ソニーの「沈黙」2――切込隊長の辛らつな「抑制」
ソニーの「沈黙」3――血祭りになったヤラセ「体験日記」
はてBで話題になってたソニー関連記事。
切込隊長の記事が気になったんで、
ちょっと本屋に「諸君」読みに言ったら
おいてなくてもうダメポ。
んだから、記事から引用させてもらうと、だけど。
* 本業のAVで落ちた利益率をゲームと金融で補っているのが現状で、牛丼を売れない吉野家がカレーで息をついているにひとしい。
* 今期売上高7兆2500億円、経常益400億円の見込みだが、事業部としてみると中堅クラスのメーカーがひしめているにすぎない。
* 大賀時代にメカトロニクス(ハード技術)終焉を見抜けず、出井時代に「デジタル・ドリーム・キッズ」を唱えたが、笛吹けど踊らずに陥ったのが今日の苦境の原因
* サムソンに比べ資本調達力も研究開発費も見劣りし、自力回復は絶望的。いま必要なのはストリンガー・中鉢路線の縮小均衡でなく、規模拡大である。
こんな感じらしい。明日、また別の本屋で探してみよう。
関係ないけど、「諸君」がなかったんで
仕方ないので隊長の「スカーレットソード」買ってみたり。
あとで読む。
ファンタジー関連の小説は、あまりに数が多すぎて
もう典型的な飽和状態であって、
大ヒットは、ほとんど望めない。
んだから、もっと別の分野で本書けばいいのにとか
思うんだけどね。
アクション、ロマンスとかのファンタジー小説ってのは
今の時代、もうあまりに使い古されてしまって
どうしようもない部分があるしねぇ。
本題に戻るけど、
ソニーって会社のビジネスモデルは、
1981年を境にして完全に変わってしまった。
1981年以前は、世界に冠たる「製品リーダーシップ戦略」の
企業だった。新しい市場を探して新しい製品を投入して
製品を差異化するっていう王道戦略ね。
競争優位を作り出せる戦略の基本は、主に三つであり
「差異化」、「低価格」、「サービス&ブランド化」が
存在する。
1981年以前のソニーは、「差異化」に最も長けた
企業であり、技術による差異化を評価してくれる市場を見つけては
そこに新製品を投入することを飽きることなく
続ける企業だった。
で、1981年を境に、この戦略が変わった。
新しい市場をみつけて、そこに新製品を投入するという戦略から
「サービス&ブランド戦略」にシフトした。
1980年代というのは、安い電化製品が出回り始め、
ソニーが開拓した市場を「低価格」で破壊する企業が
現れはじめた時期であり、中核事業に育っていた
エレクト二クス事業を守るためには
この戦略は、そう間違っていたものではなかった。
問題は、結局、この「サービス&ブランド」戦略は
一つの市場において企業が取れる最後の戦略であって、
この戦略を取った後、逃げるべき、あるいは開拓できる
顧客層が、その市場内にはなくなるという事を意味する。
そして、まぁ、「ソニー・ブランド」の力が
薄れ始めたのが、ここ数年。
業績が急激に悪化しはじめたわけ。
ブランドという力は、コモディティ化した製品に
「ソニー」という名前を付ける事によって
他の製品と差別化することを可能にする。
ブランドパワーで一番有名なのは
おそらくはファッション業界などで
ただの布切れにシャネルだの、グッチだのといった
名前を付けるだけで、普通の服の何十倍もの値段で
売ることが可能になる。
ファッション関係は典型的なコモディティ、日用品だから
こういうマーケットで生き残る道は
市場内における最後の場所であり、最も金になる場所である
ハイエンドマーケットを利用する上で
非常に有効である。
ただ、これは「ブランド」という摩訶不思議な力が
顧客の間に浸透している間のみである。
「ブランド」という力が形成される過程というのは
何らかの形で、その企業の製品に「強力な付加価値」が
与えられる過程であり、それは、その企業が成し遂げた事業や
