上記はけんすうさんのブログの記事。
最近のはてなについて扱っておられます。
で、気になった話なんですけど、
いわゆる「賞味期限」の下りです。
企業の製品にもサービスにも、「賞味期限」が必ずあります。
そして、はてなが頻繁にメディアに取り上げられることで消費が激しくなり、
その結果、飽きられる時期が早まってしまうのではないかってお話なんですけども。
僕個人として、この問題については、ちょっとした教訓というか
エンタメ業界の端っこにいる身として
ビートたけしの言葉を心に刻んでいます。
「ファンはいつまでもファンではいてくれない。
それでも芸人は芸を磨くのをやめてはいけない」
という奴です。
どんな小説も漫画もドラマも飽きられたら終りです。
同じように企業の製品もサービスも飽きられたら終りなんです。
そして、はてなも、飽きられたら終りです。
で、それを防ぐために、ファンを大事にしたり
顧客を大事にするという姿勢が大事なわけですが。
同時に、ファンを大事にしたり
ユーザーを大事にしたりすることは、破滅への一歩でもあります。
なぜなら、どんなに頑張っても、いつかはファンは離れていってしまうし、
コアユーザーもいつかは企業、ここでは「はてな」を見捨ててしまうんです。
それが早いか遅いかの話なわけで。
いつか、必ず、見捨てられます。
こないだのTBC3で、色んな方とお話したときに
はてなの近藤社長の話がでて、その時に近藤さんが
「はてなユーザーを裏切れない」
なんて話をしていた事を耳にしたんですけども。
話を聞いた限りでは近藤さんは、ユーザーを非常に大事に考えているようでした。
けども、おそらく、その姿勢事態が、はてなをダメにするでしょう。
多分、やがては。
懸命な経営努力、血の汗を流しての開発、ユーザーを大事にする経営姿勢、
そのどれも、短期的な競争で勝ち抜く事には有効ですけども、
長期的には、あんまり重要ではなかったりします。
漫画や小説、映画を例にあげますけど
ユーザーの声に耳を傾け、血の汗流して作品作り、経営努力をしてコスト削減を
進めた結果が、今の漫画、小説、映画産業の結末です。
どんどん市場が縮小してるんですよね。
何で?って話になるわけですよ。
こんなに一生懸命努力しているのにって。
そこで、最初のビートたけしの言葉に戻るわけです。
「ファンはいつまでもファンでいてくれない」
って言葉に。
どんなに努力しても、ファンはいつまでもファンではいてくれないんです。
いつかは飽きられちゃう。
じゃあ、どうすればいいかって話なんですけどね。
まず、最初にやらなきゃいけないのはは、
「顧客には尋ねない」
でしょう。
いや、顧客であったり、ファンの意向を最大限に汲む事は
大事なんですけどね。それは、既存の芸であったり作品であったり
サービス、製品を改良する必要性がある場合においてのみでして。
新しいサービス・作品・製品を出す場合には
絶対に「既存のファン・顧客」に尋ねるべきではないんです。
なんでかっつーと、彼らは、自分達が使っているサービスにしか
関心がなく、新しい財・サービスになんて
興味がないし、それを評価する際に、その財・サービスを
無理やり自分達の用途に合わせて使おうとするからなんですね。
要するに、自分達が今までやってきた使い方を
新しい財・サービスに無理やりあてはめようとするんですよ。
例えば、ですけど、富良野監督を例にあげますと。
あの人は、ガンダムをこの世に送り出したばっかりに、
その後、ガンダム以外の作品は作れなくなっちまったわけです。
酷いもんですが。
成功の代償というわけですが、
あまりに多くのガンダムファンを作ってしまった故に
ファンを裏切れなくなり、そのファンの期待に常にこたえ続けることを
余儀なくされ続けているわけです。
結果、新しいモノは作れなくなってしまった。
あとはガンダムの遺産で食いつなぐ事を余儀なくされているわけですね。
新しいロボットアニメに「ガンダム」の名前つけて生き延びるみたいな
儲かるが、徐々に廃れていく市場で生きていく。
そんな感じで。
それはそれでいいんですが、ここで注意したいのは
新しいモノを作る際には、既存のファン・顧客には
一切期待しちゃいけないって事です。
新しい財・サービスを作るときには、新しいファン・顧客に
訴えないといけない。これが鉄則なんです。
だから、「顧客に尋ねるべきではない」となるんです。
とにかく、新鮮さが売りの業界だと。
ネットサービスとかは新鮮さが売りな部分があるんで
新サービスを作る際には「顧客に尋ねるべきではない」の原則が
適用されるべきなんじゃないと思うわけです。
で、そのためには、「ユーザー第一」って考え方は非常に危険なんです。
だから、はてなのトップがそういう考え方をし始めてるってのは、
個人的に非常に怖いなと。
モノ作りの現場ではユーザーの声を聞くべき時と、
絶対にユーザーの声に耳を傾けるべきでない時があって
その区別を近藤さんとかがしてない場合には
