最近、ゲームの話ばっかりだけど、今日もゲームのお話です。
上記のリンクは、日本のゲームソフトの売り上げと北米のゲームソフトの売り上げを簡単にみれるので、お勧めのページです。
で、上記のページのデータを参照にしながら、ゲームの日本と北米の違いについてまとめたいと思います。
まず、2005の北米のハード売り上げと2006の売り上げですが、
American Yearly Summaries
これを見ていただけると、北米でのそれぞれのハードの強さがわかると思います。
まず、北米では、まだまだPS2は現役ハードで、よく売れています。上記のデータは、ハード売り上げで一番出る2006年の12月が加算されていないので、PS2は、今年も五百万台は出ると思われます。
今のところ、PS2は、北米最大のハードウェアであり、巨大なシェア(4000万台)を取っているのが見て取れます。又、北米ではGCが1200万台、Xboxが1500万台のシェアをもっており、北米では、それなりに成功したハードになっているのも特徴です。
で、問題の次世代ハードですが、Xbox360が、PS2並に売れているというのがわかります。北米では、すでにXbox360は十分なシェアを整えつつあり、又、後述しますが、ソフトでもミリオンタイトルが幾つか出ています。
その後に、Wii、PS3が続きます。
携帯ゲーム機に関しては、DSが台数を2005年に比べて飛躍的に増やす一方で、PSPは、失速しています。年末商戦では、さらに差がつくことが予想されますし、日本と同じようにDSタイトルでミリオンがいくつも出ている状況なので、PSPに関しては苦しくなる一方だと思われます。携帯ゲーム機に関しては、日本とさほど変わりません。GBAとDSで、北米は任天堂が完全に支配しています。
一方で、日本なんですが、
Japanese Yearly Summaries
こうなっています。
据置に関しては、PS2が前年度と同じ程度売れると思われます。又、北米と同じく、未だに据置の主流はPS2です。
北米と違い、圧倒的なPS2一強の市場なのが特徴です。GCとXboxを合せても、PS2の五分の一程度のシェアしかもっていません。PS2が圧倒的な強さを見せているのが、日本市場での特徴です。
もう一つ、北米との違いですが、市場では据置→携帯へのゲーム移行が起こっており、圧倒的にDSが人気があるという事です。北米以上に売れているハードは、これしかありません。一人一台DSという状況になるのは時間の問題かもです。
次に次世代ハードに関してですが、X360は、北米と比べて大幅にすっこけており、今年のブルードラゴンで、どれくらいタイトルを延ばせるかでXbox360の日本普及の成否が決まりそうです。
Wiiはスタートダッシュに成功したように見えます。PS3は、出荷が遅れており、今年の年末商戦に間に合わすのは不可能なように思えます。日本市場では、ハードはクリスマスと正月に年間出荷台数の1/3から1/2程度が売れるので、この時期に大量出荷できなかった場合、PS3は、Wiiに追いつくには、最低でも半年はかかると思われます。
次の年末商戦に主力ソフトをサードに投入してもらい、一気に台数普及を狙えなかった場合には、PS3は、かなり苦しくなります。おそらく、次の年末商戦にビッグタイトルをもってこれなかった場合には、PS3は、国内市場ではWiiにおいつくのは、ほぼ不可能になるのではないかと思われます。
据置ハードの寿命は5年ですから、2回目の年末商戦でヘマをこいた場合には、おそらく巻き返しは不可能でしょう。3年目の年末商戦で逆襲したとしても、ハードの寿命は残り2年程度しか残っていないわけですから、PS3にかけられた費用を考えると、PS3陣営は高価格と出荷遅れで、非常に苦しい展開です。
次に、ソフト売り上げの北米と日本の違いについてです。
North American Chart for 2006
Japanese Chart for 2006
それぞれ、リンク先を載せておきますが、北米ではXbox360のミリオンソフトが幾つかあるのがすぐわかると思います。
北米では、すでにXbox360が、成功したハードになりつつあり、ミリオンが出せるだけのプラットフォームになっているのがわかります。
特徴としては、Gears of WarやCall of Duty 2、Saints Rowのようなガンアクションが人気があるという事ですね。
日本では、FPSやガンアクションはさほど人気がありません。バイオとかはありますが、日本では格闘アクションや剣を使ったアクションが人気です。
このあたりは、子供の頃、カウボーイごっこをして遊ぶアメリカ人とちゃんばらをして遊ぶ日本人の違いと言えるかもしれません。好みが違うんですよね。
ただ、似ているところはあります。
例えば、北米でもDSのタッチジェネレーションズのようなソフトが受け入れられつつあるという事です。
Nintendogsが累計300万本、Brain Age(脳トレ)が89万本、 Animal Crossing: Wild World(動物の森)が89万本と、驚異的な売れ行きを見せています。
