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2006年01月18日

ITと産業の過去未来

こないだのTBCでちょっとお話してたことで、
最近、文章にしよう、しようとして
してなかった事のお話。


IT産業、web2.0、まぁ、何でもいい。
それの未来の行く末のお話なんだけどね。


LDが崖っぷちぶりを発揮している時に扱う話題でも
ないかもしれないけど、書いておきたい事だから
書いておこうと思う。


まず、単純な産業の流れを提示しようと思う。

それは、資本主義の世界では、それがどんな場合であっても
金は

「株主→資本→労働者」

の順に流れていく。


株主が金を出し、経営者がその金を資本に投下して、
労働者がその資本を使って財やサービスを作り出す。

この流れは、どんな場合も変わらない基本原則である。


で、問題にしたいのは、このバリューチェーンにおいて、
その時々において、重要になる部分が違ってくるという事である。


まず、産業の初期においては、何よりも
金を出してくれる人、つまり資本家が重要になる。
こいつがいないと、始まらない。


次に、産業の成長期においては、経営者と資本が重要になる。
資本を自己増殖させ、市場を開拓する上では、経営者の力量と運、
そして資本の量が勝負を決する。


そして、産業の安定期に入ると、今度は労働者が重要になる。
産業が成熟し、どの企業も、資本をある一定以上もってしまうと
資本の量で勝負することが難しくなる。

成熟したマーケットで勝つためには
差異化された商品、あるいは低価格の製品が必要になる。


そうなると「特殊な才能をもつ労働者」あるいは
「低コストで働いてくれる労働者」のいずれかが必要となる。


そのため、「特殊な才能をもつ労働者」のコストが激増し、
「低コストで働く労働者」を求めて、企業は奔走するようになる。




もっと単純にいおう。

というか、産業の変遷を簡単にまとめると

1 産業の初期段階
産業の初期は、金脈探しの嗅覚と産業を成立させる為の資本が
重要なので労働者の労働力が軽視され、搾取される傾向がある。



2産業の成長段階

市場が発見されると、そこに人が群がる。
その結果、競争が発生する。

競争の結果、市場内の企業全てがある一定以上の資本を
もってしまうので、資本の重要性が薄れ、労働者の価値が上がる。
つまり「資本の量」よりも「労働者の技能」が
財・サービスの価値の決定要因になるからである。
この時期、労働者の賃金は全般的に上昇する

3産業の成熟段階

次に、労働者の中で、熟練労働者と非熟練労働者の分化が進む。
技能による「労働者の差異化」の結果、熟練労働へのコストが上がる。
一方で、非熟練労働者へは企業はコストをかけなくなる。
代わりがいくらでもいるからである。

やがては、賃金格差、二極化が生まれる。


4産業の衰退段階

最後に、ある熟練労働者のもつ高度技術が、顧客の利用能力を超える。
いわゆるイノベーションのジレンマである。
ある一つの技術を顧客が評価しなくなる時期がいつか来るのである。
結果、熟練労働者の価値が下落する

労働者の技術が差別化要因にならなくなると、
今度はまた金脈探しの競争へと回帰していく」


といった変遷を辿る。

こういう風に最近、僕の中では単純化されたモデルにして
経済というか企業の盛衰をまとめている。

今の日本の状況は、3〜4の間くらいにある程度に思っている。




産業革命をふりかえればわかるけど、最初は
労働者が徹底的に搾取された。児童労働、女性労働などなど。

ただ、注意して欲しいのは、この時期は、
資本増殖の時期であり、機械や土地に投資する必要がある時期であって
投下された資本が、機械や土地に向っている以上
労働者に賃金上のしわ寄せが来るのは、ある種、当然だともいえる。


どこの国でも、産業の立ち上がり時期には
こうした時期があり
産業の初期において、投下された資本が回収されるまでは
労働者が搾取されるのは仕方ないともいえる。

そういう仕組みなのだ。資本主義というのは。
チャーチルの言葉を思い出す。

「資本主義は最悪の社会システムだ。
しかし人類はそれ以上の仕組みをいまだに見出すことができていない。」

という言葉を。



で、だ。
しかしながら、市場内の企業が、すべて同じ条件を備えてしまうと
つまり、だが、同じ生産条件、資本量を揃えてしまうと
企業は、生み出す製品を差異化、あるいは低価格化できる手段が
なくなってしまう。

