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2008年10月01日

間違っているオバマが勝ち、正しいマケインが負けそうな件

「緊急事態」を宣言=金融法案成立、あきらめず−米大統領


つーか、もうあまりに腹がたったんで、腹いせに書いてるんですが。


昨日ね、共和党のマケインのじーさんが、


"Now is not the time to fix the blame. It's time to fix the problem,"


「今は犯人捜しをしている時じゃない。問題を解決する時だ」


"I would hope that all our leaders ― all of them ― can put aside short-term political goals and focus on what’s best for the American people,"


「私は、全てのリーダーが、全員が、短期的な政治的目標を脇に置き、アメリカの人々にとってベストな事に集中することを望んでいる」


と言ったわけなんですがね。


まぁ、ド正論です。党派を超えて、ここは結束しないといけない。でないと、アメリカ発の大不況が起こる瀬戸際なんです。


そしたら、diggで非難囂々なんですよ。これ見て絶望しました。1992年あたりの日本とそっくり。狂ってる。おかげで、救済反対のオバマの株が相対的に上がりました。


この件については、そりゃ、みんなむかついてると思いますよ。でも、これについては、オバマは間違っていて、マケインが正しい。金融システムの安定策を政治の駆け引き、人気取りの道具に使うべきじゃない。


今、犯人捜しをするのは馬鹿げています。自動車事故で大怪我している人をほっといて、事故の原因調査をするようなもんです。まず最初に怪我人を助けないとどうにもならないのに。


例として、日本の話をしますけどね、バブルの芽がまかれたのは、1980年代になります。バブルの背景には、金融自由化があります。


金融の自由化以降、企業、特に大企業の資金調達方法が多様化しました。一番、大きかったのは、優良企業の多くが、自分の企業の信用力をバックに、資金調達方法を銀行借り入れから、社債発行に変化させたことです。


これは、テクノロジーの進歩によって、大企業が銀行の真似事を出来るようになり、銀行を通さずに、市場から直接、資金を集めれるようになったからです。


法の規制緩和もあるんですが、これはテクノロジーの進歩によって引き起こされたことであり、不可逆的な流れでした。アメリカからの圧力もそりゃありましたが、その背景にあったのは、テクノロジーの進歩であり、この流れは必然的なものだったんです。


スウェーデン、フィンランド、スペイン、フランスでも規制緩和が行われました。これもアメリカからの圧力が一つにはありましたが、技術の進歩が、古いシステムの運命を不可避的に決めたんです。


しかし、一方で、銀行は、優良顧客を失うという事態が、多くの主要先進国で起こりました。


大企業が、銀行を捨てて、市場からの資金調達に移ってしまい、銀行の取引先には、相対的に業績の悪い企業が残りました。そして、銀行はより大きなリスクを取らざるを得ない方向に追い込まれたんです。そうしないと、以前と同じ収益は望めないからです。


結果は悲惨でした。今までよりリスクの高い投資に多くの銀行が手を出したんですから当然ですが。上にあげた国々では、納税者が銀行の損失を負担する事態に追い込まれました。


フィンランドは特に悲惨で、日本と同等かそれ以上の損失を銀行が生み出しました。国民一人あたりの負担ではアメリカのS&Lの損失より酷いものでした。資産バブルが起きた後、通貨危機までやらかしたんですから当然ですが。失業率なんて、5%台から10%台後半まで急上昇したんです。



しかし、フィンランドは完全に正しい金融政策をとりました。


金融、不動産バブルの崩壊により、不動産関連融資等で不良債権が急増し不良債権比率は一時13%に達したが、全ての銀行に対する予防的な公的資金の注入や、41の貯蓄銀行の合併、公的資産管理会社による不良債権の一括買取り等が短期間に行われた。


第2節 英国、フィンランド、アイルランド等の経験



引用ですが、フィンランドは、日本みたいに不良債権問題を先送りなんて馬鹿な真似はしませんでした。不良債権比率が一時13%に上ったというのは、日本以上に危機的な状況だったんですが、即座に公的資金を注入し、銀行の合併を進め、不良債権を買い取ったんです。


日本のバブル崩壊後なんかより破滅的な状況だったにも関わらず、フィンランドは、約4年で金融危機を終わらせました。10年以上迷走したどっかの国の馬鹿な政治家には見習って欲しいもんです。あと、絶賛迷走中のアメリカ議会もね。



話を日本のバブルに戻しますが、テクノロジーの進歩によって大企業が銀行から離れてしまい、収益性が落ちた銀行は、ビジネスの範囲を新しい次元に広げていきました。


リスクの高い海外業務を拡大させ、国内では、住専や信用組合に融資を行っていきました。特に住専では、銀行が住専を使うことによって不動産規制の網を逃れて住宅バブルの呼び水になったことは記憶に新しいと思いますが。


「土地は下がらない」という土地神話が醸造され、それは銀行の緩い融資基準を作り、日本中をバブル景気に沸き立たせた後、突然、全てが消え失せたわけです。銀行は不良債権の泥沼に沈み込み、経済全体にデフレ圧力をまき散らす芽がまかれたわけなんですが。


まぁ、この流れは、日本だけが馬鹿だったわけじゃないんです。フィンランドの資産バブルも似たような経緯で行われましたし、アメリカのS&L危機も似たような経緯でしたからね。



