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2005年04月12日

活字メディアの限界と危機を感じてしまう件について

最近、ひしひしと活字メディアの限界について
考えてしまう。

映像と音声による情報伝達というのは
人類が誕生した時から、今に至るまで
最も基本的な情報伝達手段だった。
これは人間に生来備わっている能力で、
ほぼ全員がこの情報伝達能力を持っている。

一方で文字がほぼ日本の全員に普及したのは、
極めて近世での出来事で、ここ100年の間といってよい。
識字率の上昇は、ここ100年間で最も劇的に進んだからだ。
これは、人間に生来備わっている能力とは違う。

だから文字による情報伝達という
ツールを好まない人々が多くても仕方が無い。

人類の基本能力として生物的に備わっている能力とは言いがたいから。

切込隊長が記事で、ネットがもたらす情報革命について
眉唾ものだと思っているという事を書いているのを読んで以来
考えていた事なのだけれども、ネット上での情報交換が
文字である限りは、それは正しいと思う。

文字による情報伝達というのは、
日本人全体で見ると、やはり「好まれていない」からだ。
人が好む情報伝達の媒体としては映像>音声>文字くらいの位置付けだと思われる。

で、その差が明確にわかるのは、TVと他の活字メディアの
情報伝播能力の差において。

TVの視聴者と活字メディアの読者の数の差はあまりに大きい。
要するに、大抵の人は、情報と映像による、もっとも原始的な
情報入力ツール、つまりTVを好んでおり、
活字による情報伝達というのはいまだに人気が薄い。

TV視聴者と活字メディアの読者の数の差はあまりにでかすぎる。
新聞は、確かに多数の家庭で取られている。
だが、以前のエントリで書いたように現状、中身は殆ど読まれていないようだ。
電車男なんて、無料でよめる簡単エンタメテキストとしては
最高峰のものだと思うけど、結局1年半で300万PV。
エログが一月で100万PVとか
記録してるのみるとすげー萎える。
文字だけ世界の限界を感じてしまう。

結局、活字で情報を自分に取り込むのを
面倒がっている人のが圧倒的に多数なのだ。

TVが誕生し、普及した時点で、マスメディアと呼べるのは
TVだけになってしまったのかもしれない。
情報と映像による情報入力をこのむ人々が、やはり大多数であり、
おそらく、人口の90%前後はそういう人達ではないかと思われる。
そして、その層が、TVになだれ込んでしまったのだ。活字をすてて。

これはしょうがない。人類が誕生して以来、その歴史のほぼ全ての時代において
映像と音声による情報入力が主体だったのだから、
人の多くはそちらに適応しているのだ。

なので、TVの登場と共に
活字メディアが市場にできるのは残りの10%程度の
活字による濃度の濃い情報伝達を好む層のみになってしまった
かもしれない。

実数に関しては、もっと詳しく統計取らないと
わからないけれど、
文部科学省の社会教育調査(2002年)では、
国民1人あたりの公共図書館貸し出しは年間4.1冊。
・・・・すくネェ・・・・
活字離れ、かなり深刻なんじゃないか。
もともと活字を読む人なんて少ないのに、
活字離れにさらに拍車がかかってる。
これ、やばいと思うんですが。

あと、専門分野においては、活字を積極的に読む人というのが多いのかな
とかも思ったけど、どうやら、そうでもないらしい。
どんな有効な情報といえども、文字にされて保管された状態だと
伝播能力は薄い感じ。

活字から積極的に情報を取り込もうとする人間が、
どうやら少数であると思われるデータが多い以上、
ネットと新聞の現状は、この極めてニッチな層の奪い合い
なんでしょうね、結局。

で、活字を好む人の中にも段階があって
新聞のような濃厚なニュースを欲しがる人は、どうも少数らしい。

そして簡単で、手軽で、面白く、すぐに読めるネットが
低いレベルでの情報を欲しがる人の層を食い荒らしているようだってわけです。

しばしばゴミといわれる情報、つまり、ほんのちょっと役に立つ程度の
情報で満足する人々がネットになだれ込んでるんじゃねーかって事で。

元々、活字から積極的に情報を取り込もうとする人間というのは、
全体的にみると少ないのに、そこに新規参入のネットが割り込んだせいで
少ないパイの細分化がさらにおこっており、それが
新聞の部数減少であったり、雑誌の休刊に結びついているのかもしれない
なんて思ったわけです。

でも、結局、小さいパイの奪い合いってトコに落ち着くわけですよ。
これじゃ、いかんと思うのです。

現状、新聞や雑誌には、
文字による情報伝達を促進する力がもうない。
ネットにはちょっとはあるかもしれなけれど、
それでも、ほんのちょっとでしょうね。

はぁ、真面目な話、活字離れをなんとかするように
メディア全体で政治家と文部省に働きかけていかないとダメなのかな。
元々、小さい市場にすがって生きてきたのに
その市場がさらに小さくなってるのはやヴぁすぎ。

図書館利用率くらいしか、信頼できる統計がないので
アレだけど、活字を読む層っていうパイ自体を増やすことも
重要だと思うんですよ。

活字離れって結構深刻な問題だと思うのですが。

パイ自体が減少してて、しかもネットなんて新参による
パイの再配分が始まっている以上、パイのデカサを
メディア全体で広げる努力も必要なんじゃないかな。

ネットの参入によるパイの再配分は、もうどうしようもなく
止められないけども、活字離れは、止められる部分なんじゃねーかと
思うんですよ。

現状、新聞や雑誌の部数低下は活字はなれとネットという活字メディアの
参入というダブルパンチ食らったせいなのかな。。

頭が痛いや。

なんか、希望に満ちたニュースはないのかと
思ってたら、海の向こうではハリーポッターが
1000万部の予約を取り付けたらしい。

すげー。


posted by pal at 16:56 | Comment(0) | TrackBack(2) | メディア このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
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「新聞の本義」のマーケ屋さん的考察(嘘)
Excerpt:  新聞とネットの関係についていろいろ書きながら、こことかあそことか読んでいて気がついた。  俺ってば、商売についての考察がゼロだ…。  会社に入ってから幸いにも、「金稼げ」とか「広告取って来い」と..
Weblog: 踊る新聞屋??。
Tracked: 2005-04-16 20:13

エントリ削除キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!昨日のエントリが全部無意味だった件について
Excerpt: うはっっっ。 ついに奥の手登場!
Weblog: ニャンコ灰だらけblog
Tracked: 2005-11-22 01:40