木原助教授は「テレビやゲーム漬けの状態が攻撃性を育て、人間的なつながりの薄さが精神的不安定を引き起こすことで、いじめが生まれる可能性があるのではないか」と分析。
はいはい。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200611140074.html
はてBのコメント欄でも指摘されてますが、
(´・ω・`)つ 相関関係と因果関係の違いについて
たとえば,「カエルが鳴くから雨が降る」という関係は相関関係であっても,因果関係とはいわない。現代人であるならば,カエルが鳴くこと,雨が降ること,気圧計が変化することは,以下のように平行して生じる現象として理解するべきである。
以上のことから分かるように,変数どうしの共変動 を相関関係と呼ぶべきか,因果関係と言って良いかは区別しておく必要がある。というよりも,因果関係を主張するときには慎重になるべきである。
統計手法を使うなら、言えるのは相関性があるというところまでで、因果関係まではわかりません。
いじめとTVゲームの相関性はよーくわかりました。
ただ、因果関係までは、わかっていないはずです。統計は相関性(一方が変化すると、他方もそれに応じて変化する関係)はわかりますが、因果関係(原因→結果という条件関係)までわかりません。
いじめという結果を無くしたいなら、その原因を取り除くことが必要なので、いじめと因果関係があるファクターを取り除くことが大事のはずです。
というわけなので、
テレビやゲーム漬けの状態
↓
攻撃的になる
↓
攻撃的な子供はいじめをする
人間的なつながりが薄い
↓
精神的不安定を引き起こす
↓
精神的に不安定な子供はいじめをする
の因果関係を実証してから記事にしてください。相関性だけでは意味がありません。
カエルを皆殺しにしたところで、雨が降らなくなるなんてことはありません。
ちなみに、TVが日本で普及した1970年以降、少年の非行、自殺率、少年による殺人、強姦率は、全部下がっています。
TVがなかった時代のほうが、少年の非行、殺人事件、自殺、強姦は多かったわけでして、日本ではTVの普及数と少年犯罪数の間には負の相関性があると主張できなくもないわけですがね。相関性だけらば。
因果関係ではもちろんありません。
タグ:game
因果モデルを扱う統計解析手法はいくつかあって、例えば共分散構造分析などはポピュラー(?自分の周囲だけかもしれませんが)です。
http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/hobby/essay/statistics_for_future.html
http://www.amazon.co.jp/gp/product/406132926X
もちろん、必ず因果関係が明らかになるわけではないですが、これまでの相関や回帰分析を用いた推測よりは精度が高くなります。ですから、「統計では因果関係はわからない」と断言はできないと思います。
共分散構造分析であれば、本文中にある矢印モデルの両端の客観データをもとに、間に適宜内生変数を挟んで計算すれば、もしかしたら統計的に信頼の置ける因果関係が存在するかもしれません。
もっとも、実際に因果関係の研究をおこなった例では「テレビゲーム使用と社会性の間の因果関係を検討し、結果として、『テレビゲームでの遊びは、社会性に悪影響を及ぼす』というような社会通念が必ずしも支持できるものではないことを示した。」という結果が出ているようですが。
http://www.hss.ocha.ac.jp/psych/socpsy/fumica/hattatusin99.htm
因果関係や相関関係など議論しなくとも
この記事から言えるのは
本来、勉強やスポーツに勤しむべき学生が
1日4時間以上TVを見たりゲームをした
りすることが許される環境にある(はっき
り言えば親が許している)ことが問題なの
では。
学生としての本分をこなし、規則正しい生
活をしていれば4時間もゲームはできない
はず。
この助教授も本当にコメントのように考え
ているのでしょうか。新聞側が意図的に歪
めているのではないかと疑ってしまいます。