たけくまさんトコのエントリに尻馬で。
もうどうしようもないんですけどね、ソフトは0の時代がそこまで来てます。映画みたいに、映画館で見るスーパーリッチな映像コンテンツは別として小説とか漫画みたいな制作費が馬鹿安いくせに、値段はやたら高いコンテンツは、もう値段は0にするしかないでしょう。
そもそもね、狂ってるんですよ。市場として。
TV番組の制作費は一本、数百から数千万って金がかかるってのに、タダでユーザーに提供されていて。それなのに、漫画とか小説みたいに、制作費なんてせいぜい数十万程度、多くて月100万程度しかかからないコンテンツが、本屋で数百円とかで売ってるわけですから。
明らかに、コストがかかっているのはTV番組のほうで、そっちが高くて当然なんですけど、今のところ、漫画や小説は、有料販売のビジネスモデルだったわけです。TVがここまでのお化けメディアになったのは、結局無料でコンテンツを垂れ流しつづけたからでして。まぁ、他にも利点はいっぱいあるんですけど、とにかく、無料ってのが地上波TVの最大の強みだったわけです。
結局、日本じゃ、有料放送は、そんなに普及してませんしね。
海賊版とかの話ってのは、要するに、ビジネスモデルとして、私的独占が許されていた著作権関連の割高コンテンツと、海賊版の間の価格差に付け込んだ商売です。
内容が同じなら、価格が安いほうを買うのが消費者です。だから、海賊版を作る奴が後を絶たないわけです。特にソフト関連は、コピーが容易ですから、どうしたってそうなる。
海賊版を絶滅させたいなら、一番手っ取り早く、又、法規制でやるより、遥かに効果的でコストもかからないのは、全部、ネットで、漫画や小説をタダで掲載してしまうことです。
結局、海賊版のほうが安いから、みんなそっちを見にいくわけで、値段がいっしょなら、海賊版の強みなんて何にもないわけです。
ネットでは、タダで公開されている画像とか動画が結構ありますが、そういうのってコピーして商売しようって人があまりいませんよね?なんでかっていうとネットでタダで公開されているんじゃ、海賊版だそうにも、価格差を利用できないから意味ないんです。
ただし、タダで公開したら、どこから金をひっぱってくるかが問題になるわけですよ。これを解決しないといけない。
このままだと、共有地の悲劇が起こる。
共有地の悲劇をwikipediaから引用しますが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87より
コモンズの悲劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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コモンズの悲劇(こもんずのひげき)とは、誰でも自由に利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうということ。生物学者ギャレット・ハーディン(1915年-2003年)が1968年に『サイエンス』誌に発表した。共有地の悲劇ともいう。
たとえば、共有地(コモンズ)である牧草地に複数の農民が牛を放牧する。農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧する。農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草地は荒れ果て、結果としてすべての農民が被害を受ける。
これを著作権にあてはめるとですね、誰でも自由に利用できる共有資源(画像、動画)が乱獲される(無制限にコピー配布)ことによって資源(クリエイター側)の枯渇を招いてしまうって事です。
無制限のコピー配布を許した世界ってのは、そういうシステムです。作っても無制限にコピーされて、クリエイター側に1銭も入らないと、クリエイター側が枯渇していってしまうわけです。作っても飯食えないなら、そういうもんです。いや、趣味でみんなやるのが主流になるのかもしれないけれど、質の高い映像コンテンツを作るには、どうしたってお金がかかります。だから、できれば、そういう人達には金が回る仕組みを整えないといけない。無論、質は高いが人気のないコンテンツを作るのも問題なんですが。N○Kみたいに。
今までは、著作権って形で、なんとか共有地の悲劇が起こらないようにしてこれたわけですが、現状、それを守ることは不可能に近いわけです。少なくとも、旧来のやり方ではね。
んじゃ、これからどうするかって話になるんですけどね。
僕個人は、とにかく、ソフトは0円でネットに流すしかないと思っています。
理由はっていうと、このまま、有料のコンテンツビジネスを続けても、先細りなんですよ。だって、ネットでは、無料で面白いコンテンツが大量に生産されているのが現状なんですから。
ブログや2ちゃん、youtubeもそうですし(これは著作権違反を含んでますが)、たけくまさんが紹介しているINA Archives pour tousとかみたいな、フランスの動画10万本見放題サービスみたいのが、これからどんどん増えるんですよ?もう止まりません。
ネットコンテンツの最大の強みは、質じゃなくて、その安さ、価格です。みんな0円なんです。もう止まらない。この土俵に乗るしかないんです。乗らない限りは、ネットコンテンツが、既存の有料コンテンツから客を奪いつづけるだけなんです。