また、日本と同じように、これらのソフトは、時間がたっても、さほど売れ行きが落ちないのが特徴です。
特に、nintendogsはやばく、発売された月に23万本でしたが、一年以上経過した先月でも、38万本売れています。売れ行きが落ちないどころか、増えているというのはね。
脳トレも、発売された月に10万本で、先月9万本です。これは、日本と同じく、かなり驚異的な数字です。
こういう事からわかるように、タッチジェネレーションズのようなソフトは、北米でも十分すぎるほど受け入れられる余地があると考えたほうがいいと思われます。
さて、ここからが北米と日本と最大の違いになりますが、北米市場では、据置ゲームハードのソフトの売り上げの下降が、日本ほど酷くないというのが挙げられます。
例として、Kingdom Hearts2を挙げますが、
北米
http://www.vgcharts.org/usagamemh.php?name=Kingdom%20Hearts%20II
日本
http://www.vgcharts.org/japgamewk.php?name=Kingdom%20Hearts%20II
の二つを見てください。
北米では、発売後4ヶ月経っても、10万本売れてるんです。一方で、日本では四ヶ月も経つと1000本以下になってしまいます。
ここが、日本と北米のPS2ソフトの売れ行きの違いです。
アメリカのPS2ソフトの売れ行きを幾つか見ればわかるんですが、アメリカのゲーム市場は、ソフトの商品寿命が、日本と比べて長いのが特徴です。
また、ジワ売れするソフトがPS2、GCソフトにもあります。日本では、こういうのはDSしかないんですね。
例えば、ですが、Guitar Heroなんかいい例です。
北米で65万本売ったソフトですが、発売された月に38,500本、その後、毎月コンスタントに6〜9万本売ってるんですね。こういう売り上げをみせるソフトは、日本ではDSのタッチジェネレーションズや動物の森くらいで、PS2ソフトには、ほぼありません。
他にもDSソフトの「カドゥケウス」の売り上げなんて、日本市場と北米市場の違いを顕著に表していますが、
北米版
http://www.vgcharts.org/usagamemh.php?name=Trauma%20Center:%20Under%20the%20Knife
日本版
http://www.vgcharts.org/japgamewk.php?name=Trauma%20Center:%20Under%20the%20Knife
となっています。
北米版のほうは、26,000本、発売当初の月に売れて、その後、一時2500本まで落ちますが、その後、息を吹き返して、先月は10000本うれてます。
一方、日本版のほうは、典型的なファイナルファンタジー曲線です。
発売当初4週間で、ほぼ商品寿命が尽きています。
ファイナルファンタジー12の売り上げ推移のリンクも張っておきますが、
http://www.vgcharts.org/japgamewk.php?name=Final%20Fantasy%20XII
で、発売当初に180万本うって、その四週間後には四万本しか売れなくなります。さらに、もう5週間も経つと、一万本も売れなくなるわけです。その後、売り上げが戻ることは、決してありません。こういうソフトの売り上げ曲線をファイナルファンタジー曲線なんて呼んでみたわけです。
これは、バイオ4でも同じでして
北米版
http://www.vgcharts.org/usagamemh.php?name=Resident%20Evil%204
日本版
http://www.vgcharts.org/japgamewk.php?name=Resident%20Evil%204
北米では、バイオ4は、発売後四ヶ月くらい経っても15000本くらいは売れるんです。GCでもPS2でもね。
でも、日本では、発売後四ヶ月したら、1000本以下になっちゃうんですね。
日本では、とにかくこの傾向が強いんです。大作は、大抵ファイナルファンタジー曲線になります。
勿論、例外は幾つかあります。
Japanese Weekly Chart for New Super Mario Bros
マリオは、普通のゲームっぽいゲームなわけですが、息が驚くほど長い。発売後、半年たっても週3万とか売れているわけです。化け物ソフトです。マリオですから、当然ともいえますが。
けど、任天堂タイトル以外でも、
Japanese Weekly Chart for Final Fantasy III DS
RPGのFF3は、DS曲線に近い線を描いてます。FFなのに。GBA版とかは、もろにFF曲線なんですが、なんでかDSだけ、こんな事になっています。僕も買いましたが、ジョブチェンジシステムが、作り直され、やりこみがいがあり、面白く極めてよく出来ていました。このあたりが、一つの要因かもしれません。
あと、アメリカのアマゾンでもよく売れているようなので、FF3は、アメリカでもよく売れそうです。
FFシリーズとかは、日本では発売後2ヶ月もしたら、一週間1000本以下になるのが普通なんですが、FF3だけは、先週も8500本ほど売れてます。このままいけば、ミリオンになるでしょう。
