■松下戦略転換の背景■
うわあ、ネットワーク解析を学んでいる途中だから、
この構造的な部分について、(ド素人が)ネットワーク分析してみます。
面白そうなので。
まず、
(1)競争環境の変化:大手流通の登場
の部分から。
かつての松下電器が強かったのは、ネットワーク解析的に
単純化すると、マネ下の経営手腕でもなく、いい商品を作れたせいでもなく、
単に、「ハブ」を抑えていたからです。
引用しますが、
大手家電メーカーが部品から販売まで全てを握っていたのです
世の中不思議で面白いさんの、この一言に集約されます。
消費者との販売ネットワークにおいて、一番重要なのは
販売部分です。
かつてのネットワークを簡略化して図式化しますと
部品
|
製造
|
|
販売
| ←不特定超多数の消費者からのリンク多数(一本ではありません)
消費者
ですね。
ここで、もっとも重要なノードはどこかというと
販売になります。ここがもっとも多くのリンクの集るハブです。
この状態では、販売というノードの
媒介性にもとづく中心値が桁違いにあがります。
媒介性は、ネットワークにおける関係維持の必須点を示し、
それはすなわち、関係の切断力、情報の統率力を意味します。
つまり、ですな
ネットワークにおいて、最も重要なノードを
大手量販店に奪われてしまったわけです、松下は。
これは、松下が、関係の切断力と情報の統率力を
失った事を意味します。
これが失われた以上、
もはや、かつてのようなやり方ができないのは
当然です。この二つは、価格決定権に大きく関与します。
ハブこそが、ネットワークで最も重要な部分です。
ここがネットワークの錬金術の心臓部なんです。
(2)競争対象の変化:IT系企業の参入
再び引用から
トップ企業がとる戦略を具体的に書きますと、
(1)売れる商品を垂直立ち上げ的に市場に投入して、
他社が参入するまでのほんの短い間に大きく利益を稼ぐ
ここもネットワーク的に簡単に説明できると思います。
(まだド素人ですが)
多数の製造業者が存在し、それが分断されているネットワークでは
IT企業参入による多数の製造業者(各ノードは分断されている)
| ←製造業者の数と量販店の二乗だけのリンク
|
各種大手量販店(ここもノード(量販店)同士は互いに分断されている)
|
| ←顧客の数だけリンク
顧客
ネットワークを単純化するとこうなります。
いうまでもなく、大量のリンクがあつまるのは、大手量販店です。
ここが最大のハブになります。
この状態で、儲けを出せるのは量販店だけと言っても
過言ではないでしょう。
もっとも、量販店同士のリンクが断絶されているので
そう上手くも行かないのですが、とりあえず、この状態では
量販店有利のネットワーク構成です。
ですが、もし、
最初にある新製品をもってIT企業が参入してきたら
どうなるか?
IT企業の製造業者(新製品でリンク独占)
| ←リンクが量販店の数だけに
|
各種大手量販店
| ←顧客の数だけリンク
|
顧客
こうなります。
そうなると、ですね。
ある変化がネットワークに起こります。
媒介性に基づく中心性は、相変わらずハブ、
つまり量販店が高いのですが、このネットワークの場合、
量販店同士のリンクが断絶している為に、
量販店と量販店を結ぶハブとして、IT製造業も又、
ハブとなれるわけです。
この状態では、IT製造業にも
勝ち目が生まれます。かつては、ハブであった販売店が
系列以外の家電を扱わなかったので、製造業は
ハブにはなれなかったわけですが、量販店には
そういうのが無いので、ハブになれるようになったわけです。
しかも、新製品をもっている場合には
ネットワーク上において、唯一無二の競争相手のいないハブになれます。
儲かるのは必然です。
勿論、その後で、参入者を増やさないように
価格を下げて、棚をゆずらないのも当然ですな。
ハブとしての位置を相手に渡してはいけないのですから。
そんなことしたら、かつての松下の二の舞です。
他に、重要な事として、もう一つ、
ネットワークに拘束度というのがあるのですが、
まだ数字が理解できてない部分があるので、今日はここまで。