ネットコンテンツは、日々蓄積されていって、しかも面白いものがどんどん増えている。この価格差がある限りは、既存の有料ソフトコンテンツは、太刀打ちできない。今は、まだ質で凌駕できているからいいかもしれないけど、今回、フランスが公開したみたいなハイクォリティコンテンツが日本語字幕憑きなんかになったら、もうどうやったって、既存の有料ソフトコンテンツでは太刀打ちできなくなるんです。
だから、もう考え方を変えるしかない。消費者にコンテンツをタダで提供した上で、どこか、別のところからお金を引っ張ってこないといけない。そうしないと既存市場は先細りが確実だし、いずれは、質でも負ける。絶対に負ける。
というか、すでに負けている分野がかなりある。ネットだけが、メディアの視聴時間を延ばしているのがその証明だと思います。
ここから先は、漫画の話になるんですが、まず、
漫画家・松本零士氏が語る-ネットが創作家に与える喜びと悩み:ITpro i
をお読みいただければと思います。
正直、松本先生の話には僕個人は納得できない部分が多いです。コピー禁止やすべての人にモラルをもてというのは無理な話ですから。
とにかく、違法コピーが起こるのは、技術的に複製が容易になってせいで、有料ソフトコンテンツと海賊版の間の製造コスト差がほとんど無くなり、違法コピーを元の製品より安く売って儲けるというビジネスモデルが完全に確立してしまったのが元凶なんです。
だから、ネットでタダで提供すれば、このビジネスモデルは壊滅させることは可能なはずです。根っこは海賊版と違法コピーとの間の価格差なんですからね。
問題は、じゃあどこから金を引っ張ってくるかっていうロマンの無い話になるわけです。ここが結局、最大の問題なんです。
で、現状、無料でやるには、広告しか方法がないんですよね。消費者には無料でソフトを提供し、お金は、企業から出してもらうという奴です。たけくまさんと同じ発想です。結局、これしかない。で、漫画は、製作コストが馬鹿安いくせに人気のあるコンテンツだから、少ない広告料金でも耐えれるはずなんです。
で、ちょっと松本先生のインタビューを引用しますが、
読者の広がりもネットならではのもの。ネット連載を行っているWebサイトへのアクセス数は日本語版だけの掲載時には1日あたり3万件だったが、英語版を開設したら1日で36万件と、10倍に増えた。
ここですね。
ネットには国境がないわけですから、ネットに流すと同時に、英語版、中国語版、韓国語版、ドイツ語、フランス語版を用意してしまえば、世界中の市場から広告料金を取る事が可能なわけですよ。読者数も飛躍的に増える。
漫画ってのは、日本がナンバー1だと思っています。そして、世界でも通用するコンテンツが多くあると思ってます。アメリカだと、まだアングラみたいですが、それも当然。だって、向こうじゃ、コミックス一冊10ドルとかするんです。ハリウッド映画が一本20ドル以下のエンタメ市場で、こんな糞高いコンテンツなんてマニアしか買いませんよね。
ただし、タダでなら、遥かに強い浸透力をもつんです。タダでなら、ハリウッド映画とだって戦える。
んだから、英語版を提供すると一日36万件ヒットとか稼げてしまう。
全世界同時公開とかなら、もっと稼げるでしょう。
松本先生の「ニーベルングの指輪」のサイトには広告も何も入ってないんですが、一日36万ヒット稼げるなら、グーグルアドセンスを最適化して表示すれば、クリック率0.5%くらいは稼げますから、一日1800クリックくらい発生する可能性がある。アドセンスだけでも十分な収入にはなります。
それに、それだけ読者数を稼げればグッズ販売だってできる市場がそこに生まれますから、表示広告を全部、グッズにしてしまえば、クリック率を1%くらいまで高めることも不可能じゃないでしょう。
1%まであげれれば、一日3600クリック稼げるわけですから、1クリックあたり平均0.3ドルとしても、一日1080ドルは稼げるわけです。それなら月300万程度の収入を上げれるわけですから、クリエイター側には悪くない数字ではないでしょうか?しかも、サービスとして提供するわけですから、載せたコンテンツからは永遠に収入が上がりつづけるわけだし、既存の雑誌みたいな連載枠競争もなくなるので、もっと多様な漫画が生まれる可能性もある。
今まで、読みたいときに本棚から出して漫画をだして読むというスタイルを読みたいときにサイトにアクセスして読むという形に変えてしまう事で、サービスとして漫画を提供するスタイルに変えるわけですよ。
「Software as a service」がこれからの時代のソフトの主流になると言われていますが、そういう方向で調整するわけです。データとして、今までユーザーが手元にもっていた漫画をネットの向こう側に代わりに保管して上げるわけです。ユーザーは、漫画を捨てる手間や本棚を買う手間や、引越しの時に漫画を移動する手間を省ける。いつでもどこでも、ネットに繋げる状況なら、そこから好きな漫画を好きなだけ読めるようになる。その代わり、漫画のページにちょこっと広告を表示させてもらう。
要するに、巨大な漫画本棚をネットのあちら側に作って、それを全世界の人に同時にエンタメサービスとして提供するわけです。同時に、二次創作作品とかもそこに収集しちゃう。で、二次創作で起こったクリックの10%程度がオリジナル作品を書いた作家に入るようにすれば、現状の著作権周りの問題も解決可能だと思うわけですよ。
