしい顔立ち」と呼ばれる顔つきになっていく。



女性がこういった顔つき、逞しい肉体を好む事が多いのは、そういった狩猟採集民族だった頃の遺伝的な名残だろう。狩猟採集時代は2万年近く続いたわけだし。


しかし、これが農耕時代、工業時代に入ると変わるんである。蓄財が可能になり、文明が発達しはじめると、今度は、男性の職業が多様化し、一方で「偉大なハンター」タイプの男性でなくも、女性は良くなった。



さらに、農耕時代というのは、その性質上、高カロリーな農作物が必要だった。つまり、農耕を基礎とした文明ができる場所というのは、米、小麦、とうもろこし、じゃがいもといった、農作物が育つ環境であることが前提なんである。



この場合、そのニッチに適応した男性が好まれる・・・はずだが、実際には、農耕は蓄財を可能にし、貨幣経済を人類にもたらす結果となった。貨幣経済は、様々な職業を生み出し、結果として、男性は、様々な職種につくようになる。



あるニッチがあったとする。 そのニッチを素早く埋め尽くしたい場合は、 平等に遺伝子をばらまくより、 そのニッチに最も適した遺伝子を集めた方が有利だ。




という弾さんの指摘があったんだけど、実際問題として、狩猟採集民族のほうが強くニッチに依存し、一方で農耕民族のほうが男性は、より幅広い形で、「強さ」を発揮できる。つまり、強さに多様性が生まれるのである。



しかし、狩猟採集時代は、ニッチには依存してはいたもの、人類の子育てコストの関係上、複数の妻を養える男性は、ほとんどいなかっただろう。2〜3人までなら何とかなるかもしれないが、ハーレムのように数十人の妻を養えるほどの狩猟能力をもつ男性がいたとは思えない。



石器という武器だけで、一人で大型獣に挑むのは勇敢というよりは自殺行為に近い。人類の狩猟には助けが必要なんである。



そして、農耕牧畜時代に入る。こちらでは、蓄財が可能になるので、一人の男性が複数の妻を養えるようになる。これは間違いない。女性側も、たとえば「スーパー農業経営者」ではないが、農耕と蓄財に優れた男性には惹きつけられるだろう。





だが、一方で、社会も多様化するのである。職業が多様化し、男性は、そういった様々なニッチな分野で強さを発揮できるようになる。



この場合、一夫多妻制だけでなく、遺伝的な多様性が強く取れる一夫一妻制も又、強化される。



少なくとも、女性の側では、「偉大なハンター」タイプの男性の遺伝子のみを集めるのでなく、多様な男性の遺伝子を集めても有利になる。強さの範囲が広がったのだから。



ただし、人類の女性の問題は、農耕、狩猟採集に関わらず、「男性の資源調達能力」、「子育てコストの分担」のほかにもうひとつ、重要な問題として「男性の暴力」がある。



人類の歴史の大半において、女性を悩ませてきた問題がこれだ。人類の男性は、女性を、こう言ってはなんだが、「殴りつづけてきた」んである。





昨今、DVが問題になり、日本でも問題視されているが、たとえば、アフリカの農耕牧畜民であるチャムスの場合、信じられないほど、男性による女性への暴力のケースが報告されている。







こちらの「チャムスの民族生殖理論と性」からの引用になるが、


「さっき、彼が嫁さんを殴ったんだよ。大変な剣幕で、パンガ(山刀)まで使おうとしたんだ」

昼前に近所の家を訪ねていったところへ、年配の女性が飛び込んできて一部始終を語り始める。その場にいた女性たちは身をのり出し、 私は「またか」と思いつつ耳を傾ける。




という描写から始まる話なんだが、内容では、妻を殴る男性の話が非常に多いチャムスでは婚外の異性関係を巡って、夫が妻を暴行するのが、日常茶飯事だという。実際に、この論文のかなりの部分が、婚外の異性関係、つまりは、ランガタ(婚外の男性の愛人)-ンガンガタ(婚外の女性の愛人)の関係と、そして暴力に費やされている。



人類が、どの時期まで、このような婚外性交を行っていたかはわからない。ただし、エスキモーであったり、他の狩猟採集民族でも、こういった婚外行動は見られている。チャムスの場合、この関係は、男性側の怒りを買うが、一方で、それ自体には、男性も女性も肯定的なようだ。不思議な関係ではある。また、これで子供を作るのはNGな文化となっている。



そして、しばしば、これは男性側の激しい怒りを伴う。そして、そういった関係が発覚すると、しばしば、男性は女性を殴る・・・・のである。(浮気されて怒りたい気持ちはわかるが殴るのはよくない。)



また、もうひとつ、特徴がある。チャムスの女性は、夫の姦通には、ほとんど無関心の態度を示していたという。好ましい夫の条件は、「騒ぎ立てない人」、「怒鳴らないひと」、「殴らない人」、「仕事をする人」、「牛をよく管理できるひと」となっていて、「浮気をしないひと」が含まれていないのである。



これも、他では扱いたいが、「騒ぎ立てない人」、「怒鳴らないひと」、「殴らない人」が、農耕牧畜民であるチャムスの社会の女性が夫の条件にあげているのは重要である。ここでも女性は、男性の暴力というのを非常に嫌っており、それを問題視しているのだ。



ちなみに、ここでも、一応、男性が女性を殴るのはよくないこととされている。



で、なんだが、ここが、女性の第三の男性選びのポイントとなる。そしてジレンマにもなる。



強く、たくましい男性のほうが好ましい。一方で、殴る夫は論外だ・・・・となる。強いということは、ある程度、暴力的であることも含むが、それが自分に向けられるのは困る・・・となる。



結果としてだが、農耕牧畜時代にはいり、女性の好みは、「仕事ができる人」、「女性と子供に献身的な人」、「女性に暴力をふるわない人」に収斂していったのではないか、と思う。


女性は、様々な状況におかれながら、おそらく、こういったオプションの中から、自分の利得を最大化できるように、男性を選んできたのだろう。それぞれのオプションで、場合によっては、どれかを捨てざるを得ないケースもあったと思われる。


おそらく、我々は、そういった女性による性淘汰の結果として、ここにいるのではなかろうか?


女性の好みは、男性よりずっと幅広い。それは、女性が男性と比較して、様々な形で、男性の価値を評価してきたからだと思う。



と、そんなことを思ったので、ちょっと書いてみた次第。









posted by pal at 21:51 | Comment(2) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
>排卵期でない女性には女性顔がこのまれたのに対して、排卵期以外の女性には、女性的な顔への好みがみられなかったのね


日本語でおk。
訂正を要求するwwwwwwwwwww
Posted by   at 2007年07月31日 21:17
思うですけど、矛盾だらけです。
アメリカではマッチョで男性的な男性の方が好まれていますが、さまざまな人種がいますよね。
社会的にも分業が進んでいると思います。
にもかかわらず、男性的な男性を好むのはなぜですか?
Posted by 4423 at 2007年09月18日 22:48
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

書評 - 心と遺伝子
Excerpt: 実に面白くかつ(本blogでは)タイムリーな一冊。 心と遺伝子 山元大輔 少なくともpalさんは必読。
Weblog: 404 Blog Not Found
Tracked: 2007-07-31 19:07
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。