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2005年04月25日

中国の政治首脳が抱える苦悩について

今日は伊藤洋一さんのDay by Dayの 中国、先進国への長い道からの感想です。


「中国、先進国への長い道から」は
非常にうまく中国の政治家が抱える問題について解説なさっており、
中国の政治状況などを知りたい方にはオススメです。

以下、私的感想。

まず引用から

最後のキーワードは「政治的リスク」「桎梏としての社会主義」である。政治的リスクに関しては、9月13日のレポート(http://www.ycaster.com/news/040913.pdf)でも少し触れた。「単位から個への中国社会の変質とそれが持つ政治的意味合い」といった話だったが、今回は今でも中国の政策当局者、エコノミストの頭の中にある一つの桎梏について書こう。それは、「13億人という人口の重み」であり、一つの政策が膨大な人口に及ぼすインパクト、それに統治の正統性とマンデートの問題である。


ここがやはり目についた。中国が抱える政治的リスクの多きさを痛感させられた。
13億という国民。どこの国でもその国民全てを満足させることはできない。

日本なら失業率が5%程度でも、政府に不満を述べる人間は500万がいいところだ。
だが、中国は桁が違う。失業率が5%になっただけで
6000万人以上の政府に不満を述べる人間が生まれることになる。

もし、失業率25%なんてヨタ話が本当なら、中国には3億人を超える
政府に不満をもつ人間がいることになる。アメリカの全人口を越える
人間が政府に不満をもっているということを意味するのだ。
対して、政府はひとつしかない。いかに、中国政府が抱えるリスクは
とんでもなく大きい。

一方で、中国政府には統治の正当性がない。
日本やアメリカのように選挙によって選ばれたという
担保がない。だから、不満が爆発した場合、政府は自らの正当性を
維持できない。

だから何かが必要になる。

今までは、侵略者日本から中国を救ったという事が担保になっていた。
毛沢東、周恩来、讃・燭泙任蓮」
彼らは民衆にとっての英雄だった。
その事が彼らの支えであり、彼らの政治基盤だった。

だが、もうその正当性は使えない。
現在、その世代の人たちは政治の場から退いているからだ。

だから、今の戦後生まれの中国政治家達にとっては
何らかの統治の正当性を保つための方法が必要で
それが江沢民が進めた愛国教育だったんだろう。
そういう背景を知ると、中国政府の政策は納得できる進路である。

対外経済貿易大学金融学院の何自云副教授の言葉、
「中国政府はいやいや一歩一歩下がっている。重要なことは政府の下がるペースが速まっていることだ」
というのも納得がいく。中国政府は、正当性を失いつつあるのだから当然だ。
対日戦争の英雄として、支配を正当化できた時代は、毛沢東の死とともに
少しずつ終り始めていたのだろう。

もう、民衆から支持を取り付ける事ができなくなってきている中国政府。
そして、力が急速に失われ、コントロールする力すら失ない始めている。

彼らにとっては、13億の国民を食わせていく事こそが史上命題なのだという。

それも当然だと思う。政府一つに対して人が多すぎるのだ。
たった一ポイント失業率が上がっただけで不満をもつ人間が
1000万人増える国。一人の指導者が抱えるには多すぎる数だ。

今、中国は日本に二つの点で依存していると思った。
一つはいうまでもなく経済。
成長を続ける経済において、対外投資がなくば、13億の国民を養いきれない。
石油にしろ、食料にしろ輸入国なのが現状だ。
この状態で国際社会と対立すれば、13億の国民を食わせることなど到底できなくなる。
そうなれば、どうなるか?早晩、中国政府は瓦解してしまう。
政府が瓦解すれば、10〜20年は立ち直れない。
そうすれば世界経済にも悪影響がでる。だから世界各国ともに
それだけはさけねばならない。

もう一つ、中国が日本に依存しているのは政治。
中国政府は、反日闘争にうちかった共産党が政権を握ってできたものだ。
だから、反日戦争に勝利したということが彼らにとっての
正当性の担保なのだ。それを失えば、政権自体がたちいかなくなる。

だから、日本に対しては、下手にはでれない。
経済的には日本が絶対に必要なのだが、
外交で高圧的にしか出れない。そういう事が日本社会と対立し
対中投資を鈍らせる可能性があるのはわかりきってはいるが、
そうせざるを得ない。それが、中国政府にとっての生命線なのだ。

