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2007年07月29日

ハンディキャップ戦略

匿名の理論価格(上)


匿名の理論価格(下)


久々に、馬車馬さんの更新がありました。


いやー、面白い!やっぱ、馬車馬さんのブログは面白いです。一読の価値があると思うので、読んでない方は、是非是非。


内容的には、ブログにおける匿名実名の価値について、金融理論を使っての説明となっています。で、面白かったので、ちょいと便乗してみようかと。いつも尻馬ブロガーですいません。








また、実名の書き手が、匿名の書き手に比べてネガティブな評価に脆弱なのは上の図から明らかです(注5)。実際、実名の書き手というのは匿名の書き手を嫌うものだとされていますが、良く見ると嫌っているのはネガティブな評価であって、匿名そのものではないことがすぐに分かります(数年前にも、「褒めるときは匿名でもいいが、批判を匿名でするのは許せない」とおっしゃった某評論家のコメントを紹介しました)。

そのため、実名の書き手は議論での「負け」が許されません。しかも、書き手のアピール対象が素人の場合(文筆業など)、観客は議論の決着を判断できません(例えば、原子力発電の専門的な話題など)。実名の配当を守るためには、「絶対に負けを認めず、相手の言葉には耳を貸さず、泥仕合になろうとも相手が疲れ果てるまで自分の意見を押し付け続ける」という戦略が望ましくなります(これは政治家が自分の名前を連呼し続けるのと、本質的には同じメカニズムです)。



のっけから引用ですが。


ここの、「実名の配当を守るためには、「絶対に負けを認めず、相手の言葉には耳を貸さず、泥仕合になろうとも相手が疲れ果てるまで自分の意見を押し付け続ける」という戦略が望ましくなります」という所に便乗して、ちょっと話をしてみようかと思ったんですよ。



で、何でそうしようと思ったかというと、これ、ハンディキャップ理論を応用する方法もあるんじゃないかと思ったんです。



ハンディキャップ理論


wikipediaにちょうど項目があったんで、リンク載せておきます。


で、なんですが。


wikipediaにもありますが、アフリカのガゼルは、「ストッティング」と呼ばれる奇妙な行動を取ります。


普通、ライオンに襲われたら、ガゼルは一目散に逃げますよね?ただ、現実にはそうしない個体が存在するんです。


ガゼルの個体の中には、ライオンが近づいてきたら、ゆっくり走って、その後、非常に高く飛び跳ねる行動をする個体がいるんですね。


ライオンに襲われて、こんな無駄な行動したら、それだけで、自分の生存確率を下げてるようなもので、無意味ではないか・・・・と一時、生物学者は頭を悩ませたんです。


同じような例に、孔雀の羽や、ゴクラクチョウの羽があります。わざわざ、天敵に自分の位置を知らせているようなもので、自身の生存確率をわざと下げているようなものです。


で、なんですが、こういった、いわば「進化のパラドクス」ともいえる数々の特徴を説明してくれるのが、このハンディキャップ理論なんですよ。


この理論を提示したのは、イスラエル人の生物学者アモツ・ザハビで、彼はこう考えたんです。


「ハンディキャップを背負いながらも、それで生き残ってきたならば、よほどの優れている特徴をもっているからに他ならない。それをアピールするためだ」


という奴です。


わざと危険なハンディキャップを背負うことで、自身の卓越性を示す、ある種のサインなんだ・・・という奴なんですね。



ガゼルの例で考えてみましょう。


wikipediaにも書いてありますが、もし、足の遅い個体がストッティングをして、ライオンやチーターに襲われて食べられてしまうでしょう。


しかし、本当に足の速い個体は、ストッティングをしても逃げられます。


つまり、ストッティングをするガゼルは、こういう信号をライオンやチーターに送っているんです。


「襲っても無駄だよ。こんな事をしてても逃げ切れるんだから」


と。


こうすることで、ガゼルは無駄に逃げる事でのエネルギーの消費を抑えることが出来ますし、ライオンやチーターも、無駄な追跡でエネルギーを消費することはなくなるわけです。


これを上手く利用した例に、人類だと、孔明の「空城の計」があると思うんです。


三国志の有名な計略ですが、15万の軍勢に囲まれ、劣勢となった孔明は、城の門を開け、琴を弾きます。それを見た司馬懿仲達は「これは罠だ」と思い、軍勢を引き上げたんですね。


これは、孔明が最高の軍師の一人だったからできたわけです。要するに、本当に強い個体だけが、このようなハンディキャップ戦略を取れるんです。他の軍師がやっても効果はありません。孔明だから出来るんです。


