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2008年10月29日

アイスランドの格付けがおかしかった件

サムライ債500億円債務不履行 アイスランド最大手銀


というわけで、本日はタイトル通りの話題です。こないだから話題のアイスランドですが、とうとう債務不履行を出してくれました。しかもサムライ債で。巷ではハラキリ債とも呼ばれてますが、本当にハラキリ債になっちゃいました。

「世界のサイフ」− アイスランドと南アフリカの現況と今後の見通しについて


そんなんで半年ほど前に、上記のような資料が出ていたので、ちょっと興味が出たので読んでみました。



【アイスランド】
・ここ数年、地熱を利用した発電所建設に伴ない、資本財の輸入が増加し、経常赤字が増大しましたが、2008年以降は、アルミニウムの生産および輸出が増加し、経常赤字が縮小することが予想されます。

・4月17日に格付機関のひとつであるS&P社が、同国における金融機関の資金調達コスト上昇と通貨安を背景に経済が縮小する可能性が高まっているとの見方を示し、アイスランドの自国通貨建て長期債の格付をAAからAA-へと引き下げました。しかし、為替市場は大きな反応を示しませんでした。

・アイスランド中央銀行は、自国通貨の安定化をめざし、政策金利を4月に15.5%へと引き上げました。

・今後、世界的に環境問題への取り組みが高まることに伴ない、アイスランド経済は下記のような分野で恩恵を受けることが予想されます。

(アルミニウム精錬)
アルミニウムの精錬には多くの電力を必要とし、エネルギー価格が上昇している現在、アイスランドの安価で環境にやさしい地熱発電は世界から注目されています。

(テクノロジー産業)
コンピューターへのデータ保管には多くの電力を必要とし、また温度を低く保つことも必要です。アイスランドは安価な電力と寒冷な気候により、データ保管に適した場所として注目されています。

(水素燃料)
アイスランドは水素燃料の分野でグローバルリーダーとしての存在感を高めており、今後公共交通機関は水素燃料を使用することを計画しています。


⇒中長期的には、環境分野を中心に経済全般の見通しが明るいことや高い金利水準などがアイスランド・クローネのサポート要因となると考えられます。



今となっては、笑い話にしかならないのですが、当時としては、こんなものだったのかもしれません。じゃなきゃ、あそこまで急落しないし。もっとも、このレポートの時点で20%を超える下落を見せてますが。


しかし、S&Pの格付けって、どうにかならないのでしょうか。アイスランドがダブルAだったんですし。一方、2007年の4月頃までは日本の国債がダブルAマイナス。(現在ダブルA)


そりゃ、日本だって先行き暗いですよ。少子化に財政赤字、国の借金はやばいし、年金問題とそりゃどうしようもないマクロな面を抱えてますけどね。


でもアイスランドほどじゃないでしょうよ。


アイスランドっていったら、GDPの20%前後に相当する貿易収支の赤字を抱え、短期の外貨建て債務はGDPに対して200%。長期の外貨建て負債総額はGDPの350%だったんです。しかも、短期債務残高は、中央銀行の外貨準備金の約15倍ですよ15倍。


アジア通貨危機の前、短期債務残高/外貨準備金の比率で危険水域にあったと言われているインドネシアで168%、韓国で198%、シンガポールで217%、タイで145%と危険性では、比べものにならない域です。投機をくらったら生き延びれるはずがない。実際に、現在、死んじゃってますが。


外貨準備に比較して、巨額の短期債務残高がある国は、アジア通貨危機の時に次々と投機攻撃を受けて沈められたのはまだ記憶に残っている人が多いと思うんです。その国と日本が同格にされてたってのは、ちょっと納得がいかない人も多いんじゃないかと。


で、なんですが、いくらなんでも酷すぎる格付けだと思うんですけどね、こういうの。S&Pみたいな格付け機関って、今アメリカで問題になってます。


今回のサブプライム問題で、格付け機関が問題にされている点を上げますが、格付け機関は投資銀行から報酬をもらっています。


典型的な利益相反に等しいビジネスモデルだと思うんですが、これが、ウォール街のやり方でした。ネットバブルの時に、ウォール街の投資銀行では、自分とこのアナリストに、IPO銘柄が成功しやすいような好意的なレポート書かせて、株価つりあげてたのは有名な話ですけど、それが今回のバブルでも行われてたわけです。姿はかわりましたが。


今の世界じゃ、絶望的なほど利益相反といっていい職種があるんです。アナリストと投資銀行とか、会計士と企業とか、格付け機関と投資銀行とか。


アナリスト、会計士、格付け機関のどれも、どこかの企業を調査して、その真の価値を見いだすことで報酬を得ている人達です。


ところが、彼らに報酬をあげているのは、投資銀行とか企業なんです。会計士はちょっと説明しなきゃいけないと思うので説明しますが、会計士は監査業務よりも、今は企業のコンサルタント業務のほうが重要になってきています。アメリカじゃ顧客企業のコンサルティングから大量の報酬を得ているので、会計士は企業に逆らえなくなってきてるんです。だから、公正な企業監査なんで望むべくもない。


投資銀行から給料貰っているアナリストが、自分とこの投資銀行が幹事の新規株式公開(IPO)で、対象の株式のことを公平に書いたりしないのも一緒です。


んでもって、格付け会社と投資銀行の問題も一緒なんです。間接的にですが、格付け会社は投資銀行からお金もらってるんです。モーゲージ担保証券だとかCDOとかの格付けをして手数料をもらっているんです。


そのうえ、馬鹿げた話ですけど、格付け会社は、対象のCDOのパフォーマンスとかとは、全く無縁です。一回、格付けして終わり。収入は証券の発行量にしか左右されず、格付けで生じる責任などからはほぼ無縁なんです。格付け機関はパフォーマンスを詠み間違えても責任生わないんですね。そりゃ、無責任な格付けが流行るわけですよ。


こんな状況じゃ、格付け機関は、ひたすら証券の発行量が増えるような格付けをするに決まってます。そのほうが儲かるし。


格付け機関が、非常に儲かっていたのは、こういう仕組みだからなんです。2000年台になって、不動産が急上昇し、CDOなどの発行量が増えてた事が、格付け機関の驚異的なリターンを生み出したんです。


まぁ、これが一因ともなって、CDOに対するトリプルAの大判振る舞いに繋がっていったんですけども。


要は格付け会社って問題がある機関だって事なんです。システム的に問題がある。今回のアイスランドの格付けだって、市場的には、もうやばいんじゃないかってシグナルが出てたのに、それでもAAだったりしたし。


これ、明らかに、何か不適切な行いがあったとしか思えないンですけどね。格付け機関と、アイスランドの間とかに。


今回の件の戦犯として格付け機関はやり玉にあげられているのですが、今後、何らかの規制が講じられる場所であるのは間違いありません。それと、格付け機関のうちでは、フィッチは比較的信頼できると思ってます。手数料の情報開示とか、透明性が高いのがその理由です。


posted by pal at 01:59 | Comment(1) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集
この記事へのコメント
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Posted by 立川風俗求人 at 2008年10月29日 10:29
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