あと、サードで日本市場で、DS曲線を描けたソフトは、
たまごっち
Phoenix Wrigh(逆転裁判)
Japanese Weekly Chart for JLAA Official Kanji Kentei DS
Puzzle Series Vol. 3: Sudoku
あたりになります。数独と、漢字検定は、タッチジェネレーションズ風味ですが、FF曲線ほど、売り上げの落ち込みが酷くありません。どちらも、このペースでいけば30万本程度売れるのではないかと思えます。
又、逆転裁判は、ここ数週間で、売り上げが「上がっている」んですね。これは凄いことです。今までのソフト市場では、まずなかったことです。発売後、すぐに売り上げ本数が落ちて、FF曲線かなーと思ったら、息を吹き返したんですね。
アメリカでも、発売後半年経過しても、月5000本程度売れてます。発売当初の月に1万本程度だったので、本数が落ちにくいソフトのようですね。
とりあえず、日本では、こういう風にFF曲線(発売から4週間程度で寿命が尽きる)をとらず、DS曲線(発売後4週間たっても、ある程度の売り上げをコンスタントに挙げつづける)を取るソフトは、DSにしかほとんどないのが現状なんで、DS曲線なんて呼んでみたわけです。
勿論、同じ携帯ゲーム機のPSPのモンハンとかも、同じような部分があります。
Monster Hunter Freedom
これ、コンスタントに売り上げてるんですね。最初の週に11万本で、先週でもまだ5000本売れてるんです。
他のソフトは、烈しくFF曲線なんですけども。
まとめに入りますが、
1、日本市場では、据置ゲーム機でソフトを出す場合には、初週が勝負。FF曲線が据置を支配しており、商品寿命は4週間ほどで尽きてしまう。
2、携帯ゲームのDSで出す場合には、ソフト次第で商品寿命の長いゲームを作ることができる。次世代機は、今のところ不明。
3、北米市場では、据置ゲームでもソフトの寿命が長い。据置ゲームでも、DS曲線を描くことが可能な市場。
4、北米市場でもDSブーム、タッチジェネレーションズのようなシリアスゲームブームが到来しつつある。PSPも奮闘しているが(ミリオンソフトが出ている)、DSほどではない。
5、北米市場ではXbox360ソフトの売れ行きから見て、次世代据置機には、まだFF曲線の悪夢は襲ってきていない。ソフト次第でDS曲線が描ける。日本のXbox360ソフトは、そもそも売れてない。
というのが、北米と日本のゲームソフト市場の違いではないか、と思います。ソフトとハードの売り上げのデータみた感じですが。
最後に仮説ですが、ゲームにおいては、ストーリー性を強めるとゲーム性が失われるのではないかと思います。
ここでのゲーム性とは、「プレイヤーの意志決定によりゲームの展開が左右される」と定義しておきますが、ストーリー性を高めようとすればするほど、主人公の設定やゲーム展開に縛りが多くなります。
つまりですが、DVDを見せられているような感覚にプレーヤーがおちいり、「やらされている」感覚におちいるという事です。
FFとか、大作RPGにこの傾向が強いですが、ストーリーと美麗なグラフィックを主軸にしたソフトは、プレーヤーの進路が、何度やっても一定にされてしまいます。一本道をすすませざるを得ないわけです。ストーリーの都合上。そのため、ゲーム性を犠牲にせざるをえません。
そういうゲームは一回やれば十分なので、即日本の巨大な中古市場に出回ってしまい、FF曲線を描きやすいのかもしれません。
あと、格ゲーとかアクション、スポーツ物は、操作方法がどれも一緒で飽きられている感もあります。グラだけ良くなっても、操作が一緒では、結局すぐに飽きられてしまいますし。
飽きられているから、キャラを色々だして、ストーリーを付け足してみたものの、それでも、結局一通りクリヤーしたらユーザーは売ってしまう。
で、日本市場では、中古市場がでかいので、携帯ゲームでも、スポーツ物や綺麗なグラフィックに長大なストーリーを組み合わせたゲームはFF曲線にはまりやすいと。
タグ:game
特に逆転裁判DSのあれは500から1万本への推移ですが、廉価版が発売されたから起こった推移です。
あと、北米では徐々にソフトの卸値が安くなって
発売価格も安くなって行くってのもあります。
特に任天堂のソフトでは49ドルのものが19ドルで
売られてその価格の安さで
未だに人気なソフトもあります(スマブラやマリサン、マリオカートなど)。
これは卸値を下げてるので、実質廉価版みたいなものです。
まあ全部が全部そうでは無いですが。
日本でも龍が如くの1890円の廉価版が10万本売れたりして、日本でも思い切った値下げによっては
商品寿命はまだまだ伸びるんだと思います。
で、まあ言いたい事は日本の中古市場って存在は仰るとおりやっぱ大きいですねってことです。
物語があって、そこにプレイヤーが介入でき、その周辺をグラフィックが固めて世界観をつくるというのがFF的物語型RPGでそれに他のゲームも追従しているというか。
自分はそういうの好きなのですがなんかゲーマーからは嫌われている感じでちと哀しいです