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2005年12月24日

ゲーム業界のイノベーションのジレンマ

日本のゲーム産業が直面する危機――新ハードがもたらす開発費の高騰【コラム】

クリスマスイブだけど、突っ込む穴もないから
知的オナニーに耽ってみる。


漫画とゲームは、自分と関係する分野だから
最近、この二つの業界が典型的な
イノベーションのジレンマに陥っている事についてよく考える。

イノベーションのジレンマとは
クリステンセン教授の著書「イノベータ-のジレンマ」で
提唱された理論で、次のような条件が技術につき物である事から
起こる。


まず、価値とコストがトレードオフの関係にあること。
つまりだけど、企業が製品価値を高めようとすると

「価値をあげるにはコストを余計にかけるしかない」

という状況に直面する。

そうすると、企業は市場での競争に打ち勝つために
よりよい製品を作るために、一つの製品にどんどん
コストをかけるようになる。

一方で、企業間競争においては、常に価格を下げるように
市場圧力がかかる。

価値をあげるにはコストをかけないといけないのに
価格は下げなくてはいけないという矛盾する状況に
企業は直面する。

また、製品の価値がある一定以上にあがると
顧客がそれ以上の製品価値の上昇に無関心になる。
例をあげるなら、自動車でスピードを500キロだす車を
作っても、そんなのは一部の金持ち以外は買わなくなる。

マスマーケットの顧客は、ある一定以上の性能をもっていれば
それでいいわけであり、それ以上の性能価値上昇になんて
余分な料金は払わない。


この二つの条件が揃った瞬間に「イノベーションのジレンマ」
が起こる。

企業間競争に勝つには、余計なコストを払って
より価値の高い製品を作らないといけないのに
コストを払ってより価値が高い製品を作っても
顧客がそれを評価してくれないので、

「コストは上がっているのに顧客にとっての製品価値が上がらない」

という状況に、企業は、いずれ直面するって事である。

そうなると、ある一定以上の技術を、ひとつの市場内の
企業が全てもってしまうと、どれも似たような製品ばかりになり
自社製品を差別化できない為に、その市場で魅力的な利益を
得る事が不可能になるって事。


上記の記事はゲーム業界において、まさにそれが起こっている証明で

「グラフィックコストが上がる一方なのに、ゲームは100万本以上売れない」

というジレンマに直面しているのが今の業界で
売れる数の上限は、ほぼ分りきっているのに
コストは上がる一方で、しかも、かけたからといって
売れるとは限らない。

グラだけよくても売れないのはみんな承知だが、
コストかけないと売れないから、かけざるを得ない。
その為に、コストがかかり過ぎて、利益が全然でなくなる一方なのである。



ゲーム業界が、このジレンマから抜け出すことは可能か?
これについては、考えている事があるのでちょっと披露しておく。
中嶋さんとかも、これについては問題意識を持っているみたいだけど
個人的に、まず、今のゲーム業界の状況を簡単に整理。


まず、状況を整理するためにW・チャン・キムとレネ・モボルニュ著の
「ブルーオーシャン戦略」にある戦略キャンバスを
使用する。

ちなみに、ブルーオーシャン戦略とは
「競合他社に打ち勝つただ一つ方法は相手を負かそうとすることを止める事である」
という戦略である。

つまり、企業間競争が「価値とコストのトレードオフ」を
もたらす以上は、どんな市場もやがては利益のでなくなるのは
明らかであり、そういった消耗戦から脱却し
企業は定期的に「新市場の開拓」を行う必要性があるという事。

ブルーオーシャン戦略は、大まかに分けて
三つの特徴がある。

まず、メリハリのある戦略。
すべての顧客を満足させようとすると
コストと価値のトレードオフが起こり、
高コストのビジネスモデルに縛られてしまう。

だから、メリハリの利いた戦略で、低コストと高価値を
同時に手に入れられる市場を目指す事。


第二は高い独自性。
競合他社との競争が起こると、常に
相手のサービスに負けまいとする力が企業に働き
お互いに学びあうプロセスが発生する。
そうなると、戦略キャンバスがどの会社も
似通ったものとなり、結果、独自性が失われる。

