隠された風景―死の現場を歩く福岡賢正著
これね、僕も読みました。
僕の実家は農家でありまして、
なんというか、農業やっている人間には当たり前の事だけど
みんなは知らない事が1杯かいてあります。
豚とか牛とかね。
みんな食べているだろうけど、どういう風に作られて殺されているのかは
知らない人が多い。
豚はですな、養豚場で生まれたら「太るか死ぬしかない」のです。
一回の出産で10匹前後の子供を豚は産みます。
生まれたばっかりの牛とか豚は可愛いですよ、そりゃ。
でも、その中で、1〜2匹はすぐ死にます。
死んだら、バケツの中に入れられて、堆肥製造のプラントに
もっていかれて燃やされて、堆肥にされます。
成長した豚や牛は、名前なんてつけません。
全部、番号です。囚人みたい扱いです。
もう、農業やっている人にとっちゃ、豚や牛なんて、
肉以外の何者でもなくて、生き物という概念でとらえてないわけです。
で、太ったら、食肉センターに連れて行かれて
電気ハンマーで殺されて、解体されて
皆さんの食卓へ行くわけです。
こういう、生の現場の話をすると、
大抵の人は、引くんですよねぇ。
みんな、いつも食べているものが
どういう風に作られているか位知っておこうよ
って感じなんですけど。
高校生の頃ね、僕は、ボーイスカウトやってたわけですがね、
あるキャンプの時に、隊長がとちくるったのか
生の食材を渡してくれたことがあったわけです。
そう、生きた鶏を食料として、配布したんですよ。
いやー、生きた動物の解体なんてした事のない奴が
多数だったんで、シュールな事になりました。
ある後輩君が、鶏に名前つけたせいで
情が移っちゃって、大騒ぎになったり、
〆る前に首飛ばした馬鹿がいて、
首なし鶏が、首から血しぶきを上げながら暴れまわる展開を
見せたり、終った後、木に鶏の首だけをぶら下げて
悦に浸る真性が出現したりと。
なんつーか、生き物を食べるって事に関して
どういう事なのか、わかってない人が多いんじゃないか
って思ったわけです、この時ね。
もう一つ。
生き物関連じゃないですけどね、
大学時代、サークルで飲み会があったわけですよ。
その中に東南アジアからの留学生がいて
飲みの最中に、その留学生が、
出された料理を見ながら、なんか悲しそうにしているわけですよ。
どうしたんだ?って聞いたらですね、
その留学生がね、
「自分の実家は、エビの養殖成金で、
そのお金で日本に留学させてくれている。
うちの国には、お金が無くて、食べ物もろくに食べれない人達が
沢山いる。うちのエビがあれば、そういう人達がどれだけ助かるか。
それなのに、日本に来たら、エビを料理しても、食べられずに
捨てられていくのを何度も見てきた。
それが悲しい。」
長々と色々述べてきましたが、
とにかく、ですな、食べ物は大切に、って事です。
食べたくても食べれない人たちが沢山いるわけですし、
食べている者は、全部、かつては生きていたんですからね。