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2005年05月16日

マスコントロールの手法のお話

二項対立の話を前回しましたけど、今日は、それの延長にあ
マスコントロールの基本構造のお話。

いわゆるアジテートの構造であります。

ホリエモン騒動から、JR事故報道に至るまで、
マスメディア及びエンタメの使うマスコントロールの方法は
一貫しております。

構造的には三段階がありまして

1、明確な二項対立を明示する(例えばJRと被害者、CX対LD)

2、2つの陣営をわかりやすい論理によって善玉と悪玉に区別

3、悪玉側の内幕を調べ上げて、大衆が怒りそうな、あるいは嫉妬、妬みをかきたてそうな
  情動ニュースをドンと流す

の三段階であります。

第三段階までを上手くやってニュースを流すと、
視聴者である大衆の怒りが悪玉側に向います。

JRなんて、ただの車掌にまで暴力ふるわれ、置石が頻発し
線路から突き落とされそうになる人まで出る始末です。
このやり方が、どれだけ強い力をもつか、よくわかりますよね。

LD報道の時も、同じやりくちで、LDを悪玉にしようとしてた
TV局が沢山ありました。LDの経営の仕方に難癖つけて
乗っ取り屋の名称をかぶせた上で、ホリエモンのプライベートの記事を
探し、大衆の妬み、怒りを買いそうなネタを
ネットから週間誌、スポーツ新聞に至るまで流したのは記憶に
新しい事です。

この手法は、エンタメの分野では、
ウルトラマンから水戸黄門にいたるまで
馬鹿げたほど、多岐にわたって使われております。

ウルトラマンの構造では

1が 地球人VS宇宙怪獣

2は、ウルトラマンはかっこよく、怪獣は醜い。容姿で善悪を区別させてます。

3は、宇宙怪獣が、何かを襲って、大事なものを壊しまくる

ことで完成されます。

この三つの過程を経ると、ですね、
ウルトラマンによる宇宙怪獣への攻撃が、
一切のためらいもなく、正当化されるわけですよ。

ようするに、、
この3つの過程の狙いは、見る者の内側に怒りをかきたてた上で
その怒りを軽減するためのウルトラマンの暴力を
正当化する事なんです。

スクリーン上では、ウルトラマンが、見る者の怒りを軽減するために
スペシウム光線で、怪獣をバラバラにします。
そして、バラバラになった怪獣をみて
子供達はやんややんやの喝采をあげる訳です。

エンタメで、こいつが都合いい所は
怪獣がバラバラにされても道義的問題が生じない所です。
正義の味方の暴力を正当化する、数少ない手法といってよいでしょう。

前回のエントリでも扱いましたが、
問題は、この手法がリアルの世界で使われた時に何が
起こるかってことです。

単純な二項対立を完成させた上で、単純な論理で
善玉、悪玉を分け、その上で、悪玉の欠点を並べ上げると
どうなるか?

大衆の悪玉への怒りが、そのまま、現実の「力」となって
悪玉側とされた「現実の人々」に押し寄せます。

それがJRだったり、ホリエモンだったしたわけですけどね。
ホリエモン騒動なんて、最後の方では、
メディアのこういった一連の報道がきいて
アンチがかなり増えました。効果が高いことがよくわかると思います。

それと、これね、メディア内部じゃなくても
頭のいい人なら大抵、使うんですよ。

「週間!木村剛」のエントリ、

[ゴーログ]新聞記者に憧れています

でも使われてます。

この文章の論理展開を追っていくと

1、ブログとマスメディアという二項対立を打ち出す
2 論理的に、マスメディアの負の部分、悪玉論を提示
3、その上で自分がいかにマスメディアのせいで大変な目にあったかという
  人の情動部分に訴える文章を書く。

構造的には、マスメディアがよく使う論理展開と同じです。
木村さんが、これを意図的に使ったのか、無意識的に使ったのかは
知りませんが、まぁ、意図的に使っているなら
既存のメディアに対するちょっとした皮肉なのかもしれません。

これね、僕は悪くいうつもりはないんです。
はっきし申し上げて、ですね、
マスメディアがこういった方法で、攻撃を行おうとするなら、
それに対抗するには、同じ方法を使うしかないんですわ。

悲しいけどね、マスコントロールに対する
これ以上のカウンター方法なんて滅多にありません。

とにかく、こいつは効果がでかい。

同じ方法でしか、カウンターできないなんて皮肉ですけどね。
木村さんが、同じ手法でマスコミに皮肉を浴びせても
僕は、それはそれでいいと思ってます。

最近、メディアでは、ネットやブログの危険論が
時折、見られますけどね、
これもやり口は同じです。

騙されるな、というのは簡単なんですが、二項対立ってのは
人間の基本認識構造ですから、
非常に困難だと思っています。

メディアリテラシーの限界といいますか、なんといったらよいか。

とりあえず、メディア、ブログ、掲示板とかのニュース発信媒体が、
この手法を使ってたら、とにかく
感情を動かされない事が重要です。

感情が動かされたら、まず間違いなく利用されます。

大衆ってのは、簡単な論理と感情によって
動くということを、アジテートしたい人間は知っています。

気をつけていても、ハマってしまう巧妙な罠なんで
難しいんですけどね。

それと、この手法を使ったニュースは、信頼以前の問題でして
アジテートを目的としている部分があるので、
話半分程度で聞いておくのをお勧めします。

ちなみに、僕も使いますので、ご注意ください。



posted by pal at 17:45 | Comment(0) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
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