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2005年07月06日

既存体制が技術革新を阻む時:出版とネット

最近、経済学の再勉強をしている。
忙しいので、はかどっているとは言いがたいが
いくつか見えてきたものもある。

第二次次大戦後、日本とドイツが急成長をとげた原因の一つとして
あげられるのが、戦争によって以前のシステムが徹底的に
破壊された為に、新技術の採用が容易だったことがあげられる。

一方で、アメリカでは、新技術の採用が容易ではなかった。
新技術を採用しようとした場合、それ以前のシステムを
捨て去らねばならないが、それには、必ず反発を伴なうからだ。

これが、戦後のアメリカの覇権の没落の原因の一つに上げられるが
これは、アメリカに限らず、どこの場所でもみられる傾向である。

つまり、ネットワークの中で、ある特定の部位が不要になった場合、
そのリンクをきりすてて、新技術をもったノードとリンクするのが
ネットワークの拡大と維持には合理的だが、
ネットワークのある特定の部位を切り捨てようとすると
そのリンク先のハブとノードが、それに抵抗するのである。

また、組織ネットワークは、スケールフリーネットワークであるがゆえ、
ハブと呼ばれるノードによって支配されるが
ハブは、そのリンクの多さゆえに、情報に対する閾値が高い。

つまり、ネットワークからの拘束度が高く、変化しにくいのである。

そのため、大企業ほど、意思決定に時間がかかる。
ハブは、変化しにくいという特性をもつからだ。

そして、ベンチャーのような小さい規模の会社では
ネットワーク自体が小さいために、ハブへのリンクが少なく
拘束度が低いので情報に対しての閾値が低く、迅速な
意思決定が可能になる。

それゆえ、ベンチャーとは身軽で、情報を組織内に浸透させやすく
新技術の採用も容易になる。
ベンチャー会社が、新技術をしばしば採用して
世界を変えるのは、こういったネットワークからの拘束度の
ハブへの低さが一つの原因と言える。

一方で、大組織では、それが、ハブへのネットワークからの拘束度が
高いためにハブの閾値が高く設定され、それゆえに
意思決定に時間がかかり、また、新技術の採用にも時間がかかり
ベンチャーに遅れをとってしまう。

既存の出版社や新聞社は、その組織の大きさゆえにハブへの拘束度が
高い。それゆえに、情報を下すノードであるハブが情報にたいして
変化しにくくなっていくために、組織ネットワークが硬直化する。

これは、色んな組織でみられる光景である。

そして、ベンチャーやらの技術革新に遅れをとるのである。

だが、そうした事を阻む方法が存在する。

それは、製品の流通ネットワーク自体から
新技術をもった新規参入者をまるごと排斥するというやり方であり、
松下がかつてやっていたやり方や、自動車産業、
そのほか、色々な場所で、この方法がまかり通っている。

大抵、国家の力を借りて、法制度などの力とあわせて
これを行っていることが多い。

現在の出版とネットの関係もこれに近かった。

音楽や漫画、ニュースなどは、ネットを流通ネットワーク自体から
排斥しようとしたがっている。

抵抗のしかたとしては、これは間違っていないのだけれども
これは、国内のみでは通用するやり方だが、
国際的な経済関係が築かれている現在の経済では
必ずしもよいやり方とはいえない。


新聞や雑誌という情報流通手段は、すでに前時代のものであり
ほとんど全ての部分でネットはこれに勝っている。

そのため、国家としての情報流通ネットワークの強化を
考えるならば、ネットを中心としたネットワーク、
(例えば、電子図書館であるとか)
を構築するのが急務なのだが
日本の新聞、出版は強大な組織すぎて、それを丸ごと破壊する
可能性をもつネットを国家がバックアップすることはできなくなっている。

既存のシステムを捨て去ることができなくて
新技術に対応できず、覇権を失ったアメリカやイギリスを例にあげるのが
適当かどうかはわからないが
ある意味では、新聞や雑誌といった出版業界からのネットへの抵抗は
国家規模では、マイナスの要因となる気もしている。

まだ、出版業界が強力でないインドや中国でなら、ダイナミックに
ネットをシステム内に取り入れ、新しい情報秩序を誕生させることが
可能かもしれないから。

その結果、その方面で日本は遅れをとり、結果として情報後進国となる
可能性があるのである。

すでにそうなっているのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
未来のことなんて誰にもわからないが、どうしても
そういった危惧を抱かずにはいられない。

新聞や雑誌は、日本人に多大な知識を与えてきたが、
今、それが日本知的発展を阻んでいるとするならば
それは歴史の皮肉ともいえるかもしれない。




posted by pal at 19:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
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