中国政府の正当性は、共産党を率いて日本を中国から
守った毛沢東の正義に依存している。だから、その部分だけは
死守せねばならない。

靖国参拝にしろ、歴史教科書問題にしろ、
この二つは、中国政府の正当性の根幹に関わっている。

これを失えば、中国共産党政権は支持基盤を失うも
同然なのだろう。

中国政府は政治的には日本と対立しなければならないが
経済的には日本に依存せざるをえないという
なんともアレな状況に陥っている。

そんな事を考えると、あまり中国政府の対応が
高圧的には思えなくなってきた。
あれは懇願に近い。

頼むから頭を下げてくれ。じゃないと中国政府は
中国民衆の支持をとりつけれないんだ。
小泉のように、「一応」、国民によって選挙で選ばれた
政府じゃないんだ。うちらには日中戦争で日本を追い出したという
点にしか正当性がなく、その免罪符ですら、力を失い始めている。
革命が起こって、政府が転覆したら日本も困るだろ?

って感じの。高圧的には出ているが
そうせざるを得ないのだろう。だって、そうしなきゃ
中国人納得しないし。ただ高圧的にでればでるほど
日本社会から反発をくらい、それは投資を鈍らせる可能性がある。
投資が鈍れば、ますます、13億の国民を食わせるのが難しくなる。
そうなると、政府に対する批判が高まる。
もうどうしようもない負の連鎖がそこにあるように見える。

ただ、まあ、中国政府が抱えている問題は大きいけれど
体制崩壊にはいかないだろうとは思う。
そんなの世界が許さん。日本にしろ、アメリカにしろ
今、中国政府が変わるような事態になっては困るのだ。
この点は伊藤洋一さんにすごく同意。

結局、仲良くやるしかないんである。政治的にも経済的にも。

posted by pal at 17:09 | Comment(47) | TrackBack(2) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

2005年04月24日

独り言

野球考

清原はもうだめだ。

【巨2―11神】敗色濃厚の七回二死満塁、巨人・清原が最後の打席を迎えた。
満塁アーチでの大記録達成を期待するスタンドからは「キ・ヨ・ハ・ラ」の大合唱。
藤川の133キロのフォークボールで空振り三振を喫した瞬間、
いかつい表情でバットを投げ捨てた。

 球界には“暗黙のマナー”がある。
阪神バッテリーがそのマナーを守らなかったとしていら立った。
「2―10の二死満塁でカウント2―3。それで何でフォークやねん」。
大量リードする阪神が、真っすぐで力勝負にこなかったことが不満だった。


巨人も最下位だし、もうダメだね、こりゃ。
何もかも終っている。

国際情勢考

日本は、成長を続ける中国と唯一の超大国アメリカに
挟まれたビミョーな立場。
もうこの際、アメリカと国家統合しちゃおう。

世界最高の経済国の二つが合わされば
中国の台頭に対抗できる。

それでね、将来的にはね、アメリカ大統領を
日本人からだすの。
アメリカを間接的に乗っ取り。
アメリカは2億5000万人くらいしかいないし
日本人の1億2000票が入れば、大統領だせるでしょ。

ロシアはEUに組み込んでもらって
韓国は中国と統合かな。
ロシアと韓国組ませるのもいいな。
うちらで韓国と組んでもいいけど、あっちが
納得しないだろな。

中東は、とりあえず、民主化させないとね。
石油が枯渇した時に残るのが軍事独裁政権と
オイルマネー、石油で潤った軍隊だけって状況になったら
起こるのは中東全体を巻き込んだ戦争だし。

アフリカ?
エート・・・・よくシラネ。
posted by pal at 22:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

ジャッキー・ロビンソンとメジャーリーグという巨大資本

今日は、なんか頭が冴えてるので
書けることは一気にいきます。

以前、「ジャッキー・ロビンソンを知っていますか?」なんて
糞長いエントリを書いたんだけど、
その続き的お話。

ジャッキー・ロビンソンの野球人生ってのは
今では栄光に包まれて語られる事が多いです。

が、彼が野球から身を引いてからの
人生は、お世辞にもいいものとはいえません。

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posted by pal at 09:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 野球 このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