その結果、どの企業も同じような製品を出すようになる。
今のゲーム業界が正にそれだ。
独自性は失われ、似たり寄ったりの作品ばかり、
また、シリーズモノばかりで埋め尽くされている。

第三が「キャッチフレーズ」。
これは、自分達のサービス・製品が他と異なっている事を
顧客にアピールするために必要になる。

どこの企業も、競合する市場では
似通った製品・似通ったキャッチフレーズに縛られる。
そこから抜け出せるかどうかを、これで
顧客にアピールするのである。


んで、以上を踏まえた上で、既存ゲーム業界の戦略キャンバスを
描いてみよう。


そうするとこうなる。
結構適当だけども。

game01.jpg


こんな感じで。

適当に書いたん奴ですけど、こうかなっと。
既存ゲームってのは、コミュニケーション以外の分野は
ホトンド、コストがかかってしょうがないし
みんな力を入れている。

コミュニケーションは、オンラインゲームでしか
存在しえない部分ですから、しょうがないですけどね。
オンゲーの強みです、ここは。

で、この戦略キャンバスの何がまずいかっていうと
既存市場で売れるソフト作ろうと思ったら、
グラ、ストーリー、広告、キャラ、ゲーム性とかの
金のかかる部分にコストをつぎこまないといけなくて。

しかも、戦略キャンバス自体がどこも似通っているから
どのソフトも似たり寄ったりになるのは避けられないんですね。

一方で、同人ソフトだと、グラとか広告とかゲーム性とかには力を
いれず、ストーリーとかキャラ、エロのみに
ひたすら力を入れているわけです。

ここに強みをもつ同人屋だと強かったりします。
知合いにもいるんですけどね。同人エロゲやってる奴。

無駄なコストを省いているから、結構儲かってる奴も
いるんですよ。まぁ、同人誌で年間一億稼ぐ奴がいる時代だから
同人ゲームが割のいい商売ってわけでもないんですけど。


儲かっている同人ソフト屋の連中は
既存のソフト業界とは違うポイントに強みを見出して
そこで勝負かけてるわけです。
まぁ、ぶっちゃけエロゲなわけですが。
評価はおまかせします。

ゲーム業界全部エロに走れって言っているわけではないんです。

言いたいのは、もうグラや広告や、ゲーム性とかに
金を使うのやめて、他の新しいポイント作り出して
そこで勝負しなよ、と。

もう、これらに関しては金がかかりすぎるし、
コストかけても、回収できない域、つまりは
レッドオーシャンなんだから、と。

グラ・ゲーム性・広告にかける値段を最低限〜平均以下に
落した上で、別の要素で勝負するって奴で。

2ちゃんやブログはゲームみたいなもんです。
エンタメってのは、「暇つぶし娯楽」ですから。
暇つぶしになればなんでもいい。

だから、コミュニケーションに特化したオンラインゲーム作るとか
方向性そのものを変えて、勝負をかける時期なんじゃねーかと。
そういうこってす。

あるいは、オンライン広告だけ成り立つ
ゲームビジネスモデル作るとか。
無料なんだから、安くて簡単な奴で。
極端な話、インベーダーゲームとかスーマリくらいの
グラでいいから、他に何か新しい要素付け足して
そこで勝負かけて欲しいわけです。


門外漢がえらそーな事いってすいません。
でもね、ハードがこれ以上進化して、
3Dの凄いグラフィックで勝負するってのは、もう
コスト上がり杉で無理だと思うんですよね。

ここまでグラコスト上がっちゃうと
長いストーリーを作っても、その分、グラコストも
上がるわけだから、ストーリーで勝負かけようにもアレになるから
ストーリー性が軽視されていく傾向が強まると思うし。

つか、FF7の続編映像作品アドベントチルドレンは
映像は凄いけど、ストーリーひでえですよ、あれ。。。。

なんとかならんものかと、色々と考えてみましたーよ。
しかも結論でてないし。

なんか、頭こんがらがってきたんで
クリスマスの知的オナヌーはこれでしゅーりょー。

posted by pal at 21:38 | Comment(31) | TrackBack(4) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
はじめまして。
今、商業としてゲームを作ろうと考えているものです。