結局、もうやるなら、漫画を無料でネットで全公開。その上で、あらゆる言語に対応して全世界同時公開くらいで勝負するくらいの覚悟で勝負する以外に方法がないんじゃないかと思うわけです。ほんと、これ以外、生きる道がないように最近思うんですよ。漫画の国内市場なんて悲惨なほど縮小しつづけてますし、面白いユーザー参加型のコンテンツが大量に生み出されている現状をみていると。。。
無論、問題がありますよ。海賊版の問題は、こちらがタダで提供することによってほぼ潰せると思いますが、まずは、データベースどうするか?って話。
こんだけ巨大なデータベース作って管理するとなると、相当な初期費用や維持費がかかります。
YouTubeのネットワークコストは月1億2000万: suadd blog
youtubeのネットワークコストの件の記事ですけど、これと同程度と考えると、すさまGコストがかかりますんで、データベースサービスがもっと進化しない事には、始めれないとは思います。
どっかがやってくれれば、コンテンツを集めて商売することはそんなに難しくないと思うんですが、初期コストを考えると難しいかもしれません。
次に著作権関係。グッズ販売において、権利処理をどうするかって話。全世界で同時公開すれば、世界中に二次市場が生まれるわけですけど、そこでも海賊版が生まれつづけるのは容易に想像できますからね。
そこを海賊版にかっさらわれたら元も子もないので、全世界規模で同時に二次市場を牛耳れるようなグローバルビジネスを展開しないといけません。そうでないといけない。
そんな事ができる企業なんて、まぁ、ディズニーくらいのもんでして。これまた難しい。
どっかの企業か、ベンチャーあたりがやってくれないかなぁなんて思ってます。
漫画をwebで読むのに、読みやすいインターフェースを容易し、強力なデータベース、帯域を確保して、グローバルに展開できる二次創作市場製品で一山あげてやろうって
会社としては、漫画をグローバルにタダでネットから提供しつつ、ウェブからは広告料金で、そして生まれた巨大な二次商品市場からの売上でデータベースの維持費用を賄うみたいなビジネスとかで。
とりあえず読んでみましたが、これほど頭の痛くなる話もなんともと思いました…
少なくとも流通段階まで考えれば、これ以上ないくらい漫画はコスト的に安く制作的には高いですよ。
漫画家と店舗の取り分を合わせても全体の3割もいかない。そのくせ人件費は高い。
この人件費は書く側でなく、流通まで入れての話です。
それとアメリカの本の値段もかかれてますが、アメリカのみならず、日本以外のほとんどの国では紙の値段が高いのです。日本はインドネシアからのパルプ輸入を中心としてどういうわけか非常に安い値段で流れているため、あの値段ができるわけです。
むろん数量の問題もありますが、基本的に本どころか紙の値段そのものが高いという事情もあります。
タダで、と言う考えは既に韓国でネット漫画という形で実践されましたが、出版、ネット双方をたたきつぶす結果に終わりました。
無料だった場合結構参加者も多かったのが有料になったら誰もこなくなった という話ならまだしも、
無料で広告付きでも悲惨な結果だったと。
広告うぜえ、な話。 つまり強制的な広告ではやはり誰もこなかった。
だから、韓国関係の記事をよく読む機会がありますが、今韓国でよく売れる漫画は教育漫画だけ。それは向こうの勝ち組が子供のために買いそろえる、それで育てると意味でその手の漫画だけが生き残り、それ以外の漫画家は日本にいくかネットゲームで雇われるかぐらいの方法しかないそうです。
たけくまさんのところでTVは成功例という話もあったけど、TVは決してコンテンツのじゃまをしないような構成になってます。少なくても本編とかち合わないやり方をしている。そのTVですらCM外しが深刻になっている。それでハード単位で強制化する方法も考えてられてますが、そうしてまでTVを見る人が、果たしてどれだけいるのか分かりません。
それにTV自体が低落傾向になったのにあわせて公国側の要請以上に広告側を心配する自縄自縛な部分が出てきてます。広告を載せるのはそのまま消費者と広告側という二つの主人を抱え込むことになります。
TVのような報道もドラマもやる番組の枠貸し屋なら
成立することでも、創作だけが本体の漫画が同じことをしたら広告屋に漫画そのものを乗っ取られる危険もあります。その危険度は電通を始めとする広告代理店の専制支配を受けた結果、アニメーターの低賃金と萌えだらけにさせられているアニメの比ではなくなるでしょうね。
実際、そちらが考えられている打開策の大意そのものには同意出来る部分もあるのです。
というより、その手の考えかたは本とコンピュータを始めとする出版系統の本や議論でそのひな形は出てますし、おおかたネット主体に漫画が進むならその線でいくしかないでしょう。
ただ、そのような未来を選択した場合も決してバラ色ではないし、現状のオフラインの出版そのものにも直せる部分は幾らでもあるでしょう。
問題は漫画家、作家がより多くの発表の選択肢を得られて、消費者がより多くの選択肢を同じ漫画、本などから得られるかです。そのためのコストをどのように考えるかではないでしょうか。