ある日本のテレビ局のジャーナリストがワシントンに私を訪ねてきた。日本でも、進行している銀行の崩壊が米国のS&Lの悲劇に良く似ているという意見があったようだ。私は、本当だ、どちらのケースでも、ばかな政府が、他人の金を野放図に使った金融機関の債務を保証したのさ、と答えた。ほかの国でもありうることだ、とも付け加えた。


マーチン・メイヤー著 「ザ・バンカーズ」より



マーチン・メイヤーが、これらの危機の背景を明瞭かつ簡潔に述べてます。規制緩和の後の銀行が、様々な国でこの通りのことをやらかして地に墜ちました。


アメリカでは、銀行でなく、S&L(貯蓄金融機関)の崩壊のほうが先で、「ばかな政府が、他人の金を野放図に使った金融機関の債務を保証した」せいで、これらの機関は史上最悪のカジノになりました。


まぁ、詳しい話は今度しますが、「利益は俺の物。損失は国のもの」って形で、S&Lの経営者達は、次々とハイリスクな事業に打って出たあげく、その全てを失ったんです。



これらの悲劇に共通するのは、


1、以前からの事業では利益が出にくくなっていた。


2,預金保険があるので、「勝ったら利益は総取り、負けても政府が払い戻ししてくれる」ので、ハイリスクな事をするインセンティブがある



という点です。まぁ、最近のアメリカのバブルも、ほとんどこれと一緒なんですがね。



それはともかくとして、日本のケースでも、フィンランドのケースでも、S&Lのケースでもそうですが、現状の金融危機を回避するには、もう「公的資金の注入、銀行の合併、国による不良債権の一括買取り」は避けれないし、避けるべきじゃなし、即座に行うべきだってことです。現状、これしかないんです。


犯人捜しはそれからでいい。今は、とにかく、金融危機の回避に全力を注ぐべきなんです。それだってのに、なんですか、あの体たらくは。しかも、間違った政策を押し通そうとしているオバマが人気とかありえない。これが何より最悪です。


しかも、見物人気分の人が多すぎる。



あのね、アメリカの金融危機は、絶対にアメリカだけの問題じゃすみまあせん。ドルは基軸通貨なんです。そして、現在の世界経済は、アメリカが貿易赤字を垂れ流してくれないと回らないんです。


もし、アメリカの金融危機が悪化して、ドルの暴落、アメリカの消費悪化という結果に結びついたら、アメリカの貿易赤字が確実に縮小します。


それは、日本、欧州、中国の貿易黒字の縮小という形になって現れます。


一番きついのは、間違い無く、アメリカの貿易赤字におんぶでだっこの日本です。


中国がアメリカへの輸出品を作る機械を作っているのだって日本なんです。日本は、中国に大量の輸出をしていて、それのおかげで0成長から抜け出せたようなもんなんですがね。


アメリカの貿易赤字が縮小すれば、中国の輸出も駄目になります。そうなれば、日本の中国への輸出もアメリカへの輸出も減ることになる。


そうなればどうなるかなんて火をみるより明らかでしょう?


いいですか?


世界の基軸通貨は、必然的に、他の国に準備通貨として使われます。この場合はドルですが。


準備通貨として使われるドルの需要を満たすためには、アメリカは貿易赤字を続けてドルをはき出し続ける必要があります。これは、基軸通貨をもった国がもつ解決不能のジレンマです。基軸通貨には強みがありますが、一方で、貿易赤字を続けねばならず、輸出産業のほとんどを失わねばならないという代償を支払わされるんです。



今の世界経済は、アメリカが貿易赤字を垂れ流してくれることが前提のゲームをしているんです。でも、今回の危機のせいで、その前提が崩れつつある。


ここが重要なんですが、アメリカの貿易赤字がなくなれば、日本、中国、欧州の貿易黒字がなくなるってことです。そうなれば、世界不況が始まるのは目に見えてる。


今、アメリカの金融システムが傷ついて、このゲームが終わるかもしれない可能性が出てきているんです。そりゃ、いつかは終わるゲームですよ。でも、今、それが起こるのは不味い。代わりに基軸通貨になれる通貨がない。ユーロは、足下で不動産バブルが起こっていて、いずれ不良債権の沼に沈むことが目に見えている。中国とインドも、まだその力はない。


今、世界でドルが暴落し、アメリカの消費力が落ちたら、冗談抜きで世界恐慌になりかねないんです。そのくらい、タイミングが不味い。


だってのに、正しいマケインが負けそうで、間違っているオバマが勝ちつつある。本気で危機的だと思うんです。間違った方向に世界が向かっている。


市場は、今日の反発を見る限り、法案が週末には通ると思っているみたいですが、またサプライズで否決されたりしたら、どうなるか、わかったもんじゃありません。基軸通貨であるドルの足下であるアメリカがこのままデフレ地獄に沈んでアメリカが購買力を失ったら、絶対に日本にも影響がでます。見物人気取ってる場合じゃないんですよ、まじで。



つーか、すでにアメリカへの貿易黒字が縮小し始めているんですがね!日本だけ逃げれるとおもったら大間違いです。


というわけで、今回の大統領選では、しばらくマケイン応援に回ります。オバマ糞杉。
posted by pal at 09:30 | Comment(47) | TrackBack(7) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

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