僕も献本して頂いたんで、書評をば。
しかし、書評あげようにも相変わらずアマゾンにページがないとはこれいかに。
弾さんも書いてますが、これは良くないです。発売がすぐそこなのにネット最大の書店アマゾンに無いのは頂けません。
あと。
弾さんのインタビューが滅茶苦茶かっこいいんですが。ハードボイルドチックです。
で、本の中身になりますが、1章から7章までは、ウィニー関連です。佐々木さんが取材してかかれた内容で、ウィニー裁判関連について興味のある方にはお勧めです。
その後に、ITの標準化の歴史、オープンソースを巡る国家間の思惑、それからデジタル家電、国産検索エンジンの話になります。
非常に楽しく読ませていただいたのですが、後半では残念な点がひとつ。
今、ちょうど、ソニーのPS3と任天堂のWii、それからMSのXbox360の間で次世代据置ゲーム戦争がはじまったところで、それについての言及が無かったことですね。
今月に出る本なんですから、それについては、デジタル家電の項で触れておくべきではなかったのでしょうかという。
あと、グーグルのもつポジションなどについても、軽く触れておいたほうが良かったんじゃないかな。
「デジタル家電は今後,Webサービス型になる」−−米UIEvolution社CEO - デジタル家電 - Tech-On!
こっちは中嶋さんのインタビューですけど、松下とスクエアが提携して、中嶋さんのUIEは、スクエアの子会社なので、松下のこれからについては中嶋さんの考え方が反映されていく部分があると思うんですよね。
松下に関しては、アクトビラを推進してますけど、これは、典型的なというか、Webサービス型のデジタル家電構想なんですよね。
アップルがやったように、Webサービスから製品までを垂直統合しちゃおうという。
このあたりは、佐々木さんの今回の著書に詳しいので、そっちはほっておくとして、ソニーと任天堂、グーグルあたりが、ここに絡んできているわけです。
そのあたりが、あんまり言及されていなくて残念だったな、という。
ゲーム機戦争の話は、Xboxの話がちょっと出てくるだけだったし。
次世代の覇権を誰が握るかはわからないわけですが、ビジネスモデルなんてそう無いわけで。
極端な話
ソフトで儲けるビジネス
サービスで儲けるビジネス
ハードで儲けるビジネス
しかないわけで。
ソフト屋はMS
サービスはアマゾン、グーグル、ヤフー
ハードはアップル、ソニー、松下、任天堂
あたりが有力なわけですよ。現在、この三つの間で誰が主導権を握るかという綱引きの真っ最中なんですが。
任天堂 岩田聡社長インタビュー(2)
DSとは異なるアプローチでゲーム人口拡大を目指すWii
こないだ、岩田社長のインタビューが、後藤さんのところに載ったわけですけど、
【Q】 同じ非ゲームコンテンツでも、意図しているところは全く異なるわけですね。あくまでも、ゲームが中心。ゲーム機をマルチパーパスマシンにしたいわけではないと。
【岩田氏】 よく、「任天堂は実は“リビングルームの覇権”を狙っていたんですね」と言われるんです。でも、リビングルームの覇権は、結果として起こりうるかもしれないけど、狙ってやるもんじゃないでしょう。お客さんは、誰かが覇権を取って欲しいなんて思っていませんから(笑)。お客さんは、単に面白い遊びが欲しいだけです。
まー、任天堂も、このゲームに参加するようなんですね。岩田社長は、「お客さんは、単に面白い遊びが欲しいだけです。」ってユーザーニーズを叶えるつもりのだけだと言ってますけど。
ただ、三味線弾いてるんじゃないかなーと。この人が社長になってからの任天堂のソニーに対する嫌がらせに関しては、もうニュータイプ並の先読み能力をもっているとしか思えないほどです。
なんたって、岩田社長体制になってからの任天堂の抜け目のなさは異常ですからね。
ソニーに対する嫌がらせの筆頭、
空白の17分間
ですが、
PS Business Briefing 2004は、事前からSCEの新型携帯ゲーム機プレイステーションポータブル (PSP) の日本での発売日と希望小売価格の発表が行われると予想され、注目を集めていた。
ところがその開始時刻15時30分の1時間ほど前に、任天堂がライバル機ニンテンドーDSの発売日と価格を2004年12月2日、消費税込み15,000円であると突然発表した。
15時30分開始予定であったPS Business Briefing 2004は、SCEによれば「役員が交通事情で到着が遅れてたため」に17分遅れの15時47分に開始された。結局、この時にPSPの発売日と価格は発表されなかった。
思えば、これがSCEの悪夢の始まりでもありました。
ソニーの悪夢は、すっかりマーケットにおいてプレゼンスを失っていたアップル、据置ゲームでは第三位にまで落ちた任天堂が、それぞれ、新指導者の元で、息を吹き返したことに始まるわけです。
アップルCEOに返り咲いたスティーブン・ジョブス。
同族企業であった任天堂の社長に若干42歳で指名された岩田聡。
ジョブス率いるアップルは、ipodで、岩田聡率いる任天堂はDSで、世界中で驚くべき大ヒットを飛ばし、ソニーの携帯ゲーム機「PSP」を葬ってしまいました。
「PSP」は“iPodキラー”〜北米向けローンチイベント
PSPは、iPodキラーになる・・・そんな風に考えていた時期がソニーにもありました・・・・
で、アップルipodの成功を足がかりに、iTVとiphoneで、ソニー最大の牙城であり、長期的戦略の要であるデジタル家電に足を踏み入れようとしているわけです。
任天堂は、DSの勢いをうけて、WiiでPS3から据置ハード一位の座を取り戻そうとしています。Wiiには、セットトップボックスになるポテンシャルが十分に秘められており(ポインティングデバイスとしてのWiiリモコン、フルブラウザの搭載)、もし、Wiiが十分なシェアをとった場合には、任天堂がリビングにおいて、重要なパートを〆ることになる可能性があるわけです。リビングの覇権を任天堂が狙っているといわれるのはこの為です。
現状、ソニーのPS3の出荷遅れのため、PS3が年末商戦では十分供給されないことは明らかです。
ゲーム機の年間売上の半分は年末商戦で売れるモノなので、年末商戦に十分な量を供給できなかったソニーはスタートダッシュに失敗しました。
一方、Wiiはすでに全世界で100万台を売っており、完璧なスタートを切った格好です。ほぼ、半年分のアドバンテージを任天堂は得たといっていいでしょう。
なんとうか、ソニーがやりたかった事、すべてをアップルと任天堂がやってしまいそうな勢いなわけですが。
このあたりのことは、今、本を出すなら、書いておくべきだったんじゃないかなーと。
それが残念でした。据置戦争に関する興味が沸き立っている時期なんですし。
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