中国デモのことに偏りがちだ。
まぁ、それはいいとして、TVは過激なデモの画像ばっか
流して内容がない。だから、どうしても新聞やネットで
情報集めする事になるわけだが・・・
うちは、日経と神奈川新聞を取っているので
読み比べが可能になる。
日経で連載されている「第四の極 中国」という連載では
様々な立場の人達の意見を聞いていて貴重な意見なんだけど
昨日の慶大教授国文良一さんの連載では
中国の中で燻っている社会不安などについて
述べておられ、中国の有名大学卒でも就職率が5割を切っている
実情や市場経済化によって生まれた少数の勝者と大多数の敗者
といった社会情勢を背景として生まれた政府への批判、
そして、中国に入り込んで、金儲けを続ける日本企業への
不満などが載っている。
印象的だったのが
「中国は外資に牛耳られている」
なんてネットの記載だった。
これを読む限りでは
市場経済によって生まれた社会格差に対する不満が
江沢民主席によって
主導された愛国主義教育をうけた中国国民の
中国市場で潤い続ける日本企業への敵意となって
現れたかのように思える。
今日の神奈川にのっている北京共同からの「大型解説」
なんかだと比較的豊かな地域である北京、上海、広州などでデモ
が起こった事を取り上げ、それをインドネシア、韓国、台湾などで
経済水準がある一定のレベルに達してから起こった民主主義化要求運動と
結びつけ、今回の反日デモは若者らを中心として起こった
自由な発言の権利を求める動きが強まる前兆ではないか、なんて
推測を述べている。
今回の反日デモは、若者が中心だったのが特徴で
それと結び付けての推測なんだろうけど、ちょっと
これには同意しにくい。大学生の就職率が5割を切っている
なら、衣食住が足りているとは言いがたいから。
ただ、ネットの意見の掲載は面白かった。
「対日賠償請求放棄は誤りだ」
「中国での歴史教科書改竄も日本と似たようなものだ」
「民意を長期間封鎖できた国などない」
といったネットでの書き込みを取り上げていた。
ぶっちゃけ、中国語が読めれば、こんなの日本からでも
読めるわけで。そんなのを取り上げるあたり、取材してないんじゃねぇかと
か前日の日経の国文さんと同じような単語をいくつか使っているあたり
国文さんの記事とネットだけから意見あつめて書いた記事なんじゃとか
思ったが(小池さんの件以来、どうも共同にはいい印象がない)
これは、これでありがたかった。
大体、不満がどのようなものかをおおまかに伝えてくれたからだ。
不満の背景として、理解できるのは
結局、経済は成長しているのに
就職率が5割を切っているネット世代の
大学生達の不満の矛先が、中国の最大の貿易相手国の
一つであり、中国で多大な利益をあげ、
中国の富を盗み取っているかのように思われている
日本に向いている事。
愛国主義によって教育された為、日本への敵意が強いことが
それを後押ししている事。
そして、自分達が一生懸命勉強しても5割しか就職できない
為に、その不満が政府にも向けられていること。
そういった政府批判も沢山でてきたので
中国政府も、焦って、デモ規制にはしったと考えると
納得がいく。
ぶっちゃけ、僕自身が納得いく構図としては
貿易摩擦時代の日米と似ているという所に落ち着く。
ただ、江沢民主席によって推し進められた愛国教育を
中国人が受けているので、ちょっと過激になりすぎるかもな、
とは思うけれど。
ネット上の日本叩き、日本製品ボイコットなんてのも
中国の富を盗む日本という構図が、中国の学生層の意識に
あるようにも見える。そして、現体制への不満の高まりも。
学生層のエネルギーがどこに向かうかはまだわからない。
ただ、経済的依存を日中が深めている以上、
もう後戻りはできない。日本のマネーを中国は必要としており
こんな学生運動を中国当局は許さないだろう。
結局、どれだけうまく、経済的に、中国の貧富の差を
縮め、社会不満を解消できるかなんだろう。
そうすると、やはり日本のマネーが必要になるから
仲直りするしかなくなるんである。
最後に今日、日経にのっていた「第四の極 中国」では
仏の歴史家E・トッドさんの記事だった。
フランス的な見方が非常に面白い。
中国の政情を歴史家らしく分析していて
マルクス主義と共産主義が滅び、それに代わる統制手段として
現在、中国が進めているのが排外主義と紙一重の
国粋主義だと述べておられる。
「政治的自由のない一党独裁、完全に民営化されていない企業による
生産、そして国粋主義の三つの要素が結びついたのが状況を
ファシズムと歴史家は呼ぶ」
といっておられる。まことに歴史家らしい物の見方であり、
僕にはわかりやすい。
記事からはアメリカへの敵意が伝わってきて、フランス人の
アメリカ嫌いが伝わってくる。
また、面白いことを言っている。
欧州、日本、ロシアは安定した極で、高齢化が進み、
人口もいずれ減少に向かうといっておられる。
ただ、アメリカにしろ、中国にしろ、高齢化は問題だし
これは眉唾におもえる。特に中国の高齢化は深刻なのだ。
あと30年もすれば、中国の高齢者は3億人を超えてしまう。
また不安定な極としてアメリカと中国をあげ、その間にはさまれた
日本が地政学的に、非常に危険だと述べてもおられる。
まぁ、実際にそうなのだが、それの解決策として
地政学的に日本が組むべきパートナーとして
ロシアを上げているのが面白かった。斬新だ。
ロシアのメディアは、トッド氏によれば、
「何故、日本は中国、韓国と周囲に敵ばかり作って
ロシアと結ばないのか」との論調があるという。
初めて知った、こんなこと。
中国の台頭は万国共通の脅威であるからして
戦略パートナーとしてロシアと組むのは日本にとって
合理性があるという。
ただねー。
ロシア石油大手ユーコスを半国営化し、増税で石油利権から
外資を追っ払おうとしており、
国家統制を強めている現プーチン政権って
トッド氏が最初に述べているファシズムの仮定に
まんま当てはまるわけですよ。
はっきりいって、安定した極じゃない。
韓国、中国、ロシアの三つは、明らかに安定してない。
そんな三つの国に向かい合っている日本が
結べる国なんてアメリカしかないでしょ。
もう何がなんだか。
読み比べをすると頭痛くなってきます。
今日はこれまで。
大学生達の不満の矛先が、中国の最大の貿易相手国の
一つであり、中国で多大な利益をあげ、
中国の富を盗み取っているかのように思われている
日本に向いている事。
そうなんですか。それはそれで理解できる気がします。
はじめまして TBおくります。
読売新聞の社説はどうなの 2
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