いつの日か、はてなが「飽きられて」しまった時に
もうどうしようもないんじゃないかな、と思うわけですよ。
「どんな財・サービスもいつかは飽きられる」
「ファンはいつまでもファンでいてくれない」
の二つは、今後も永遠に変わりそうにありません。
だから、その対策として、常に新しいファンを獲得できるような
体制を整えておかないと、ネット会社って危ないんじゃないかと
おもうわけです。
エンタメ業界における芸人、小説家、漫画家、脚本家とかが
陥るジレンマに陥らないようにして欲しいなと。
エンターテイナーなんて飽きられたらそこで終了なんですけど
市場を変えることで生き延びた例は結構ある。
だから、新市場開拓のスピリットは失わなってはダメなんだと
思うわけです。じゃないと必ず、「いつか終わる夢」に適応できない。
夢をみせるのが仕事でも、その夢はいつかは終わってしまう。
だから、定期的に、新しい人達に、
今まで、自分達からもっとも遠いところに
いた人達とかに夢を見せることも大事なんだなと。
まぁ、それができないから、大企業でも
「企業寿命30年」なんていわれる時代なんですけどね。。。
「ユーザー」と「ファン」という単語を同じに扱っていますが、この違いをよく考えてみては。
いや、そういうわけでもないと思うんですよね。
ソニーは目標達成のツールである製品を
作る企業でしたが、やはり「ブランド力」というのが
その力の源泉の一つでしたし。
ソニーにもファンがいましたが
それに飽きられる瞬間、ブランド力が色あせる瞬間と
いうのはいつか来ちゃうものだと思うわけです。
>>回転者さん
そういう時期がいずれ来るだろうなーと
思うんですよね。
そさんと同意見です…。
はてBのほうでも、色々と
このエントリの欠点を指摘されてますし
もう一度、自分でも考えてみます。
コメントには否定的な意見が多いようですが、展開の速い産業にいる限りは意識しなければならないことだと思います。
時代を変えるようなアイディアは既存のアイディアに則ったサービスを愛用している人には理解しがたい場合が多いのは事実ですし、はてながもっとメジャーになってみんながブクマを使うようになった時、それらのユーザ自体がはてなの新たな挑戦にとって呪縛になるというのは十分ありうると思います。
これは業種を問わずすべての物作りをしている企業が必ずぶつかる壁であると思います。
ええ、クリステンセン教授のお話にあった内容と
漫画や芸人の方に置き換えて見たときや
はてなに適用してみた時に考えてたことを
文章にしてみました。
>>qbさん
ジレンマですよね・・・
音楽制作チームをやっています。
はてなさんへ当てはまるのかどうかはわかりませんが、すくなくともこのエントリーで仰っていることは私にとってグッときました。
これからも楽しみにしてます。
>どんどん市場が縮小してるんですよね。
わたしは小説と映画の分野しか直接知りませんが、
けれどこの二つの分野の規模縮小の原因は、
ユーザーの声に耳を傾けず、特に映画ではプロデュース側が経営努力をしてコスト削減を進める意識が大幅に欠如していたからです。
この二つの分野は今でも表現者を、製作側が、さも神の子のように奉るようなところさえあります。
上記と「はてな」とを比較して同類のように謳うのは、いかがなものでしょうか。
いつもお読み頂きありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
>>dimさん
たしかに、コスト削減を進める意識が
無いところもありますが、そういう場所は
短期での競争の間に淘汰されていっているのでは
ないでしょうか?
コスト削減や経営努力の欠如は
一つの企業を破滅に追いやりはしますが
市場事態を縮小させるものとは必ずしも
限らないと思います。
他の経営努力をし、コスト削減に励む企業が
そういうダメな企業のパイを奪うだけですから。
競争の結果として、一つの企業が淘汰されるのと
市場事態の規模が縮小するのとは原因が
違うのではないかと思うわけです。
>例えば、ですけど、富良野監督を例にあげますと。
>あの人は、ガンダムをこの世に送り出したばっかりに、
>その後、ガンダム以外の作品は作れなくなっちまったわけです。
富野監督はガンダム以外の作品を作れなくなったという事はないですよ。
お調べいただくとわかると思いますが、ガンダム以外の作品も少なくはないです。
例えガンダムを手がけていようとも、読者の期待を裏切る方に進んでいる事もあります。
富野監督はファンにおもねっているわけではなく、
どちらかと言えばファンに挑戦される方だと思いますね。
ちなみに言えば、最近は富野監督以外の方が、ガンダムを手がけられるケースもあります。
日付を確認すればよかったです。失礼なことを書いて申し訳ありません。
でも、企業なので利益は追求する必要がある。
そこでバランス論になるんだけど、そんなバランス論に陥ったつまらない企業なんて何が正しいのか決められなくなりますよ