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2008年02月18日

はてな移転と企業が海外進出する時の経営の話とか

更新にずいぶん日があいてしまったし、本当は、バーナンキの話をしようと思っていたわけですが、ちと、はてなの本社移転の話がホットなんで、便乗して、前からしようと思っていた話でもしてみようかと思います。


というわけで、本日は、はてな移転の話とか、海外進出の話とかになるわけですけどね。

Friendly Shower


近藤の帰国、そして、はてな本社の京都移転


もともとの発端は、はてなの社長のid:jkondoが、日本に帰ってきたことから始まるわけです。それは、こちらのエントリで述べられていることでもあるわけですが。あと、社長夫人のreikonさんがご懐妊だそうで、本当におめでとうございます。



はてなとマッキンゼーとUEIとマイクロソフト、社内コミュニケーションについて


で、そろそろ本題に入ろうと思うわけですけど、今日、こちらのエントリを読んでいて、思い出したのが、海外とコミュニケーションをとりながら生産を行うことの難しさの話なんですけどね。


こういう国内と海外で生産を行う話を読むと、僕が真っ先に思い出すのが、ミネベアの話なんです。ミネベアってのは、一部の技術者の間では有名な会社です。とりあえず、wikipediaへのリンクを張っておきますが。


ミネベア


ミネベア株式会社は、長野県北佐久郡御代田町に本社を置くベアリング、モーターを中心とする電器部品メーカー。直径22mm以下の小径・ミニチュアサイズのボールベアリングでは、シェア世界一である。略称はNMB(Nippon Miniature Bearing)。生産の6割をタイ王国で行うほか、中国などにも工場を持つ。




引用した部分にありますが、ミネベアは主力はベアリングの会社です。それから、ここが重要なんですけど、日本でも、きわめて早くから、グローバルに事業を展開した会社であるってことです。


本社は、地方にあるわけですけど、1971年にアメリカでの海外生産を開始しており、これはソニーやホンダより早い。

そういう意味では、日本で、もっとも古い歴史をもつグローバルカンパニーの一つなんです。巨大企業ではありませんけど、海外生産比率は8割を超えており、買収も積極的に行った会社です。そして、それで大きくなった。


海外生産と買収とでかくなった面があるんで、そういう意味では、アメリカ的、とも言えるかもしれませんけど。



で、なんですけどね。


ミネベアって会社の海外展開や買収は、現在では成功を収めた事例として記憶されているんですけど、その道は決して平坦なものじゃありませんでした。


上海ミネベア精密機電


こちらに、上海にあるミネベアのボールベアリング工場の記事がありますが、海外に生産拠点を置いて、そこで超精密部品を作るってのは、結構難しいんです。


ミネベアのモットーであり、「どの工場でも同品質の製品をタイムリーに生産できる体制づくり」ってのは、技術差があっては難しいですから。


で、なんですが、ミネベアが、最初に海外で工場買収したり、現地の相手と提携したりした時、当然、最初は盛大にすっこけたんです。


この手の話には失敗がつきもので、たいていの場合、「教科書に出てくる失敗はみんなやった」って後年になって振り返るものなんです。これはしょうがない。ホンダとかアメリカ進出の際、最初に失敗してますけどね。


ミネベアのケースでは、不良品を大量に出してしまうって結果になりました。ただ、ここで、ミネベアは海外での生産をあきらめなかった。


ミネベアは、1970年代から80年代にかけて、大規模な海外生産に踏み切ったんですが、海外での生産の経験を積むにつれて、いくつかの原則を学んでいくんです。


まず、海外での買収を行った場合には、そこに最新鋭の機材の設置を行う。


次に、従業員は、現地でまず調達し、それを日本の工場に招いた上で、教育を行う。これは、ミネベアの文化と技術移転の上で、非常に優れたやり方でです。


ミネベアのモットーである「どの工場でも同品質の製品をタイムリーに生産できる体制づくり」ってのは、こういう仕組みをへて、可能にされたものなんです。


最新鋭の機材を現地の工場において、そこに日本で教育した人材を送り込む。現地社員を抜擢し、日本からの派遣社員を最小限度にとどめる。ミネベアの海外展開は、こういったシステムを作り上げて、ようやく軌道にのっていったんですね。



今では海外生産は普通に行われているわけですが、それをはやくから行っていた事例として、ミネベアのケースは貴重なケーススタディなんです。


むろん、技術移転っていっても、コアな技術は、日本で行っています。製品の設計や開発、それから統括などは、今でも日本です。







詳しくは、これらの本でどうぞ。ミネベアの元会長、高橋高見って人は、ミネベアを世界企業にした人であるわけですが、その経営手法も、異色と呼ばれるものでした。異色な経営ってのは、失敗も多いです。高橋も沢山失敗してます。たいていは、教科書にでてくるような失敗を全部することになるのも珍しくない。しかし、それが強みでもあるわけです。人は破れたゲームから教訓を学ぶものだって名言にあるように、学ぶ機会を与えてくれるんです。


で、はてなの話に戻るんですけどね。



ミネベアのケースは、あくまで、ベアリングの製造の話です。いわばローテク。むろん、使っている技術は最新鋭ですけどね、ただ、製品のライフサイクルの早さという意味では、秒進分歩のハイテク業界ほどではない。


ハイテクの世界の企業は、それこそドッグイヤーの世界ですから、技術の陳腐化も早いし、それに、工場作るわけでもないんですから、同じやり方が通用するってことはないでしょう。


ただ、はてなに関しては、そんなに僕は心配してないんですよ。jkondoって、最初につくったのが、人力検索で、これは、はてなの主力じゃない。いまも、人力検索には、注力してますけどね。


今のはてなは、外から見ている限りは、はてなダイアリーから派生したサービスで、やっとキャッシュを稼げるようになった感じです。jkondoは、必要なら、そのくらいの方針転換はしているわけで。


最初に作ったサービスにこだわり続けてたら、マイクロソフトはなかったし、アメリカで大型バイクを作ろうとホンダが最初がんばり続けていたら、ホンダはアメリカでは勝てなかった。


教科書に出てくるような失敗なんて、全部したっていいじゃないですか。こういう戦術面での失敗は、取り返しがつく失敗なんです。だから、そう心配することでもない。


異色な経営、変な会社、おおいに結構ではないですか。


それで失敗した会社は多い。でもね、それで成功した会社だって多いんです。でもって、成功したら、そのやり方がスタンダートになって、普通になってしまうことだってある。



僕は、まだ、はてなのサービスを使っていくつもりです。


そんだけです。






posted by pal at 08:09 | Comment(1) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

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