このブログの人気エントリを読みたい方はこちら
もう一つのブログはこちらです。

2005年03月18日

ネット広告市場とホリエモンの経営スキーム

先日、電通の発表でネット広告規模が、ラジオ広告規模を抜いた事が明らかとなった。

これは重大なことである。

なぜなら広告収入は、極めて景気変動の影響を受けにくく
安定した収入を見込めるからだ。

そのため、成熟した広告市場で大きなシェアをもつ
企業は、極めて安定したキャッシュフローを
生み出すことが可能になる。

2004年、日本の媒体別広告費を簡単に述べておくと

総広告費においては5兆8571億円。

テレビ、ラジオ、新聞、ネットを比較すると
TVが2兆436億円、ラジオが1795億円、
新聞が1兆559億円、ネットが1814億円である。

数字を並べただけで明らかであるが、TVは広告市場において
最強の存在であり、他の追随を許していない。
また、日本においては新聞広告市場のでかさも特筆に価する。

つまり、全国規模の新聞とTVは、景気にあまり関係されず
安定した収入を見込める企業なのである。

PPMでいううならば、
新聞、TVは「金のなる木」であり、市場規模の拡大は見込めないが、
大規模な投資をしなくても安定して収入を見込めるという事を意味する。

また、「金のなる木」というのは、市場のシェアが
ほぼ、特定のいくつかの企業によって占められているので後続が
入り込むことは難しい。

ラジオは、PPMでいうとdogsであり、これ以上の成長も見込めなければ
徐々に衰退していく分野を意味する。なにより、広告効果が薄いのが致命的である。

さて、問題はネットである。
ネットは2004年において、遂に、ラジオを抜いた。
また前年比153.3%という高い伸びを見せており、さらに伸びていく事が
予想されている。

つまり、ネットはPPMでいう「問題児」であり、競争が激しいが、
成長も激しく、果敢な追加投資、或いは撤退が必要な分野なのである。

ホリエモンとライブドアは、PPM的にいうと
「問題児」である。

なので
「問題児」から「スター」(ひたすら投資して成長を続ける事業)へ
そして「スター」から「金のなる木」へと事業を発展させていかねばならない。

ネット広告市場を牛耳り、最終的には、そこを「金のなる木」に
しなければならない。これが、ホリエモンやIT企業のトップの至上命題である。

現在、IT企業はたいした利益をだせていないが
これはITが「問題児」であるから当然である。

だが、ここ3年のネット広告費の伸びを見れば
ネット広告市場が「スター」の段階に入りつつあることが、
つまり積極果敢な投資によって高い成長を見込める段階に
入りつつあることが見て取れる。

ネット広告市場の伸びは、好景気によって順調に広告費が伸びた
1960〜70年代の新聞、TVの広告費の伸びを上回っているのである。
また、アメリカでもネット広告費の伸びは著しく
この分野は、おそらく、新聞と並ぶか、それ以上の規模に拡大すると
予想される。

個人的な予想だが、あと10年でネット広告費規模は1兆円を超える。

ホリエモン、孫正義などが激しい買収や投資によって
自前のポータルサイトに人を呼ぼうとしているのも
このあたりの事情をかんがみると当たり前である。

将来、莫大なものとなるネット広告収入を得たいならば、
ポータルサイトは絶対に抑えねばならないのだ。

一旦、成熟期に入れば、
つまり、PPMでいう「金のなる木」の段階にネットが入れば
ネット広告収入は莫大な利益を生むだろう。

景気に左右されにくく、安定した収入をみこめる
広告収入は、企業にとっては最高のキャッシュフローの一つなのだ。

ホリエモンが、現状、「金のなる木」であるフジTVを
買収した上で、その潤沢なキャッシュフロー、宣伝力を利用して
現状、「問題児」であるネット広告費を「スター」へ、
そして「金のなる木」へと移行させることが可能ならば。

10年後には、ホリエモンとライブドア、フジサンケイグループは、
金融、ネット広告費、TV広告費、新聞広告費という
4つの「金のなる木」をもつ企業集団に成長する可能性をもつ。
もしできれば、日本のメディア、金融のドンになることも
確かに夢ではない。

はたして、ホリエモン自らの思い描くスキーム通りに
事が運ぶのか、それとも、失敗するのか。

それはわからないが、彼の描く将来図、
つまり、ネットが人々の生活に浸透して
やがては、新聞、TVと並ぶ広告費市場を生む、というのは
正しいと、僕は思う。


posted by pal at 18:51 | Comment(0) | TrackBack(1) | メディア このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

フジvsライブドア
Excerpt: フジvsライブドア 毎日、ニュースになっていますが、 フジvsライブドア。 みなそれぞれに意見があるようですし、 どちらを支持するのかといったことで意見が別れると思います。 個人的に..
Weblog: 月の記憶
Tracked: 2005-03-23 15:52