孔雀の羽、ゴクラクチョウの羽、そしてガゼルのストッティングは、こうしたハンディキャップ理論で説明が可能になるんですね。本当に強い個体のみが、強力なハンディキャップを背負っても生き残れる。


そうすることで、天敵には、「襲っても無駄だよ」というシグナルを、そしてメスなんかには、「自身の遺伝子の卓越性」をシグナルとして送っているわけです。


これ、ブログにおける実名匿名にも応用できると思うんですよ。


ですので、僕は、「実名」で書けるような人は、「ハンディキャップ戦略」を実行できる人も含まれる、と思っています。


馬車馬さんの記事にありますが、実名でブログを書くのは、相当なハンディキャップです。「匿名は、いつでも実名に変更できる権利を持っており、又いつでもトンズラできるという点で実名よりも有利」という特徴をそのまんま捨てる事に他ならないからです。



しかしながら、短所はそのまま長所にもなります。


こうした「ハンディキャップ」を背負いながらも、ブログを実名で長期間続けれたら、それはその人の卓越性をそのまま示すことにもつながります。


匿名と比べて圧倒的に不利な状況でありながら、それで成功したブロガーとして、その分、大きなリターンを得れるのではないでしょうか?


たとえば、ですが、名声を得て、いきなり匿名から実名に切り替えたりしたら、「売名行為でブログやってやがった」なんて影口をたたかれるかもしれませんが、一方で、最初からブログ界隈ではハンディキャップである実名でブログをやって、それで出版までこぎつけて成功したら、最初から真っ向勝負をして成功したブロガーという形で、周囲の評価があがるかもしれません。


ハンディキャップ戦略は、強い個体しか出来ません。弱い個体がやっても意味がない。万が一、真似をしただけなのがバレたら、そこで終了です。一気にやられるだけです。だから、強者限定の戦略なわけですが、しかし、これをやることでの確かなリターンは発生するんです。ガゼルであれば、無駄な逃走によるエネルギーを費やさなくてすむ。



金持ちが気前よく大金を寄付したりするのも、ある種、このようなハンディキャップ理論で説明できたりしますよね。これは貧乏人には真似出来ない。それゆえに、自身の卓越性を世間に示せるわけです。



又、間違っていたら、さっさと「間違ってました」と認めてしまうのも、一種のハンディキャップ戦略です。弱い個体であれば、その後、徹底的にしゃぶり尽くされてしまうので、泥仕合を選択するしかもしれませんが、強い個体であれば、ミスを認めても、問題ない事が多いはずです。その後、すぐフォローできるからです。そういった強さをもっている個体だけが、「間違ってました」と素直に認めれる。




弱者は許すことができない。許すことは強者の特性である。

マハトマ・ガンジー



と、ハンディキャップ理論を一言で説明しているガンジーの言葉で〆ることにします。


ちなみに、僕は自分にそんな自信はないので、匿名でブログを続ける覚悟が満々です。




タグ:blog
posted by pal at 14:45 | Comment(1) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
TBありがとうございます。

読んだ瞬間にコメントする内容は決まっていたのですが、どたばたしてコメントが遅れました。ごめんなさい。

Palさんが指摘されたのはゲーム理論で言うところの「シグナリング戦略」に近いと思います。例えば、車の品質に疑いがかけられたときに、「もし故障が発生したら必ず無料で修理します!」と(自分にとって不利な)宣言することで、自分の生産した車の品質に自信があることを示すことが出来るわけです(最近ヒュンダイがやった戦略ですね)。Palさんの例も大体これで説明できると思います。ここでの肝は、「対峙する側(ライオンやガゼルのメス、司馬仲達など)は、自分について(ガゼルの強さや孔明の戦略)十分な情報を握っていない」という点にあります。だからこそシグナルに情報的な価値が出てくるわけです。

Palさんのブログの例だと、ブログの評判を高める段階ではシグナルの価値は大いにあると思います。実名という背水の陣を敷くことで、自分のエントリーの質の高さを示そうとしているわけですね(自分の思い込みに過ぎない可能性は捨てきれないのですが)。ブログの評判形成のメカニズムは私は完全に捨象してしまいましたので、なんだかうまく補完していただいた気分です(ただし、この理解の仕方だと「匿名から実名に切り替えるより実名のままのほうが評判が高くなる」ことはきれいに説明できないのですが)。
Posted by 馬車馬 at 2007年08月22日 08:25
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Tracked: 2007-07-29 14:57
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