競争が適正に行われる限りはこうなる。
(独占資本などが出現しないように目を光らせている限りは)

その結果、再び、労働者の技能が決定要因に戻る。
そして、そこに資本が投下されるようになる。

この時点で、労働者の賃金が上がり始める。


産業革命においては、この状況が起こるまで、
つまり生産性の増加が、労働者の賃金上昇に結びつくまでに
50年を擁した。


さて、問題は、ここからになる。
ITは、今、どの段階なのだろうと。


第一段階の最後あたりだろうか?
つまり、ブロードバンドが完全に普及しきり、
全ての家庭にパソコンがある状態になって
第二段階に移ったと考えるべきだろうか?



それともすでに第二段階にあると感じるべきだろうか?
すでに充分なITインフラが整っており、
資本の重要性が薄れ、労働者の価値が上がる時期だと。

つまりは、ネットのインフラ面、ソフトやハードの価値を
顧客が重視せず、ネットから提供されるサービスこそが
重要になってきている時期だと解釈すべきだろうか?

すでに「労働者の技能」が
財・サービスの価値の決定要因になってきていると解釈すべきだろうか?



LDの株価下落に伴って、IT関連の株も投売りが始まっている。
僕個人、ハイテク株なんて、恐ろしくて買う気にもなれないけれど
ネット発のサービス業であれば、投資してもいいかもしれない
なんて思い始めている。

産業の成熟度次第なんだけれど、ITインフラが整ってきている以上は
次に顧客が重視するのは、ハードやソフトでなく、「サービス」そのもののはずだからだ。

そして、「ネットサービス」を提供するために高い技能をもつ
会社は伸びるはずである。また、そういう会社に勤める人の給料も上がるだろう。
そういう技術をもった人は、これから価値が上がる。


なんて思っているのだが
上手くまとまらないので、本日はこれで終了。



追記。

二極化やら資本主義に関して、
ちょっと述べておきたい事があるんで書き残しときます。

僕個人、低賃金で大変な労働をするというのは悲惨だが、
ある程度は必要だと考えている。

問題であるかもしれない。
ただ、それのおかげで、消費者は、安くてよいモノを手に入れることが
できるし、消費も活発になる面もある。

時々、メディアなので悲惨な労働やら
二極化やらが問題視されるのを見る。
これで誰が損するかって話になると、大抵は、搾取される下層の人々に
目が向うが、実は、損をする人が他にもいる。

低コストで働く人が増えることによって
起業がしやすくなり、低価格競争が激化するので、
既存企業の一部にも火の粉が飛んでくるのである。

よく、中国製品製造の悲惨な現場とか、中国工場の愉快な生産風景とかを
メディアが流すが、あれって、そういう事をメディアで煽って
低価格で市場を破壊されるのを防ごうとする
日本企業のアガキなんじゃねーかって思うこともある。
無駄なんだけどね。グローバル化はとめようもないし。

そして、それは、悪い事ばかりじゃない。
無論、悪い面もあるが、資本主義というのは「最悪のシステム」
なんだから、しょうがないっちゃしょうがない。
だれかが新しいシステムを考え出してくれない限りはどうしようもない。

最後に最近、読んでいるクルーグマン教授の本のご紹介。
こんな事を考え始めたのはクルーグマン教授のおかげだったり。
なんでアフィリエイトもしてみたり。

オススメは

良い経済学悪い経済学

グローバル経済を動かす愚かな人々


かな。読みやすくていい本でした。





posted by pal at 17:01 | Comment(1) | TrackBack(0) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
すわっすがぁ!!!!

「アマゾンアフィリエイト2006第一四半期」からさかのぼって今頃見つけました。

すんごい、目からうろこです。

クルーグマンに今頃はまっている私でした。
Posted by ひでき at 2006年04月04日 20:41
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