作り出した製品・サービスが、もっとも要求の厳しい
ハイエンドマーケットにおける顧客層の要望を
満足させる事によって「ブランド」が形成されていく。
ソニーは、1981年以降、「ブランド」に力を注いだ。
広告などで作り上げた「クールなソニー」のイメージ、
適切なサービス、製品への信頼性などを高め、
そういった「付加価値」をもって自社製品にブランドを
つけ、その上で、ブランドの分の値段を製品に上乗せして
売ることに成功していた。
かつてのソニーは、この時期に永遠に失われてしまったと
考えるのが妥当じゃないかと思うことがある。
すでに、かつてのような「製品リーダーシップ戦略」を
追求した企業の面影は、ソニーにはない。
今のソニーは、「ブランド」にぶら下がって生きており
ラクダのようにコブを食って生き延びているに過ぎない。
そして、そのブランドという力は、ラクダのコブのように
いずれは消え去ってしまうのである。
ブランドを形成するためには、
常に、顧客の要望において、最も「不足」している
部分を満たしつづければならない。
ところが、ソニーの場合、
抱えているほとんどの電化製品事業が成熟しきってしまい
「顧客が不満足」に思っている部分がほとんど
なくなってしまったのである。
この状況では、ソニーのブランドイメージは
年と共に薄れていく。新しい、革新的な企業とイメージや
クールなイメージ、ブランドは製品を差別化できない市場の
中では作り出せなくなっていく。
これが、末期的な時期まで進んでしまったのが
今のソニーであり、そして、かつて様々な企業が
通ってきた道でもある。
もし、ここから逆転するとしたらどうすればいいか?
答えは、そんなにない。
もうかつてのような自社内で
新しい製品・技術を追求するのは不可能である。
サービス・ブランド戦略を取りつづけた企業が
再び、自社を改革して「製品リーダーシップ戦略」の
企業に戻れた例はほとんどない。
二つの戦略は、根本的に、企業文化の違いに端を
発するために、超えがたい壁に、しばしばなるためだ。
であるから、取るとしたら、一つくらいしかない。
ソニーは大企業であり、その強みをまだ生かせる。
自社内からイノベーションが出てこないならば、
買収するしかない。
もう一度、ギャンブラーになるしかないのだ。
ここまで来てしまったら。
大企業のもつ信用とキャッシュをもって
大規模な買収にうってでて、様々な成長分野への投資を
行い、それを育てる道くらいだろう。
ウェルチがGEを立て直したのと同じ戦略だが
大企業のメリットは、ほぼ、これに尽きる。
大金持ちと貧乏人がギャンブルをした場合、
大金もちが勝つように出来ている。
なぜなら、大金もちは、金がある分、
失敗を沢山しても大丈夫だからだ。
リスクを恐れず、もう一度、ソニーはギャンブラーに
なれるかどうか。
金融関連を中心に再編し、成長事業への投資会社的な
ビジネスモデルへと転換したほうがいいと思うことがある。
もうエレクトロニクス会社であることはできない。
ソニーから、すでにその力自体が失われしまっている。
成長が見込めない事業から撤退、売却を行いつつ、
成長事業への投資を行いながら、芽が出るをまつことができるか。
それ次第じゃないかな、なんて思う。
エレクトロニクス会社が投資会社へと変貌するなんて
どうかと思われるかもしれないが、
ここまで来てしまったらどうしようもない気がするんだよな。
たとえば、最近のアップルとか。
ソニーが失ったのは、「差異化をもってブランドとする意思」のようなものではないかと思います。
仰る通り、差異化とブランド戦略には
重なるところが多いです。
ソニーが失ってしまったものは
沢山あると思うんですが
まだまだ考えてみないといけないところが
多そうですね。
僕も諸君読みました。
隊長の指摘どおりだと思います。
やっぱ、ソニーはもうだめなのかなぁ。