「PS3は“ゲーム機”ではなくコンピュータとして訴求されるべきである」
ああ、なんつーか、もうソニーは全てを失ってしまったという感じのインタブー。
創業者の一人、盛田昭夫は、小型トランジスタラジオを作る際、トランジスタの特許をアメリカの会社から買い取った。その時に
「一体、何に使うんだ?」
と聞かれ
「小型ラジオを作ります」
と答えた。
「そんなもの誰が使うんだ?」
とせせら笑われ、
「今にわかります」
と答えた。
初期ソニーの製品はそういうのが多い。ウォークマンだって、古川さんのブログの記事によれば、
発売当初は「マイクロフォンの付いていないテープレコーダーを誰が買うんだ?」という冷たい仕打ちが社内でも当たり前のことであったそうです。その結果、ウォークマンがデビューするにあたり最初の記者発表会と広告宣伝費にかけられた総費用は500万円の予算しかなかったそうです。
とかだったようだ。それでも、ソニーはウォークマンを出した。そして大成功した。その頃までのソニーはプロダクトアウトができる企業だった。ところが今は、マーケットインしかできない狭量な企業になってしまった。
最初の記事を読む限り、デュアルディスプレイにしても、ゲームを2画面でやるなんて、誰もやってないんだからニーズなんてあるはずがない。だから、マーケットをいくら調べても否定的な意見しかでてこない。なのに「需要があるかわからない」とか言ってるし。当たり前ジャン。ただ、そんな事言ってたら小型ラジオもウォークマンも生まれなかったでしょうに。
デュアルだと、より便利で快適なゲーム環境をユーザーに提供できる。最近、パソコンをデュアルにしたから、それがよくわかる。任天堂はDSでそれをやった。ユーザーインターフェースを抜本的に見直して、より快適なゲーム環境を作り出した。携帯ゲームだからこそ出来た技だけど、任天堂は、全く新しい軸のインタフェースで勝負した。
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そして、今回も、任天堂の岩田社長は、典型的なプロダクトアウト、つまりニーズを創出する道を選んでる。DSの頃からずっとそうだったが、ゲームから離れてしまった人を呼び戻す、あるいはゲームなんかしたことなかった人にも楽しんでもらえるゲームを作ろうとしている。
PS3は、技術は凄いかもしれない。ただ、初期ソニーは技術が凄かったわけではなく、プロダクトアウトの手法に優れていた企業だったから、あそこまででかくなった。「イノベーションのジレンマ」によれば破壊的イノベーションを16度にわたって起こした前例のない企業。それがソニーだった。かつては。1980年までは。
もはや、その面影はない。
そして、今、任天堂の岩田社長のほうが、初期ソニーがそうだったように、ニーズを創出して勝つ事を目指しているのは皮肉としかいいようがない。
デュアルディスプレイにしても、やらないと言っているわけじゃないんだし。
PS3第一世代では見送ったっていうことでしょ?
今のところ成功しそうには見えないけど、ゲームじゃない何かをやろうという意志は見えるし。
スペックと価格が発表になってPS3の技術的な側面が少し具体的に見えるようになったのは確かだけど、技術はすごいけどそれだけっていうのは早計なんじゃないかと思う。
技術面以外の何かについてはほとんど何も分からない状況だから。分からないからと言って何もないということが確認できるわけじゃない。
いや、何もなかったとすると、PS3は大コケするんだろうけどね。
少しくらい期待してあげてもいいんじゃない?
デュアルディスプレイにしても、やらないと言っているわけじゃないんだし。
PS3第一世代では見送ったっていうことでしょ?
サードパーティの立場を考えてより工夫の余地を低コストで導入できる道筋を残した任天堂と、早々に久夛良木氏に責任とらせたSCEIとではチャレンジ精神は比べようも無いと思う。