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2008年10月15日

失われていく職種と技術の発展の話

優先株購入により米金融機関に最大2500億ドルの資本注入=米財務省


とりあえず、ほっとしました。


アメリカは、優先株の購入による公的資金の注入を決めたようです。かなり強引ですが、このあたりは豪腕ポールソン御大ですね。一気に勝負を決めにかかってます。


しかし、一方で、優先株の購入という形をとっているので、批判も大きいでしょう。


ベア・スターンズが2ドルで買収されて、株主と経営陣、株もってる社員が全員やられたのは記憶に新しいわけなんですが、今回は、株主価値の希薄化が起きないので、そういうことはありません。株主や経営陣、銀行員にとっては、職と株価が保たれるという点でグッドディールですが、銀行が高い給料もらっといて問題起こしときながら、政府ふざけんなっていう批判がでるのは仕方ないでしょう。



ここ2週間ほどの混乱に巻き込まれた会社のベテラン社員によると、彼の会社のCEOに金色のパラシュートを諦めるよう、最大の圧力をかけているのは、メイン・ストリート(各地の中央通り、金融業界ではない一般市民の意)でもなければワシントンでもなく、社内の怒れる社員たちなのだという。

アメリカでこれ以前に所得格差がピークに達したのは、19世紀末から20世紀初めにかけて。この時は高まる国民の不満に勢いを得て、国民党が台頭した。それは米国史上、最も成功した「第三の党」運動だった。

当時に比べると、今のところアメリカの政治地図はそれほど極端には変化していない。しかし階級闘争は強力な魔神だ。そして実に久しぶりにアメリカは、魔神をランプから出してしまったのだ。


強欲な銀行幹部たちのせいで階級闘争が――フィナンシャル・タイムズ




所得格差の問題は、日本でも出てるんですけど、アメリカではかなり深刻な問題です。


この問題は、ある意味では、技術の発展によって引き起こされたものであり、結構、根っこが深いです。


製造業の話を出しますけど、空洞化とかグローバリゼーションとか、雇用が盗まれているとかいう話がありますよね。企業が海外に製造拠点を移してしまうので、雇用が失われるって話。


そのため、これが格差を広げるって話もあるんです。これは、真実の一面なんですけど、ただ、それだけってわけじゃないんです。


例えば、コンファレンスボードの報告によると1995年から2002年にかけて、製造業の雇用は2200万件減少したそうです。アメリカでも220万件減少。中国では1500万件減少したそうですが。


これは、製造業の技術の進歩によって、より少ない人員で、より沢山の生産が出来るようになったからなんです。


効率化の行き着く果てはそこなんです、結局。技術の進歩は、より少ない人員で生産高を上げる方向で働きます。そうすれば、最終製品の値段が下がって、利幅が減ってしまう。


利幅が減れば、雇用が減るのは当然の帰結であって、技術の進歩ってのは、しばしばこれを伴うんです。


ただ、最近は、その影響をうけるのが、ブルーカラーに代表されるような製造業だけじゃなくなってきてる。


それを推し進めているのは、もちろんコンピューターで。


コンピューターの登場によって、ホワイトカラーの分野でも、より少ない人員で、生産高をあげることが可能になってきている。


メディア産業とか銀行とかの金融産業、それから企業のバックオフィスとかでこれが顕著ですけどね。コンピューター技術の信じられないような進歩は、ホワイトカラーの優位性を浸食し始めているです。


アメリカでは、最近、大卒の人達の給与面における優位性がどんどん薄れはじめているみたいなんですが、これは、ある一面では、技術の進歩が引き起こしたことでしょう。日本でもそうですけど、かつて大卒の子達が担当してきたような仕事は、コンピューターに奪われつつある。


中流階級の没落に激しく拍車をかけているのは、間違いなく、この面があると思います。


アメリカの下流階級は、相対的に安定しています。皮肉な話ですけど、肉体を使うサービス業はコンピューターの影響をさほど受けませんからね。


一方で、上流階級、特に金融関係やら、ハイテク産業の億万長者って人達は、コンピューターと財テクを駆使することによって、巨万の財を築きました。生産性向上の恩恵をフルで受けた人ってこういう人達ですからね。


階級闘争の魔神は、今、多分、没落しつつある中流階級と上流階級の間で解き放たれたのかもしれません。かつてはエリートになれたはずの人が、そうなれない。大卒が優位にならない時代に入りつつある。相対的な話ですけど、没落していってるのは、中くらいのエリート階層なんですよね。


今の金融騒ぎの中でも、トップが金を会社から持ち逃げして、高学歴の社員は首切りの嵐なわけで。


日本でも似たような状況が現出してて、大学でたのに就職難。院でたのに就職難。年功序列で上の方の正社員が勝ち逃げって構図ですからね。


そりゃ、日本でも階級闘争っぽい単語が頻出するようになったのもしょうがない。


結局の話、工場とかITみたいな要因で使用者全員の生産性が上がると、生産物の値段がどんどん下がっていくんです。技術の進歩は簡単にコストを下げて生産性をあげる。


しかし、一方で、最終製品価格の下落をもたらすので、利益も食いつぶしてしまう。利益が食いつぶされるので、雇用は増えないどころか減ってしまう。


ただ、長い目でみれば、いずれは失った以上の雇用が産まれます。製品やサービスの値段が下がれば、可処分所得の増加に繋がるので、他の製品だとかサービスの需要が伸びることになりますから。そういう産業が次の時代を牽引するんでしょう。


まぁ、それに気づいてる人は、もう動いてるし、これからそういう時代に突入するんだと思います。そういう意味じゃ楽しみな時代に入りました。ただ、その道の途中では、陰鬱な階級闘争が繰り広げられる事になりそうではありますが。
posted by pal at 00:14 | Comment(8) | TrackBack(3) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

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