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2007年02月20日

経済学は厳密な科学ではないかもしれないがそれでも必要だ

「科学としての経済学」のトリセツ

科学の経済的価値


sividさんのエントリとdanさんのエントリ読んで思ったんだが、経済分析が生み出した色んなモデルがもてはやされ、


「法と経済学」のコラム

法と経済学


こんな風に、経済分析が、立法や政策立案の場面でも使われているのは、歴史的にみて、ちゃんとした背景があるんだから、しょうがない希ガス。



そもそも、何で、ここまで経済学が重要になったかというと、産業革命後、国家内において、賃労働者が増えるにつれて、「不況時」における、「失業」の問題が深刻になっていったからだと思う。



なぜ経済学好きたちは、経済学が「ためになる」ことにこれほど執着するのだろうか。



弾さんとこからの引用だけど、これは「ためにならないと困る」レベルだと思う。


そう思うのは、もう一つには第二次大戦を引き起こした世界大恐慌のせいだろう。


あの悲惨な世界規模の戦争は歴史的に見て経済学のような経済分析ツールがいかに重要かを思い知らせた。


世界大恐慌の原因


↑のページに世界大恐慌の原因をまとめたエコノミスト誌の翻訳があるんで、ちょっと引用させて頂くけれど、


移民を拒否され、資金を吸い上げられたヨーロッパに対して最後に加えられた打撃は、
31年のスムート・ホーレー法、経済学者が歴史上最悪の立法と呼ぶ貿易制限法だった。
これによりアメリカへの輸入関税は平均50%引き上げられた。
アメリカ労働者の実質賃金を守るためという大義名分のもとに、
全米の経済学者千人以上の反対署名を押し切ってフーバーが成立させたこの貿易法は、
直ちにオランダ、ベルギー、フランス、スペイン、イギリス等の関税報復措置を招き、
米欧貿易は急速に縮小し、一次産品・資源輸出国も甚大な被害をこうむった。
これにより世界大恐慌はフルスケールで進行することとなった。



という歴史的な背景がある。もひとつ引用させていただくけれど、

もしも、当時のアメリカが連邦レベルでニューディール以上に強力な積極財政を実行し、
設立後15年の連銀が超歴史的視点に立って積極的な金融政策を展開していたならば、
60年前の世界大恐慌は戦争によらずして解決されていたかもしれない。
歴史的制約、経済学の未成熟、政治的現実などによってであろう、歴史はそのように展開しなかった。
しかし、大恐慌から第二次世界大戦にかけて人類が支払った高価過ぎる代償からすれば、
この歴史の「もしも」は今度こそ試されなければならないであろう。



第二次大戦の原因は、今でも論争があるけれど、その原因の一つに、経済学という学問の未成熟があることは間違いないと思う。あの戦争の結果として、経済分析がいかに重要かを我々は学んだ。現状の世界経済の舵取りを行なう上での羅針盤として、経済学はなくてはならない学問なんである。


例え、不完全な学問であるとして、その重要性は変わらない。60年前に起こった過ちを繰り返すわけにはいかないからだ。第三次世界大戦を起こすわけにはいかない。


第二次大戦は、アメリカにおける金融政策の失敗や政治的な問題に端を発した。


経済学が、ここまで問題にされるのは、そうした背景からで、僕が経済学者の意見などに耳を傾けないといけないと思うのは、そういう理由からだ。


経済の舵取りの失敗で引き起こされた第二次大戦という大失敗を繰り返さない為にも、やはり経済学は必要なのだ。


「ためになる」学問であらねばならない理由もここにある。

もう一度、世界大恐慌を繰り返すわけにはいかないからだ。そして、その結果として第三次世界大戦がおこってはならない。


アメリカは、そういう教訓を学んで、第二次大戦後は「それなりに」上手く世界経済を運営してきた。


ベトナム戦争やイラク戦争のような馬鹿げた振る舞いをしてはいるが、少なくとも、金融や経済に関しては、世界大恐慌の時のような馬鹿な間違いはしなかったし、それから、自由貿易による富の再分配も行なってきた。


無論、時として、逆行的な動きも見せたけれど、アメリカ国内で産業空洞化が叫ばれた時なども、一応は、自由貿易路線を貫いてきたわけで。



そうした背景には、ケインズやフリードマンなどによる経済学の発展があると言える。彼らの功績は、そういう意味で非常に大きいのだ。


繰り返すけど、経済学は、現在、「ためになる」どころか、「役に立つツールを提供する」学問でないといけない。グローバル化が進展して、国際貿易がどんどん活発になるだろうけど、そういった状況の中で、再び、世界大恐慌が起こって第三次世界大戦が起こったら、その被害は未曾有の規模になるからだ。


何せ、今の国家の幾つかは、核をもっているわけだから。


だから、何度もいうけれど、経済学は「役にたつ」学問でないといけない。責任ある学問でないといけないのだ。もう一度、60年前の間違いを繰り返すわけにはいかないのだから。


不況は失業だけでなく、クルーグマン流の言い方をすれば、最大の公共福祉、つまりは戦争にも結びつく。


そういった状況に陥らないためにも、経済分析のツールとしての経済学は役にたつべきレベルまで成熟すべきなのだ。







posted by pal at 19:07 | Comment(3) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
私見では、
経済学って、しょせん過去の経済現象の
後付の説明概念でしかないので、
役に立つわけないと思うのですが。
まぁ、「役に立つ」の定義しだいですが。
特に、この理論が「正しい!」とか言われると
はぁ?ってなかんじです。
Posted by ねこ at 2007年02月20日 21:15
私見では、
科学って、しょせん自然現象の
後付の説明概念でしかないので、
役に立つわけないと思うのですが。
まぁ、「役に立つ」の定義しだいですが。
特に、この理論が「正しい!」とか言われると
はぁ?ってなかんじです。

ですか?
Posted by TDa at 2007年02月21日 09:53
心配しなくても、経済学が全く不要で全く役立たないと思っている人は、ごく少数でしょう。

ただ、十分な検証を得ない仮説が独り歩きしたり、前提条件を無視したモデルの適用が闊歩したり、都合の良い結論を導き出すために恣意的に用いられたりということが多すぎはしないかと、私は思います。

だからこそ、経済学を学んでおくのは、経済学に積極的な価値を認めるか否かに関わらず大事なことだと思います。

上記のことは、自然科学についてもあてはまることですが。
Posted by blackdragon at 2007年02月21日 11:46
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