スゴ本さんで、ベルアード物語が扱われていて
嬉しかったので、うちでも紹介。
というか、エピックファンタジーについてご紹介。
ファンタジー小説には、色んな種類があるんだが、
王道中の王道がエピックファンタジーで
これは、日本でもヒットしたトールキンの
「指輪物語」が流祖である。
内容は、「強大で世界を広がりつづける悪に少数の主人公一行が挑む」というモノでFFやドラクエの基本ストーリー構成と一緒である。
まず、これだけは読んでおいて欲しいのが誰に言わずとも
指輪物語。映画でもよいけど。
ここはもう、基本。
三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命(さだめ)の人の子に、
一つは、暗き御座(みくら)の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕らえて、
くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。
この文句はファンタジーファンは、大抵誰でも暗誦できるくらいに
有名。すばらしいの一言。
で、ここも抑えておいて欲しいのが、初期グインサーガに決定的な影響を与えているコナンサガです。
コナンと焔の短剣
コナンと古代王国の秘宝
コナンと毒蛇の王冠
キンメリアの蛮族コナンを巡る冒険で、エピックではなく、ヒロイックファンタジーにあたるんですが、やはり、その後のファンタジーの系譜を考えると紹介しておかずにはいられないのでご紹介。野蛮⇔文明の対比が見事すぎます。
で、次にお奨めするのが、マイケル・ムアコックの「永遠のチャンピオン」シリーズ。これは、日本では、色んな作家に影響を与えたといか、永遠のチャンピオンという設定と、黒の剣という設定が素晴らしく、伝説のインテリジェンスソード、「ストームブリンガー」は、その後のファンタジーに亜流のインテリジェンスソードを大量に生み出すにいたっております。黒の剣の年代記とか偉いカッコいい。あと、それまであった、コナン以降のヒロイックファンタジーの主人公達と違い、主人公がアルビノで病弱という設定が当時としては革新的な試みだったといってよいでしょう。
メルニボネの皇子
ストームブリンガー
黒き剣の呪い
特に好きなのが「エルリック・サガ」で、メルニボネの最後の皇帝エルリックと、神をも殺す力と意志をもつ剣ストームブリンガーの物語です。エレコーゼ、エルリック、コルム、ホークムーンの四大ヒーローはどれも好きなんですけどね。エルリックサガのラストは、当時は衝撃的でした。
そして、次が、スゴ本さんでも扱われた
エレニア記〈1〉―ダイアモンドの玉座〈下〉
聖騎士スパーホーク ハヤカワ文庫FT―タムール記 1
ベルガリア-ド物語とマロリオン物語。
そして、エレニア記とタムール記です。
指輪物語からの系譜が出来たのはこの作品ともいっていいと思いますが、一巻はほとんど、その後の作品の伏線で、我慢して読んでください。面白さは保証します。日本のライトノベルにも影響はやはり与えており、登場人物のコミカルなやりとりは唸らされる作品です。
次は、魔法の王国ザンスシリーズ。
これは、エピックファンタジーでもヒロイックファンタジーでもなく、純粋な自分探しの物語といってよいでしょう。個人的には、第一作が最高傑作であとは惰性といった感じですが、コンスタントに面白いので、好きです。第一作と第三作が好きなのですが。
さて、今、個人的に続刊が待ち遠しいのはやはり、「時の車輪」シリーズ。
これについては、今まで読んだファンタジーのよい所を取り入れて、そして悪いところを消した作品といっていい感じです。内容は王道中の王道、正統派純エピックファンタジーです。
時の車輪が回り、さまざまな時代が訪れた。
時代が過ぎ去るにつれ、残った記憶は伝説となり、
やがて神話になった。
そしてそれらの神話も忘れられたころに、
