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2006年03月29日

匿名制とID制とゲーム理論の話

本日はゲーム理論の話。




この本読んだのだけど、読みやすくてよかった。
数式がないから、わかりやすい。
次は、数式も出てくる奴よもう。

で、本題なんだけど、
この本のP157から、面白い話があった。
「裏切り」と「協調」どっちが得かって話なんだけど。


政治学者のアクセルロッドさんが、さまざまな分野の研究者に
コンピュータープログラムを作ってもらい、
囚人のジレンマにおいて、最も高い利得を得るのは
どの戦略かをリーグ戦で競わせたそうな。


プログラムは次の8つで、

1 常に「裏切り戦略」を取る
2 常に「協調戦略」を取る
3 最初は協調戦略→相手が一回でも裏切ったらその後は「裏切り戦略」。
4 最初は協調戦略→相手が裏切るならこっちも裏切り。相手が協調してくるとこっちも協調。
5 ダウニング戦略→相手の行動を観察し、相手の行動の確率を見積もって自分の行動を決める
6 ヨッスの線略→相手が裏切ったら、必ず裏切り返すが、相手が協調した場合には、9割強調し、1割裏切る。
7 相手が過去二回連続で裏切ったら、こっちも裏切り返す
8 裏切りと協調をランダム戦略


これらのプログラムで競った結果、一位は4だったそうな。
で、二回目の大会でも、4型のプログラムが優勝で、
一回目の大会結果を踏まえて工夫されたプログラムを打ち負かし
最も単純な戦略の一つがやはり優勝した。


大会を通じてわかったのは上位プログラムは

・自分からは裏切らない
・相手が裏切っても、悔い改めれば許す
・報復をしないとなめられる

というものだったそうだ。

囚人のジレンマは一回限りの状況だが、
ゲームが継続して行われる場合、
一回裏切って有利な利得を獲得しても
次のプレイで、相手が裏切ってくると利得が前より下がってしまう。
そのため、裏切ったプレーヤーも次からは協調戦略を取るようになり
結果として、(協調、協調)へとゲーム全体が向かうようにルールが
設定されている模様。


人間社会においても、法律は、基本的に

・自分からは裏切らない
・相手が裏切っても、悔い改めれば許す
・報復をしないとなめられる

であり、社会に対して裏切り(法違反)をしても
罪を償えば(悔い改めれば)、許すが基本だし、
自分から裏切らないが倫理的に基本のところをみると
慣習や法は、人間関係において最適化された場所に
勝手に落ち着いたと言えるのかもしれないと思った。

人間関係でも、上記のスタンスは基本で、
裏切らない誠実さと罪を許す寛大な心と、
報復をきっちり行うをやるプレーヤーは
利得を最適化できる。

報復をおこなわない博愛主義という戦略は、
利得を最大化しようとするプレーヤーには
通じないから、最適化戦略とはいえないわけだ。



で、匿名制とID制の話になるんだけど、
匿名制の2ちゃんねるみたいなシステムは、
プレーヤー同士がお互いを認識できない。

結果、協調して獲る利得よりも
裏切りをすることによって獲る利得のが多くなる。
裏切っても、匿名制によって守られているので
裏切り返しようがない。

そうなると、協調戦略より裏切り戦略を取りつづけたほうがよくなる。
囚人のジレンマの状態に永続的に置かれるシステムに近い。


一方で、はてなみたいなID制にしろ、SNSみたいな記名制にしろ、
今後も続く関係が、強く打ち出されるシステムとなると
報復される危険性が飛躍的に高くなる。相手を認識できるようになるからだ。
つまり、裏切ったら、相手に裏切り返される危険性が高いシステム。

そうなると、先にあげたプログラムの大会の結果のように、
そういった場所で自分の利得を最大化できるプレーヤーは

・自分からは裏切らない
・相手が裏切っても、悔い改めれば許す
・報復をしないとなめられる

をきっちりと認識しているプレーヤーとなる。
勿論、IDがわかる相手や、ブロガ―やSNSの話で
匿名を貫く相手には、又別の話だし、
報復といっても、相手が裏切った場合であり、
相手が悪い状況においてのみ、許されるのであって
自分が、間違いを犯した場合には、すぐ悔い改めるべきなんだろう。
自分からは裏切らないが基本であって、
ここを間違うと痛い目にあるわけだ。


簡単だけど、実に示唆にdだ話だなーと思った。
人間関係の基本だなーと。

結局、システムとして、ゲームが一回限りの場合と
ゲームが繰り返し行われる場合で、随分違うという上記の本の
指摘の通りだなーと妙に納得したという話でした。




posted by pal at 22:31 | Comment(2) | TrackBack(2) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
ちなみに2004年に行われた大会で4型のプログラムを打ち負かし、優勝したのは「裏で互いに強調し、味方以外を潰す」プログラムでした。
Posted by Mattyan at 2006年03月30日 11:18
非常にわかりやすくためになりました。

ゲーム理論、興味があって勉強しています。
この本も買ってみようとおもいます。
Posted by スイカチェロ at 2006年04月09日 22:09
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