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2005年04月17日

既存のエンタメの前に現れた最悪の敵

前回のエントリの続きであります。

できれば、前のエントリを読んでから、こちらを読んでいただけると
助かります。

漫画、小説、ドラマ。
どれも、かつてはエンタメ業界の柱的存在でした。
少なくとも1980年代あたりまでは。

ですが、1990年代にはいって、この業界に新規参入者が現れました。
ゲームとネットです。

この二つの新規参入者の恐ろしさを当初、この業界では
認識していませんでした。むしろ、新しい仲間と認識していました。
ですが、この二つの勢力の恐ろしさにもっと早く気付くべきだったと
僕は考えています。

そして、最近、最悪の形での敵が勃興しつつあります。
それは、オンラインゲーム。
ネットとゲームが融合した存在。

オンラインゲームが何故、ストーリー業界にとって最悪の敵なのか。
それが今回のエントリで書きたい事です。

参加型小説というエントリでかいたように
ストーリーを作って売る業界にはすでにストーリー的に限界が見え始めています。
それは1970年代から顕著になっていたのに、
この業界の誰もが、それを真剣に考えてきませんでした。


僕は、その停滞状況の打破の為に、作家だけでなく、複数の人間を
ストーリーの創造の段階で引き入れるべき時期だと思っていますが
それを、違う形でやっているのが「オンラインゲーム」なんです。

この新しいジャンルのゲームが切り開く未来像に関して
もっとよく理解しておくべきです。特に漫画、小説、ドラマ界などの
人々は。

近い将来、自分達の属する業界の顧客を食い荒らされる可能性があるから。

「オンラインゲーム」といっても、おそらく、この形のゲームを
やった事がある人は少ないと思います。ですので、いくつか
この形でのゲームがどういうモノなのかを
説明しておきます。

代表的な「オンラインゲーム」つまり大人数参加型MMOという形でのゲームは
現在、いくつかありますが、代表的なのは、欧米型ではウルティマオンライン、
エバークエスト、ワールドオブウォークラフト、
韓国産ではラグナロクオンライン、リネージュ、
そして日本産ではファイナルファンタジー11といった所でしょう。

これらの代表的MMORPGというのは、既存のドラマ、映画、アニメ、漫画とは
完全に一線を画しています。理由は、ゲームをやっている人間が
完全に能動的にその世界に参加できるという点で。

オフラインゲームというのは、既存のエンタメと違って、能動的に
創り上げられた世界に関われます。RPGではゲームをやっている
人間が主人公キャラを操る形をとっていますよね。
ここにゲーム性が生まれるわけです。

一方で、漫画、アニメ、ドラマ、映画は、創り上げられた世界に対して
読者が参加することを許していません。読者がどんなに頑張ろうが
主人公が読者の希望通りに動いてくれる事はありません。
ゲーム性は生まれないんです。

RPGゲームにもストーリーはあります。ですが
読者にある程度の参加を許すことでゲームに対して
強く能動的に関わることを許し、そこに漫画やドラマにはない
ゲーム性を生み出しています。他のエンタメに無い物をもっている。
これがRPGゲームの強さなのです。

ですが、今までのオフラインゲームには、問題がありました。
いくら能動的に関わるといっても、限界がありましたし、
作るのにコストがかかりすぎる。また、収益性の問題も。
ソフトはなんだかんだで高いですから、なかなか顧客に
かわせるのも大変でした。

しかし、それでも、ここまでゲーム業界は肥大しました。
その事を忘れてはなりません。

そして、最近、様々な意味で、既存エンタメ業界にとって
最悪な形での敵が、とうとう現れてしまいました。
それが、最初にも言ったとおり、オンラインゲーム。

つまり、大多数の人間が参加し、そこに巨大なコミュニティが生まれる
ゲームです。

多くのオンラインゲームには、「ストーリー」がありません。
勿論、あることにはありますが、
小説、ドラマ、漫画のような形でのドラマティっクな物は
ほんの少数といってよいでしょう。

スクエアがFF11を発表した際において
既存ゲーム業界から数多くの疑問があがりました。
それまでのオフラインゲームタイプのFFシリーズにおいては
主人公の謎とそれにあわせて急転直下するストーリー展開が
売りの一つだったからです。

ところが、オンラインゲームでは、参加者の一人一人が
自分のキャラクターを持ちます。これでは、かつてのFFシリーズの
売りどころであったストーリーの面白さをうまく使いこなせない。
これでは、上手くいかないのではないか?
そう思った人が沢山いました。

ところが、FF11は売れました。
それどこか、スクエアでも非常に利益率のいい部門と
なりました。スクエアのオンラインゲーム事業が好調なのは
有名な事です。

では、一体何が、この分野、つまりMMOに人がひきつけられたのか。

ゲーム性でしょうか。

確かにゲームとしてはよく出来ています。
ですが、システム的には、敵を倒して延々とレベル上げを繰り返したり
合成、生産を延々と続けるだけのゲームです。

本質的な事をいうと、ゲーム性ではありません。
MMOの恐ろしさは、ゲーム性でなく、そこに大多数の人間が
参加している為に、「いつも違った世界」が提供され、
そこに能動的に関われる、という部分です。

そして、この部分を、ドラマにしろ、漫画にしろ
小説にしろ、もっていないんです。
これらの世界には、読者は能動的に関われませんし
何度読んでも、同じ世界しか提供されません。
つまり、飽きがくるのが速い。とにかく速い。

ストーリーという部分においては、すでに限界に
達していて、これ以上の変化を望めないという事は
すでに以前のエントリで書きました。

オンラインゲームが食い荒らすのは、
こういうストーリーを重視せずに、ただ単に
違う世界で能動的に遊びたい、という人の層です。
R30さん風にいうなら「ローエンド」破壊といった所でしょうか。
ストーリー、キャラクターに限界が見え始めた以上、
それを強化することには力を注がずに、他の部分で勝負する。
それは、MMOを通じて行われる「常に違う世界」であったり
「生み出されるコミュニティ」だったりします。
「ゲームとして必要最低限のものを提供」した上で
後は、「ユーザーに自由に遊んで」いただく。それが
MMOの基本なんです。

おそらく、ストーリー性を求める人というのは
わずかで、上記にあげた欲求をもつ人のほうが潜在的には多い。

オンラインゲームが、ゲームにおいて主流になった場合、
そういう人達がなだれをうって、そちらになだれ込む
可能性があります。10年後か、20年後か。

僕が恐れるのはそういう可能性なんです。
こういう事を考えている人は少ないでしょうが・・・・

オンラインゲームをやった事がない人には
その面白さがわからないと思います。

ですから、ストーリー界に生きる人は、とりあえず
やってみて、その面白さと潜在的な恐ろしさを
知っておいたほうがよいと思います

現在、オンラインゲームは、ニッチな産業です。
ですが、10年、あるいは20年後には、恐ろしく巨大な
産業に膨れ上がるでしょう。

いずれ、パソコンが安くなり、一人一台のパソコンを持つ時代が
必ずきます。その時、最強のエンターテイメントとなるのは
オンライゲームだと確信しています。

その時になって、始めて、漫画、ドラマ、小説は
自分達の前に現れた敵の恐ろしさ、自分達の死期を
悟るのでしょう。

その時になって動いても手遅れ、じゃないかと思います。
ですから、早く動かないといけない。

ですから、新しい方向性について、早急な論議が必要としている
じゃないかと思います。

既存の小説、漫画、映画、ドラマの新しい方向性や、
既存のオンラインゲームがもつ問題点などは
またの機会に。




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