漏れは
はてな、アメリカへ
はてな、アメリカ進出記念に漫画パピコ。
近日中に全編アップします。はてなグループで。
「HATENA BALL」
わたしがこの漫画を書いたのは、ある物語にほれ込んだからだ。
その物語とは、今時、いくらでもあるネットベンチャー企業の社長と社員が「ホモくさい」「傲慢」「ネタ企業」とブログ界隈などで散々ネタにされつつも、やがては、かつてのソニーやホンダのような輝かしい国際企業を築きあげていく、というあらすじだ。
もっとも、魅力的な
きっかけは、ごく素朴なアイデアだった。
<<ネット企業のなかでもきわめて資金力に乏しい株式会社はてなが何でこんなにPVを集められるのか?>>
ネットバブルの崩壊後、「ITはビジネスでなくマネーゲームになってしまった」と嘆く経済評論家は多い。たしかに、企業の貧富の差は、広がる一方だ。2005年の財務諸表を見る限り、ソフトバンクの時価総額が2兆円を越しているのに対し、資金力にかけるはてなやyoutubeのようなネットベンチャーの資金力は、せいぜい20億から30億円程度。
これだけ、はっきりとした格差がある以上、優秀なプログラマーを雇えるのは金持ち企業だけ。資金力のないベンチャーは、どこか欠点のあるプログラマーしか集められず、したがってろくな収益を望めない。
少なくとも、それが大方のマルクス主義者や左翼的思考者、アナリストの主張だ。
この主張に私もなんとなく納得していた。資金が潤沢な企業ほど、競争で勝つ可能性が高い。ところが、ここ数年の財務諸表を眺めると、実際には必ずしもそうではないことがわかる。
赤字企業のリストには、ソニー、フォード、GM、SBといった名前が並んでいる。大金やブランドをもっているにも関わらず、赤字経営に終わったわけだ。その対極に位置するのが株式会社はてなやyoutube。資金力は下から数えたほうがよほど早いが、ネットレイティングスのPV上位には常に顔を出している。youtubeにいたっては、グーグルの打ち出したビデオサービスを完全に打ち破り、ネットにおける最大の成功を収めたといっていい動画サービスとなりつつある。視聴者数一日2000万人。キー局に匹敵するユニークユーザー数である。
2004年はじめ、メディアは、はてなを「変な会社」と呼んだ。要するに理解不能で説明のつけようないという意味らしい。なぜ、はてなは、これほどネタにされたり、愛されたり、disられたり、PVを稼げたり、株式公開前に黒字化する事ができたのか?
どこに秘訣があるのか?資金力は最下位クラスでありながら、金に糸目をつけないヤフー、楽天、ライブドア、ネット展開しているマスメディアを敵に回して、わずかな
いや、そもそも、大勢の金持ちが買いたくても買えないネットにおける成功とは何なのか?次々沸いてくる疑問に、わたしは興味を抱いた。そして、答えを見つけるためにこの漫画を書いた。
はてなの
はてなの経営者となった近藤淳也は、ネット列強のように大金をばらまくことはできないと最初からわかっていたので、非効率な部分を洗い出すことに専念した。
プログラミングの早さの市場価値を見極めたり、有名大卒プログラマと普通の大学卒プログラマは何か本質的に違うのかどうか検証したりした。そういう研究結果に基づいて安くて優秀な人材を発掘していった。
はてなが獲得したプログラマの大半は、古い経営観のせいで、過小評価されていたプログラマだ。株式会社はてなは、不遇なプログラマーを偏見から解き放って、新の実力を示す機会を与えたことになる。
おおげさだと思うかもしれないが、企業経営とは、人間社会における理性の可能性―と限界―を如実にあらわす縮図のようなものだ。革新的なアプローチを目の当りにしたとき、旧態然とした人々がどう反応するか―あるいはどう反応しないか―が、ITという産業によってよくわかる。
冒頭にかいた通り、私は、あるひとつの物語に心ひかれた。IT産業と、そこで競い合う人々の物語。主人公の男は、就職に失敗し、一度はニートのどんぞこに突き落とされたが、奇跡的に面目躍如を果たした。
近日全編公開。
ちなみに、漫画を公開するってのはネタじゃないです。
内容はネタです。
逆ではないです。
あと、文章は「マネーボール」のパロディです。