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2008年10月02日

米上院金融法案可決雑感

米上院の金融法案可決でも不安晴れず、米欧に利下げ観測


取り急ぎ。とりあえず、上院で金融法案が可決されたんで、イライラが多少は晴れたpalでございます、こんばんわ。ていうか、心臓に悪い。否決されたらどうしようかと思ってました。否決されたら今頃、家の前にある小川にでも飛び込んで北島三郎でも歌ってたと思います。嘘です。



今回の金融法案で、僕が心配しているのは、主に二つで、買い取り価格と、本当に銀行がこのシステムを利用するかどうか、になります。GSのインサイダーであるポールソン御大に権限与えるのはどうかって人も多いみたいですが。


前者に関しては、結構厳しめになるんじゃないかと思っていて、多分、金融機関から不良債権引っぺがす時に、結構な損を出させるんじゃないかと思います。当然、そこでアウトになってくる企業も結構出てくるんじゃないかと。


大恐慌の時、優先株購入の時も、銀行休業日以降、当時存在した銀行のうち一万7000行中、5000行が営業再開免許を受けれず、そのうち2000行ほどが閉鎖されたんで、もし、次に下院通ったら、これからアメリカの銀行のうち結構な部分がやられることになると思います。RFCの時の規模でやられたら7分の1くらいの銀行とか金融機関はやられることになるんじゃないかと。


まぁ、そんときまでは結構混乱続くと思います。


あと、もう一つ、「可決されたとして、本当に銀行がこの制度を利用するのか?」って懸念があるんですけど、



 りそな信託チーフ・ストラテジストの黒瀬浩一氏は「米金融安定化法案が下院の可決を経て成立したところで、買い取り価格の問題などを考えれば抜本的な対策にはなりにくい。金融機関の利用動向などが明らかになれば、いずれ市場の不信感を招くだろう」とみている。



市場から危ないと見られるのが嫌で利用しない銀行が多いかもしれません。このあたりは蓋開けてみないとわかりません。


最後は、当然ですけど、ポールソンへの不信、ですね。いやね、ポールソンは今回の危機において、一番働いている人で、この人がいたおかげで、アメリカはなんとか崖っぷちから飛び降りずにすんでる状態なんですが。今までしてきたことを見ると、本当に凄い人ですよ。これだけの人がいたことを神に感謝するしかない。今回の救済法案にしろ、ここまで一気に動くとは思いませんでした。(下院で否決されちゃいましたが)


ただ、GSのインサイダーだというのが非常に心許ない。それでどうしても、ちょっとうらぐってしまう部分があります。GSのインサイダーじゃなかったら、もう絶賛してポールソンの靴下なめてもいいくらいなんですが。



米上院本会議は1日、金融安定化修正法案を賛成74対反対25で可決、下院に送付した。下院では3日の採決が見込まれている。

 法案には1500億ドル規模の企業・代替エネルギー開発向け優遇税制が盛り込まれた。このほか中間所得層を中心とした2400万人の納税者向けに、課税最低所得の優遇措置を追加した。

 修正法案には預金保険の保証上限を現在の10万ドルから25万ドルに引き上げることも盛り込んでいる。上院指導部は、これらの付帯条項により、下院の共和党議員も支持するとの期待を示した。

 法案にはオバマ、マケイン両大統領候補も賛成票を投じた。

米上院が金融安定化法修正案を可決、下院では3日に採決へ



あと、下院の指示取り付けのために、優遇税制と預金保険の保証上限アップが盛り込まれたようで。


まぁ、一部の議員さんが懸念するようにギャンブルだなーと思ってます。仕方ないんでしょうが・・・


あと、オバマもマケインも賛成票を投じたので、今回については、オバマを批判したのは間違いでした。


僕が、オバマについて、他に懸念してたのは、まずGSEから献金を結構もらっていたんで、GSEの規制強化に及び腰にしかなれないんじゃなかって事です。僕はGSEについては暗黙の政府保証がついちゃってるので規制強化派です。


ちょっとGSEの話もしますけど、GSEってのは日本における特殊法人のようなもので、ファニーメイやフレディマックが代表格です。


これらは住宅ローン担保証券(MBS)を発行しているんですが、これがちょっと特殊なんです。


民間機関のMBSは、その発行機関の破綻リスクがあるため、その分、利回りを高くしないと売れません。


でも、ファニーやフレディーのMBSは、暗黙の政府保証と言われるものがついていて、さらにいくつか優遇措置を受けていました。つまり、民間より低利で資金調達ができるということです。しかも、政治力をもっていて、こんな団体が政治資金をばらまいているというのは問題でした。


一方、モノライン会社からの保険つけてトリプルAの格付けとって、優先劣後構造をつけたCDO売ってた奴がサブプライム問題に発展しちゃったのですが。


暗黙の政府保証の代わりに、モノラインと優先劣後構造が必要だったというわけです。


これが、公平な競争上、非常に不味いというのは以前から言われていて、ある意味じゃ、今回の件の遠因です。GSE関連とモノライン系は、今後かなり規制されざるをえない分野になると思います。



まぁ、マケインも、AIGの件で、それまで公的資金の投入に反対してたのに、救済発表から一転して「やむを得なかった」になった経緯があるんですが。(このあたりで素晴らしく支持率を落としているようですが)


AIGの件については、公的資金が投入されたフレディマックとファニーメイからオバマは選挙資金もらっちゃってるので、まぁ、AIGの救済にも賛成せざるをえないだろうなーとは思ってみてはいたのです。



不良債権買い取り、公的資金投入、GSEの処理と規制強化などは、アメリカはこれから全部やらないといけないんですが、これをしっかりやってくれる方が大統領になってくれることを望んでいます。







posted by pal at 22:25 | Comment(10) | TrackBack(2) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

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