今2ちゃんねるやブログで起こっているムーブメントをそのままゲームに落としこめば市場原理を無視して作れるかもしれませんねぇ。
Posted by KM at 2005年12月26日 20:19
>>KMさん
はじめまして。

色んなやり方があると思いますが
既存ゲーム業界と同じポイントを
重視してゲーム作るのはもう限界だと思います。

コストの関係もありますし、
ユーザーがグラを評価しない時期が
近くなってきていると感じます。

任天堂DSの売れているソフトも
そうですけど、もう一度市場の底辺にいる
ユーザーや、その外にいる、今までは
ゲームしなかったユーザーやゲームを
しなくなったユーザーに照準を合わせるべきだと
思うんですよ。
Posted by pal@管理人 at 2005年12月26日 21:10
あくまでたとえば、ですが、
たとえば「嫌韓流」という本が売れていますが、
それのようにある一転を重視してそれに即したゲームを作る、というのも一つの方法だと思っております。

そもそも……エロゲーにしろ通常のゲームにしろ、
最近では体感型ドラゴンクエスト(剣神ドラゴンクエスト)のゲームが出るぐらいですから、閉塞感を打破するための方法を練っている時期だと思いますよ。
Posted by KM at 2005年12月26日 22:04
>>KMさん
そうですよね。

僕もそういう時期だと思います。
Posted by pal@管理人 at 2005年12月26日 22:29
中古ゲーム市場の存在が、首を絞めてかかってる面も考慮して欲しいですね。
問屋の注文量が減って、
出荷本数が見込めない→開発費の削減→開発期間の短縮や人員の削減
という感じで苦しんでる会社は多いかと思います…
Posted by ある下請け会社プログラマ at 2005年12月26日 23:09
>中古ゲーム市場の存在が、首を絞めてかかってる面も考慮して欲しいですね。

これについては小売側もジレンマ状態で、
新品売っていても掛率高すぎて赤字垂れ流し状態。
競合が赤字構わずな量販店では価格で勝ち目が無く、
小売店努力で売上変えられる商品があるわけでもない。
(店で薦められて買ったなんて話はまず聞かない)
現物見て感触をと思っても、
現実はファミ通片手に発注かけるという丼勘定しかとりようがない。
中古回してしのごうと思ったら
半年経たずにベスト化し不良在庫が追加されるチキンレース。
こんな状況で中古併売の小売店ですら減少傾向。
新品専門の量販と中古主体の大手FC系が残るばかりという印象です。

販売チャネル激減の怖い大手メーカーはまだしも、
販売チャネルが都市部専門店と通販だけの同人系に近く
ターゲット絞り気味(売れる店が限られる)な中小系は
販促含めてコストの高いコンソール市場は辛くなる一方に思えます。
Posted by AT at 2005年12月27日 01:26
>>ある下請け会社プログラマさん
コメントありがとうございまうす。
中古主体の大手FC店の問題は
又、今度扱おうと思います。

>>ATさん
素晴らしい文章・指摘だと思いました。
流通チャネルも不振に喘いでいるんですね。
チャネルの問題についても
考えてみたいと思います。
Posted by pal@管理人 at 2005年12月27日 11:59
Posted by VasaGum at 2006年02月13日 04:15
・・ひどくのろまなコメントで申し訳ないのですが、気になったので一応。
停滞したものをさらに変化させるためには、他の領域を取り込むか、根本的な概念を変えるかしかないと思います。ゲームの根本は「疑似体験する」ということでしょうか?これをどういう風に変えるかは思いつきませんが(脳トレが変えたものなんですかね?)、他の領域の取り込みという点ではいくつか思いつくものがあります。今までゲームに取り込まれてきたものはスポーツ、戦争、音楽、ネットなどなど大量。ほかに残っている、しかも新しい客層を獲得できそうな分野といえば、例えば小説とか。

  例-吾輩は猫である-猫になってオヤジいじり?

・・・・ごめんなさい。戯れ言でした。
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