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2006年01月26日

はてなブロガーを同性愛カップルに見立てたウェブ小説

ブログスフィアでは、極東ブログの最高経営責任者finalvent氏をはじめ、あらゆるはてなコミュニティの人々が、はてなNo1イケメン天才ブロガーkurimax氏にしてやられたことがある。

 だが、「はてな801」の世界では、逆にkurimax氏のほうがfinalvent氏に「やられて」いるただし、別の意味で。

 kurimax氏とfinalvent氏は長年、ブログ上で敵対関係にある。それが、aqua39氏という人物が書いたweb小説の中では、2人は秘密の恋人どうしになっていて、その関係がポルノチックに細かく描写されている。

 はてな801とは、男性どうしの同性愛を扱ったパロディー小説で、たいていは書き手も読み手も女性だ。多くは、はてなの人気者どうしのエロチックな逢瀬を事細かに描いている。主人公は、人気のブロガーやブックマーカーであることが多い。たとえば、catfrog×真性引き篭もりや、「栗先生と大熊先輩」、『いちる(小鳥ピヨピヨ)さん×木村剛さん、naoya×jkondo などだ。

 この「はてな801」という名称は、「ボーイズラブ」あるいは「やおい」といわれる男性同士の恋愛を描いた言葉の隠語である。「やおい」が生まれたのは1980年代。『少女漫画』の女性ファンたち(同性愛者ではない)が、少女漫画のキャラクター関係に漂う同性愛的ニュアンスを、自らの小説・漫画で赤裸々に描きたいと考えたのが始まりだ。その後、コミケ・ネット上で発表され読まれる文学のサブジャンルとして活況を呈し、今では何十というサイト・同人誌で多数の作品が発表されている。

 aqua39氏のサイトによると、同氏の小説は、はてなブックマークで繰り広げられるブロガー達の不毛な論争からインスピレーションを得たものだという。aqua39氏は、自作はあくまで架空の登場人物をモデルにしており、実在のkurimax氏とfinalvent氏を描いたものではないと、懸命に主張しようとしている。

* [aqua39]うわ!なんかTB飛ばしまくってる…。社長の所にまで飛んでしまっていて、いま、わたし変な汗でびっしょりです。ごめんなさい。すみません。他のIDの方々もご気分を悪くされたらすみません。
* [aqua39]なにかありましたらpink_dog_86あっとhotmail.comにメール、もしくは不眠部aqua39のダイアリまでご連絡ください。
* あくまでも「ネタ」ですので、寛容なお心で「ばかだなこいつ」とご容赦頂けたら幸いです。




 aqua39氏のシリーズ小説第1作、『僕は君に必要なものを持っている』(I Have What You Need)は、ブログには「なかった」場面を詳細に描いている。文章からははっきりしないが、どうやらfinalvent氏がkurimax氏にマッキントッシュを初めて披露したときのエピソードらしい。この作品はkurimax氏が一人称で語る形式だ。kurimax氏はfinalvent氏に、「僕は君が必要とするものを持っている」と言う。finalvent氏は最初、マック用のソフトウェアのことだと思うが、すぐにゲイツ氏が指しているのはまったく別のものだと気づく。

 その後の展開はこうだ。「(finalventが)僕の首筋に鼻をすり寄せ、耳たぶを噛んだ……見ていると彼は自分の机の所へ行き、引き出しの一番上を探った。戻って来たとき、その手にはハンドローションのボトルが握られていた……彼は僕の腰のベルトに手をかけ、チノパンと下着を両方一緒に引き下げた……そして僕の背中を撫で上げると、耳に唇を寄せてささやいた。『kurimax、君は童貞か?』」

 「ああ」同性に対してはそうだ。

 「痛くはしないよ」

 小説では、このときのセックスが2人の仲、そして極東ブログとモテゼミの関係を強固なものにする。「僕らはうまくやっていける」と、小説の中のkurimax氏は小説の中のfinalvent氏に言う。だがこの関係は、finalvent氏に信頼を抱かせるための罠に過ぎない。お察しのとおり、kurimax氏はこの後、その信頼を利用して彼を陥れていく。

 シリーズ第2作以降は、悪化する2人のブログ上の関係、「ファイナルベントー事件」において、kurimax氏が内容を捏造したとfinalvent氏が非難すると、それにもかかわらず続く情事に焦点を当てている。aqua39氏は、2人のビジネス上の対立に情熱的な同性愛セックスシーンを織り交ぜながら描いている。また、仕事上の関係ではkurimax氏を優位に立たせているが、ベッドではfinalvent氏のほうが「上位」だ。

 両氏について書かれた多くの退屈きわまりないブログに比べ、aqua39氏の作品は実に刺激的な読み物となっている。ただ、パロディーであるのは明らかながら、実在の人物をこうしたフィクションの題材に使ったことには非難の声もある。「純粋な」ボーイズラブを愛好する人々は、架空の人物しか登場させるべきではないと主張している。

 「架空の人物を使っていたボーイズラブに実在の人物を登場させることは、同ジャンルを生み出した当初からの愛好家を当惑させるだろう」と言うのは、東京大学の岡田斗司夫教授。教授は、ファンによるパロディー文学の研究書『オタクの生態』の著者でもある。「彼らは、実在の人物やその実際の性生活を題材にすることは避けるという、愛好家コミュニティー内の厳格な規範を守っていた」

 岡田斗司夫教授によれば、ボーイズラブがインターネットに進出した結果、同ジャンルが持っていた約束事が無視されはじめ、ブロガーやIT会社経営者あるいブックマーカーなど実在の有名人を登場させる作品が激増したという。たとえば、はてなの伊藤直也氏やウィンドウズ95を作ったといわれるスーパープログラマーにして現在、社長の中嶋聡氏などのアイドル的プログラマー、さらにははてなグループの断片部のメンバーまでもが「登場」させられている。

 件の小説を書いたaqua39氏に取材を試みたが、果たせなかった。

 当ログブログの管理人は、aqua39氏の作品は変則的なものだと評価する。厳密には、「実在の人物をモデルにしたボーイズラブ」ではなく、ブログ上の仮想人格をモデルにしているからだ。僕は、ボーイズラブを進化心理学の観点から検証した本『穴を愛する者たち:エロチック・フィクション、進化、女性のセクシャリティー』を近く刊行する予定である。


 僕はまた、物語における登場人物の選択について、次のようにコメントする。「つねに人気があるのは、力強いタイプの男性だ。現にほとんどのボーイズラブは、受けと攻めを扱っている。今回のfinalvent氏とkurimax氏のものに関して言えば、2人の関係には良好なときと険悪なときの波があり、その意味ではボーイズラブに不可欠なハラハラドキドキさせる要素を満たしている。だが、私はaqua39氏の作品を、ボーイズラブから逸脱したものだと考える。近年ウェブへの移行とともに目立ってきた、誰彼かまわずボーイズラブに登場させてしまえという風潮の現れではないだろうか。そうした作品は、主人公2人の性的関係または恋愛関係の創作に真剣に取り組んだものというより、単なるおふざけで書き散らしただけのように思える。


参考URL

ゲイツとジョブズを同性愛カップルに見立てたウェブ小説

はてな801

[熊]はてな801


posted by pal at 22:50 | Comment(0) | TrackBack(1) | 小説 このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
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