ふたたび同じ時代がめぐってくる。
とある時代に、霧の山脈から風が立ち昇った。
この風がすべての始まりだったわけではない。
時の車輪の回転には始まりも終わりもないのだから。
だが、何かの始まりには違いなかった。
この一文だけでもシビレマス。
中心となるのは「時の車輪」ですね。
時の車輪が回るたびに、人は死んでもまた別の人間や生き物に生まれ変わるという輪廻転生思想を西洋ファンタジーに組み込んだところは東洋的思想を作品に組み入れたという点で(西洋にもあるのですが)ムアコックの影響を。そしてベルガリア-ドにあるような、神との戦い、そしてユニークな魔術師達。この世界ではアエズセダーイと呼ばれているわけですが。
時の車輪は、過去の作品のいいところを作品内に取り入れているわけですが、一番、素晴らしかったのは、魔法の設定であったと思われます。舞台となる世界では魔法の力は二種類存在し、サイデインとサイダールに分けられています。男性が使えるのはサイデインで、女性に扱えるのはサイダールのみです。
舞台となる世界では、3000年前、当時のアエズセダーイ達の過ちによって創生主によって封じ込められていた諸悪の根源と呼ばれる闇王が解き放たれてしまいます。
結果、闇王を封じ込めるための戦いが全界で起り、その戦いの最後において竜王ルーズ・セリン・テラモンは、闇王を再び牢獄に封印することに成功しますが、闇王の最後の反撃が、サイデインを汚し、その結果、男性のアエズセダーイは全員狂気に陥ります。そして、狂った竜王テラモンを含む男性アエズセダーイ達によって全界崩壊と呼ばれる出来事が引き起こされ、世界はズタズタに引き裂かれてしまいます。
物語は竜王テラモンが、狂気に陥り、自らの宮殿で愛する人間を皆殺しにし、狂ったように笑いつづけており、そこに闇王側に寝返ったアエズセダーイ、イシャミールが現れ、対峙する場面から始まります。
「イリェーナを殺したのは誰の手だ?俺の手じゃないぞ竜王テラモン。闇王シェイタンに逆らった報いだと知るがいい!」
「愚か者め!この戦いは時が始まった時から続いている!時の車輪が巡る度に俺たちは戦い、時が死に絶えて、闇が勝利者となるまで戦い続ける!」
竜王テラモンは、イシャミールの手によって正気に戻され、自分が行った好意に絶叫し、そして、自らサイデインを引き出しすぎて死にます。そして、その結果として残ったのが「竜王の敗翔」と呼ばれる山でした。
物語は、ここから始まります。竜王の敗北と死、そして全界崩壊とよばれた出来事から3000年後、竜王の生まれ変わりとされるランド・アル・ソアとその友人で、「歴史の織り人」となるマット・コーソン、ペリン・エイバラの三人を主軸として濃厚なドラマが繰り広げられます。
やはり、物語として優れている点は、「主人公アル・ソアは竜王の生まれ変わりであるため、サイデインを使えるが、サイデインは闇王によって汚されており、使い続けるといつかは狂気に陥る」という点と竜王予言という形で、「復活した闇王に竜王の再来が立ち向かい、勝利をおさめる」「竜王の再来が現れる時、再び全界崩壊が引き起こされる」という伏線が物語を通じてなされている点でしょう。要するに、最初から、主人公は破滅に向かって突き進むという形が完成されていて、物語の基本「主人公が穴に落ちる→穴から這い上がる/穴の底で死ぬ」に非常に忠実なんですね。忠実すぎますが、やはり、エピックかくあるべしという形で飽きません。
竜王伝説〈1〉妖獣あらわる!―時の車輪
糞長い本ですんで、読まれる方は、少しずつどうぞ。ただし、指輪物語のお約束で、第一部は、あまり面白くありません。二部以降は最高なんですけどね。
最後は、やはりハリー・ポッター。
イギリス小説の寄宿学校ものに、スポーツの要素を組み合わせ、底にちょっとミステリーと魔法を組み合わせた小説です。もういうまでもないですが、全世界で一番売れている小説ですんで、是非どうぞ。