差別を引き起こす人間心理

反日デモに関連して、嫌韓、嫌中を煽る書き込みを
しょっちゅう目にしてうんざりするので
差別を引き起こす人間心理のお話。

まずは大学時代、教授に教えてもらったお話から。

ユーゴスラビア紛争の真っ只中、
一人のジャーナリストが当地の状況について
取材に向かった。

彼は、ある町についた。
その町では、かつては友人同士で仲良く暮らしていた
二つの民族が、今では二つに別れ、塹壕掘って
ドンパチやっていた。

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posted by pal at 08:56 | Comment(2) | TrackBack(4) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

記者ブログ巡回録

以前、「記者ブログのまとめ」というのをエントリにしたのだけれど
その後、沢山の方からTBを頂いた。

中には、自分の知らなかった記者ブログもあり、
そういった方のブログを載せなかったので
とてもじゃないが「記者ブログのまとめ」とは呼べない。

というわけで、最近、巡回先になっている記者ブログさんのご紹介
全部じゃないだろうけど、一応、知っている限りで。


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posted by pal at 08:26 | Comment(1) | TrackBack(4) | メディア このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

中国デモに関する新聞記事読み比べ

妹が香港に嫁に逝ったせいで、最近、家族の話題が
中国デモのことに偏りがちだ。

まぁ、それはいいとして、TVは過激なデモの画像ばっか
流して内容がない。だから、どうしても新聞やネットで
情報集めする事になるわけだが・・・

うちは、日経と神奈川新聞を取っているので
読み比べが可能になる。

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posted by pal at 06:44 | Comment(1) | TrackBack(4) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

2005年04月23日

男と女について

今、僕はオンラインゲームWoWというのをプレイしている。
これ、日本では発売されていないので
やっているのはアメリカ版。
当然、一緒に遊ぶのもアメリカの人とになる。

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posted by pal at 18:04 | Comment(44) | TrackBack(0) | 日記 このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

2005年04月22日

二項対立について

毎日のミズタマのチチさんとこのエントリや、最近の中国のデモのお話を絡めて
自分の分野のお話。

二項対立という概念が、文学ではあります。
わかりやすく、どういう概念か、という事を述べると
二つの事柄を対立させて提示する、というモノです。

二項対立で一番、わかりやすいのは
善と悪という二つの概念の対立です。

多くの文学で、この単純な対立が提示されて
ストーリーが展開されますし、マスメディアも
善と悪の単純な提示を好みます。

何故、このようなスタイルが使われるのか、というと
二項対立という概念は、ほぼ、全ての人間が
もっている価値把握概念の一つだから、なんです。

全ての情報は、なんであれ、読者の中に取り込まれて
初めて意味をもちます。ですから、情報自体というものは
読者の中に存在する認識機能に依存するわけです。

そのため、ほぼ、全ての読者がもっている認識機能に
そった形での情報構造が、最も好まれるのです。

そして、その誰もが持っている認識機能というのが
二項対立という構造なんです。

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posted by pal at 21:23 | Comment(45) | TrackBack(1) | コラム このエントリーを含むはてなブックマーク | 編集

2005年04月20日

ネット時代の漫画ビジネス

バブルと情報化」、「お金の仕組みを教える理由」を参考にしたので
まずは板倉氏の所の引用から。

元々、経済は、物々交換から始まったことは、周知の事実です。
物々交換では、効率が悪いので、
「通貨」が、「一時的な実体経済価値との引換券」として、普及しました。
この段階では、実体価値と通貨は、ほぼ等価の状態を保っていました。
つまり、通貨は、実体経済価値に担保されていたということです。

しかし、「効率」ばかりを追求した結果、
「通貨そのもの」を取引することが、
最も効率が良いことに気がつく人たちが現れます。
通貨そのものだけを扱う方が、
荷物の移動や、モノの設計や製作、
情報の作成と流通や、販売の努力などの、
「お金だけを追求する場合において非効率なモノ」を、
そぎ取ることが出来るのですから、効率が良いに決まっています。

わかりやすいですよね。

渡辺聡氏が言っている通り、
過去の歴史をみれば、この通りの事が繰り返されてきました。

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